洋菓子店などでする、シナモンの甘い匂い。
強烈な甘さながらも、ついつい食欲をそそられる、ある種卑怯とも思えるとろとろの甘い匂い。
それを今「月代 明日架」は思い出していた。
「…………犬山 茶太郎」
名前を再度、現実を見つめなおす為に呟いた。
【現在地、市街地】
彼の声は―――――〝飴玉を転がすような声〟は、そんな印象を受けた―――――店売りのシナモンロール、そんな甘い雰囲気だ。
しかし、その本質は相容れぬ邪悪。
無意識で、当然の様に人を踏み躙るような悪。それだけは分かった。
面識はない。声だけで判断できる程人に精通している訳でもない。相手を見抜く異能がある訳でもない。(そういう人とは知り合いだったが)
ただ経験がそれをいう。何度も信じ、騙され、それでも不殺をやめなかった自らの経験が、警報を鳴らしている。
「彼を……止めないと……!」
既に、一人が亡くなった。
首元につけられた首輪へと手を伸ばし、これが自らの命を握っていることを実感する。
おそらく、あの場に集められたのは異能か、能力を使える人達。
そんな人達を容易く葬れるこの指輪は、発動すれば自分でも死んでしまうだろう。
「それでも―――――」
それでも、彼を止めないと。
殺すとか殺さないじゃなくて、止めないといけない。
これ以上、どんな形であれ命が亡くなっていくのは、見ていられない。見過ごせない。
だから、他にも誰かを殺そうと、このルールに〝則ろうと〟している人も、止めないといけない。
……そう頭で考えた時には、走っていた。
自分がいた時の境遇、如何してここにきたのか、誰がいるのか。月に還った筈の自分がいる理由。
そんなことも忘れて、ただ自らが立ち上げた、組織の意味の様に。
@@@@@@
「……なんだろう、これ」
そんな彼が、支給品を思い出したのは暫く橋ってからだった。
支給品と呼ばれた物を見たときの感想が上記の台詞である。
―――――それは綺麗な石だった。
手に持ち表面を見ながらも、頭に?を浮かべて首を傾げる。
魔力的な力を帯びているような気もする。ただ、それがどういう物かははっきりとわからない。どういう用途で使うのかも不明。
……今は考えても仕方がない。そう切り替えて、行動を再開した。
ちなみに、彼が男なのは直に分かった。
自らも女装経験があるから、端正な両方にも捉えられる顔つきだったからだろう。
【月光官能】月代 明日架@厨二能力
[状態]:健康
[装備]:星のかけら×1
[道具]:
[思考・状況]月光官能がメイ・明日架・月代に移り、王国での暗躍時の登場。
基本行動方針:島で行われている戦闘を阻止、島からの脱出。全員生還を望む。
避けられる戦いは極力避ける。同胞探し。
助けられる人も助ける。
現在の行動:市街地全体の探索
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