キャラクター/ゲベール

……ああん？　んだテメー！
　
チッ……あんたかよ、マスター。
　
俺は、ここじゃゲベールっつーことに
なった。文句あっかゴラァ！？
　
ゲベール銃と言やあ、
オランダのもんが多いみてぇだが……。
　
造りは同じゲベール銃でも、
俺はれっきとした和製だ。
間違えたら承知しねーぞ！
　
……昔は、西洋銃ってだけで
珍しがられてよ。
　
あちこち喧嘩に駆り出されたもんだが……
くそっ！　新式銃のやつら！
　
やつらが出てきやがったせいで、
俺は旧式呼ばわりされてっ……！
　
戦場でも、
どんどん後方に押しやられてよぉ！
　
……最後にゃ、どいつもこいつも
俺を見捨てて、新式銃を選びやがった！
　
役に立たねぇ旧式は、お払い箱ってワケだ！
ちくしょう！
　
あんたもどうせ、旧式の俺に
期待なんざしてねぇんだろ！？
　
マスターだかなんだか知らねぇが、
気安く話しかけてんじゃねーぞ！
　
……ハッ。せっかく目覚めさせた貴銃士が、
こんな野郎で残念だったな。
　
ま、もともと戦場はキライじゃねぇ。
作戦には参加してやんよ。
　
……俺みてーな、旧式のクズでよけりゃな。

くそっ！　なんだってんだよ……！
　
……ああ！？　んだよ、またあんたかよ。
　
俺は……レジスタンスのやつらと、
戦場行ってたんだよ。
　
……世界帝軍には、勝った。
舐めんなよゴルァ！
　
けどよ……ちくしょう！
俺ぁどうしても、他の貴銃士に……
新式銃のやつらに勝てねぇんだよ！
　
弾の威力も、命中率も、
旧式の俺とは段違いだ。
　
……隣で戦ってりゃ、
嫌でも見せつけられちまうんだよ！
力の差をよぉ！
　
くそ、性能の差ってやつは……
貴銃士になっても、
埋められねぇのかよっ……！？
　
イラつくのは、それだけじゃねぇ。
　
新式銃の、ミニエーっつうナヨっちい野郎が
やたら話しかけてくんだよ。
　
あの野郎……思い出すだけでムカつくぜ！
　
新式は命中率が高いから、
単独行動が多くて寂しいだのなんだの……
くそ、自慢かよ！
　
なーにが……
旧式時代の集団戦が懐かしい、だ！
ふざけたこと抜かしやがって！
　
……あの新式野郎、
旧式の俺に同情してやがるんだ。
　
そうに決まってる！　俺にはわかんだよ！
　
俺が、旧式だからって……
絶対高貴になれねぇからってよぉ！
　
あんたも、俺に同情してんだろ！？
わかってんだよ、くそっ……！
　
……ハン。あんた、俺に優しい言葉でも
かけて、手懐けようってのか？
　
それで……俺が使えねぇってわかったら、
あんたも俺を捨てるんだろ？
　
あんたの言うことなんざ、信じねぇ……
口では何とでも言えんだろーがよ！

おい、テメー……あんただよ、マスター。
　
……こんなこと、
本当はあんたに聞きたかねぇ。
クソダセーからな。
　
だが、どれだけ考えても……
聞けるやつは、あんたしかいねぇんだ。
　
なあマスター、教えやがれ……！
　
……どうやったら、
絶対高貴になれんだよ！？
　
チッ……やっぱ、マジでダセェ。
　
俺を見捨てるかもしれねぇ相手に……
みっともなく、すがるなんてよ。
　
……それでも、背に腹は代えらんねぇ。
　
ただでさえ性能が低い旧式の俺は、
絶対高貴になれなけりゃ、
貴銃士としてもクズだ……。
　
このままじゃ……俺はここでも、
お払い箱になっちまうだろうがっ！
　
……あんたが俺を見捨てないかどうかなんて
わかるもんか。
　
ああ？　……くそ、また同情かよ！
なんであんたはっ……！
　
そう簡単に、俺を見捨てないなんて
言えんだよ！　こんなクズによ！
　
もう勘弁してくれよ！
あんたが俺を見捨てないっていうたびに、
俺は……！
　
俺は！　みじめで、
たまんねー気持ちになるんだよ！
　
俺はもう、昔みてーに……
みじめな思いをするのは、ごめんなんだ！
　
くそ、くそぉ！
俺は、なんのために貴銃士になったんだ！？
　
俺はただ……これ以上みじめな思いを
しなくても済むくらい、強くなりてぇ……！
　
強くなって……新式のやつらを、
見返してやりてぇだけなんだよっ！！
　
……そう、強く……なって……？
　
そうか……俺、強くなりてぇんだ。
　
絶対高貴になりてぇわけでも、
見捨てられんのが怖えわけでもねぇ。
ただ……。
　
弱い旧式銃のまま……
負け犬のまま終わりたくねぇって、
思ってただけなんだな。
　
……あー。わりぃ、マスター。
その……俺、大声出したりしてよ。
　
でも、あんたに話聞いてもらって、
わかった。俺は……！
　
……いや、やっぱいい。
次の作戦で、証明してやる……！

……あ、あのよ。マスター。
　
俺、今日の作戦でよ……
とうとう、絶対高貴になれたぜ！
　
絶対高貴ってよぉ……
マジで気持ちいいんだな！
最高の気分だったぜ！
　
なあ、マスター。あんたは腐ってた俺にも、
真剣に向き合ってくれた。
　
俺があんたに、どんだけ突っかかっても……
見捨てねぇって、言ってくれた。
　
だから、俺は……
俺がマジでやりたかったことを、
思い出せたんだ。
　
だからよ、その……ありがとよ！
○○！
　
あんたに話を聞いてもらった後、
俺は鍛錬を積んだ……地道によぉ。
　
新式銃との性能差にイラついたり、
絶対高貴になれねーって
焦ったりせずに……。
　
ただ、強くなるためにな！
　
そうしたら、絶対高貴に目覚めたんだ！
　
俺にとっての、高貴さってやつはよ、
たぶん……強い男になるってことだ。
　
……そういう、単純なことだったんだな。
　
新式も、旧式も関係ねぇ！
俺は貴銃士だドルァ！
　
性能の差なんざ、俺自身の強さで……
高貴さで、ひっくり返してやるっ！
　
はっはぁ！
よっしゃーー！　やってやんぜ！
　
この調子でガンガン強くなって、
新式銃のやつらを見返してやらぁ！
　
つーわけで、作戦が終わった後によ……。
　
ソッコーで、スナイドルの野郎に、
果たし状を叩きつけてやったんだ！
　
スナイドルっうーのは、新式銃の
頭張ってるスカしたドS野郎でよぉ。
　
あいつをぶっ飛ばせば、新式銃のやつらを、
まとめて見返してやれるってわけだ！
　
うっし！　行くぞオラァ！
　
スナイドルとの決闘に向けて……
今日からまた、特訓だ！

……ああ、あんたか。
俺になんの用だ？
　
その浴衣……
まさか、俺のか！？
チッ……あの人、マジで作ったのかよ。
　
ま、まあ……
俺ぁ和製だし、浴衣着るくらい
構わねぇんだけどよ。
　
っつーか……いや、その……
この柄、悪くねぇな……。
　
こいつは『龍』っつってよぉ、
伝説上の生き物なんだが、知ってるか？
マジつえーんだよ。
　
自由に雨や雷を降らせたり、
空を飛んだり……！
しかもこいつが持ってる宝玉はよぉ……！
　
ハッ……！
　
……チッ。
と、とにかくこの浴衣は気に入ったぜ。
　
夏祭り……！　行ってやろうじゃねぇか！
オラァ！

うらああああ！
　
浴衣バカにした奴は容赦しねぇぞオラァ！
　
あ！？　んだ今取り込み中……
って〇〇かよ。
　
このチンピラ共がよぉ、
俺の浴衣をからかってきやがったから
一発お見舞いしてやったんだよ。
　
チッ……
人が集まってきやがったか。
　
しゃーねぇ、逃げるぞ！
〇〇！

チッ、なんで俺がよぉ……ああ！？
んだ、あんたか。
　
俺がムカついてんのはよぉ、
今回の旅行とやらのことだよ……！
　
ヤーゲルにミニエー、エンフィールド……
その上、スナイドルまで
顔出すらしいじゃねーか。
　
休暇を利用して、
あいつらと親睦を深めろだぁ？
ふざけんじゃねぇぞ！
　
しかも、恭遠の野郎……
旅行に参加しねぇと、
作戦にも出さねぇとか言いやがるしよ！
　
クソッ！　あいつらと仲よく旅行とか……
想像するだけで、反吐が出るぜ！
　
はぁ……おい、マスター。
あんたも来るんだろ？
　
まあ、あいつらと比べりゃあ……
あんたの相手してた方が、100倍マシだ。
　
いいか、あんた……間違っても、
当日に風邪とか引くんじゃねーぞ。
　
直前にドタキャンとかしやがったら……
承知しねぇぞゴルァ！
担いででも連れて行くからな。

クソッ、あいつら……俺ひとりに
ゴミ捨てなんざ押し付けやがって！
　
まあ、じゃんけんに惨敗したのは
俺だけどよ……。
　
……おい、マスター。
ついてきてくれなんて、俺ぁ頼んでねーぞ？
ったく、お節介かよ。
　
それにしても……
バーベキューは、散々だったぜ。
　
エンフィールドの野郎、栄養バランスが～
とか言って、野菜ばっか食わせやがって。
　
スナイドルは、俺の陣地の肉を
横からさらっていきやがるしよお……！
　
……チッ。思い出したら、
またムカついてきやがった……！
　
あいつらの出したゴミを捨てるなんて、
癪に障るけどよぉ……。
　
その辺に放って、
海を汚すわけにもいかねぇだろうが！
……っしゃ、ゴミ捨て場発見だゴルァ！
　
……っしゃコラァ！
捨ててやったぜオラァ！
うっし、戻んぞマスタァ！