悪の華

Last-modified: 2015-10-20 (火) 22:17:09

こんなものか、とヘレネは監視モニタの群れから視線を逸らして深く背凭れに体重をシフト
谷底へと消えた二人の魔法少女の死が、彼女の、この狂った殺し合いへの興味をほんのちょっぴりと削いだのである

 

「…やっぱ、偽物じゃあダメですね」

 

手元のタブレット端末を操作しながら、傍らで同じモニタを観察していたギャラエが誰へともなく口を開いた

 

「片方なんて世界への伝播どころか、むしろあの…月代?とかいう人に感化されてたみたいですし」

 

チラリと視線を送るヘレネ、当のギャラエは端末液晶と睨めっこのままこちらを見向きもしない
吹き飛ばしてやろうかと何度思ったかは忘れたが、その都度思い止まっている
それはもちろんこの女に利用価値があり、互いの行動指標と利益が合致しているためだ

 

「やっぱあれはあれじゃないとダメって事でしょ、とーっくに分かってたってwww」

 

そういう意味として彼女達は…少なくともヘレネは…信頼しあっていた
信頼というには余りに乏しい、薄氷の様な脆く崩れ溶け易いものだとしても
それだけで彼女達にしてみれば充分なのである
つまり目の前の相手に、今すぐ殺されなければいいのだから

 

「実験としては失敗という成功を獲ました。要するに、これしかないって事ですから」

 

切り替わった端末画面に映し出されるカメラ越しの薄暗い小部屋
SF映画めいた其処に鎮座するカプセルの群れ、その中の液体に胎児の様に浸かる人影

 

「ま、元からそのつもりなんだしねww」

 

ヘレネも、監視カメラモニターの片隅で同じものを見ていた
それはこの運営の本拠地の地下に、二人が創り出したものだ

 

世界に混沌を生み出す存在、犬山茶太郎クローンシリーズ

 

ヘレネの魔法力、ギャラエのクローン技術
二つの歪んだ悪意の結晶体である
これを、従順なクローン犬山自身の図書館(ブックスタンド)能力で越境の扉を捻じ曲げ開きあらゆる世界へと飛ばす

 

「…wwwww」

 

それによって引き起こされる数多の世界の混乱はどれほどのものだろう
星のかけらでも無し得ない圧倒的な状況を夢想する
ヘレネの笑い声は、参加者の絶命の声と重なり覆い消した

 
 
 

【現在地:???/真夜中】
【ヘレネ=ザルヴァートル=ノイスシュタイン@魔法少女】
[状態]:正常 運営サイド
[装備]:魔杖ウロヴォロス
[道具]:運営サイドなので色々ある
[思考・状況]
基本行動方針:バトルロワイヤルを高見の見物。犬山クローンを用いての全世界の混乱
1.先ずは劣等種同士で殺し合っている様を楽しむ
2.犬山を利用するだけ利用する。クローンが出来たらオリジナルは殺す
3.危なくなったらスタコラ逃げろ

 

【ギャラエ@境界線】
[状態]:正常 運営サイド
[装備、道具]:運営サイドなので色々ある
[思考・状況]
基本行動方針:この状態を利用しての知識の会得。犬山クローンシリーズの生成
1.科学者としての知識欲を満たす
2.危険が迫り次第生存の為の逃走

 

【犬山クローンシリーズ@オリジナル】
[状態]:まだ目覚めていない

 

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