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Last-modified: 2009-10-14 (水) 21:23:12

――――――<1>――――――

今日はハヤテとエーゲ海沿いでデートなのだ。
「お嬢様にはお日様の下で遊ぶ子になって欲しいんです」
どっかで聞いたことのあるようなその響きに不思議と惹かれたからな。

以前住んでいたから私的には違和感はないが、
ハヤテは驚いているようだ。
そんなハヤテと手を繋いで海沿いを歩く。
なかなか可愛い奴め。
ハヤテは何だかんだで私と一緒なのだ。
だからこうして…
ちなみに私もハヤテにすりよってしまっているのはハヤテを安心させる為なのだからな?

あっ、帽子が…
「お任せください、お嬢様!」
ハヤテ!?
お~い、どこへ行ったのだ?
辺りを見渡しても居ない、近くの建物も勝手に入って行ける雰囲気ではない。
つまり突然ハヤテが居なくなった。
ほんの今まで私の傍に居たのに…
「ハヤテ君はどこですか?」
私が聞きたいところだ。
あんな急に、まあハヤテだから有り得るのかもしれんが…
ちょっと今から探してくる。
「ナギ!?」

結論から言うと、どこにも居なかった。
あれだで探し回ったのに、
ハヤテの姿は見当たらない。
暫くすれば帰って来るかもしれないし、探すのももう疲れた。
とりあえずここの砂浜に腰掛けるか。

――――――<2>――――――

そういえば以前居なくなったあいつもここの砂浜が最後だったな。
突然話しかけて来たと思ったら私を担ぎ上げて、
あんな身のこなしが出来て、格好よくて、そしてキミを守るって言ってくれて…
母の居なくなったばかりの私を暖めてくれたあいつ。
でもそんなあいつもすぐに居なくなってしまった。
一緒に星を見ようと約束したのに。
あいつは本当は嫌々やらされていたのかもしれない。

もしかしたら、あいつだけじゃなくてハヤテも嫌々私に仕えているのかも。
私だってお世辞にも立派とは言えない部分があるのは自分でも分かる。
だからそこが嫌になって消えてしまったら?
…そんな事を考えては駄目ではないか!
ええい、落書きしてやる。
ハヤテのバーカバーカッ!

…ハヤテ?
ハヤテは、いつの間にか私の隣に居た。
「お嬢様?どうしてこんなところに…」
聞きたいのは私の方なのだ!
突然現れたら驚いちゃうだろ?
はぁ…はぁ……こんな方法で私を驚かそうとは…
「ところでお嬢様。僕さっき不思議な体験をしたんですよ」
ハヤテは空を見上げている。
その瞬間何となく分かった。
こいつはどこかで、また私を助けてくれたんだろう。
母も言っていたが、星が願いを叶えてくれたのかもしれない。
そしてその母ももう星になっている。
つまり母がまたハヤテに私を守らせたんだ。

「時間を飛び越えてでも守ってやれってことですか」
ふとハヤテが言った独り言。
幾ら母やハヤテの力でも…あっ

うん、そうだな。
こいつなら出来てしまうんだ。
ちょっとやそっと問題があっても…

ハヤテはどんな状況でも私を守ってくれるのだ。
例え、どれほど離れていても…
私が身を任せられる奴はこいつと決まっているのだろう。
さっきはごめんな、ハヤテ。
そして、これからの未来もヨロシクな!

――――――<3>――――――

その翌々日のことになる。
ハヤテは暗い顔をしていた。
何時になく、自分を見失ったような顔。
昨日から様子は変だったが、
何か深刻な溜め事をしてしまっているのだろうか。
昨日の晩ハヤテとは一緒ではなかったが、
その間にも何かあったのかもしれない。

その事に私が主として触れていいのだろうか。
いいや、もっと奥深い、私が触れてはいけないような事があるのかも。
逆に言えば、
私と旅行に来れているのに私よりも大切な「何か」があるというのだろうか。
そしたら私は途方もない迷惑を掛けていたかもしれない。
確かにハヤテは未来も私を守ると約束してくれた。
でも、もし私よりも大切なものがあるのに私に気を利かせてくれているのだったら。
あるいは、ハヤテの身に私が対応出来ないような重大な事態が迫っているのだとしたら。
私がそこでしてやれることはないかもしれない。
目の前でハヤテがこんなに落ち込んでいるというのに、
私は何も出来ない存在なのか。

「自信を持ちなさい、ナギ」
母の声がした気がする。
でもそこに居たのはマリアだった。
「あなたはハヤテ君の主なんです。
ハヤテ君との絆の強さはナギが一番よく知っているでしょう?
だから自信を持って」
マリア…
「どんなにナギが大変な時でもハヤテ君が救ってくれるでしょう?
だからナギもハヤテ君が辛い時には見方になってあげなさい。
ナギならきっと上手くハヤテ君を慰められるはずです」
…うん。私も頑張ってみる。
ありがとうな、マリア。
「あれ、今不思議と言葉が出てきたような…」
そして母もだ。
母みたいに上手く執事とやって行けるかどうかは分かんないけど、
私も頑張るよ。

――――――<4>――――――

「お嬢様?」
大変そうだな、ハヤテ。
「いえ、とんでもないです!」
でも暗そうな表情が顔に出ているぞ。
「これは昨日徹夜したからで、アハハハハ…」
私では、駄目か?
「はい?お嬢様…」
相談する相手は私では駄目なのか。
「…。」
私だってお前の主なんだ。
確かにお前よりも若いし、不本意ではあるがお前から見たら子供かもしれん。
でも、それでもお前に恩返しがしたいんだ。
「いやだなあ。もう僕はお嬢様には沢山の借金の肩代わりを…」
お金の問題ではない!
私をもっと、主として信用して欲しいんだ。
まだまだ幼くて世間知らずで非力で全然頼りにならないかもしれないけど、
でも私だってお前の力になりたいのだ。
だから、ひょっとしたら難しくて今の私に解決出来ないような問題かもしれないけど、
それでも私に言ってみてくれないか?
「お嬢様……っ」
ハヤテ…

「僕は、お嬢様の執事なんですよね」
ああ、もちろんだ。
お前の事で知らない事なんてまだまだ沢山あるけど、
でも今のお前は私の執事だ。
「それが確認できただけでも十分かもしれません」
へ?ハヤテ?
「ここ最近、色々昔のことを思い出していたんです。
出来なかった事とか、失敗してしまった事を沢山思い出してしまって…
それでもう今ではどうしようもない事もあるのに、散々悔やんでしまったんです。
どうしてあの時あんな事をしてしまったんだろう、って思ってしまって、
もしかしたら今の僕は取り返しのつかない方向に進んでるんじゃないかって思えてきて…」
昔のことを思い出せば色々ある。
何もしないまま勝手に逃げられたりとか、
あるいは自分の失態による今ではもうどうやっても取り返せない事だってな。
その事を思い出すと私も辛い。
でも昔のことが今に良い方向で繋がっていたこともあるんだ。
それだけじゃない、今はこうしてお前と一緒に居られて、
一緒に泣いたり笑ったり、色々活動が出来る。
私はそれだけでも幸せなんだ。
そこに過去が辛くてもわざわざそれを思い出す必要はないだろ?
今や、そしてこれからの私が幸せならそれでいいと思う。
「お嬢様…僕も、今はお嬢様の事だけを見た方がいいのかもしれません。
以前どんなに辛いことがあったとしても、今お嬢様と一緒に居る事実は変わりませんから。
そして今だけじゃない。これからも、僕はお嬢様と一緒に……」
ずっと一緒に居ような。
「一緒に……っ」
ハヤテ!?
おい、こんなところで泣きつくなよ。
これでは私がまるで…

「まあ、ナギったらハヤテ君にどんな事を…」
「オロオロ…ナギがハヤテ様に残虐で見せてはいけないものを…オロオロ」
「ほうナギ?とうとう借金執事をSMプレイに使いよったか」
ちょ…お前達……そんな目で…
「お嬢様ーーっ!!」
ハヤテもどこ触って…んぁああああ~~~~~っ!!