ある日一通のメールが届いた。宛名は「E野賢治」そう一時代を築いたゲームクリエイターだ。
彼とは10年来の付き合いであるが、一昨年から年賀状が届かなかったので少し心配していた。
おっと自己紹介が遅れたな。俺はインターネットの小さいコミュニティでガチムチおっホイ♂生放送
をしている○○○○だ。 普段はアイドルのプロデューサーとして忙しい毎日を送っている。
E野賢治の文章は妙だった。
「久しぶり 新築を立てた 屋上あるけど 寄ってかない?」
デェェェェェン!
突然の出来事に気が付くまで時間を要した。パンツがビシャビシャに濡れていたのだ。
そしてE野のメールには最後にこう書いてあった…
「色をみせろよ」
どういうことだ… しかし、考える時間すら与えてくれない。何故なら今日は我が社のアイドル
菊地真が3日後に行うイベントの打ち合わせがあるのだ。
俺は急いで、クライアントの待つ新宿二丁目へ向かった。
~第2章「ギアを入れろよ」~
待ち合わせの喫茶キャッツアイに着くと、真は既に来ていた。
「遅いですよ!プロデューサー!」
「ごめんごめん…って、クライアントは?」
「それが、待ち合わせの時間を20分も過ぎているんですけど、何も連絡はないんですよね…」
「そっか。ちょっと携帯に電話してみるよ」
「はい! あ・・・それと」
「何?」
「あの…ボク…チョコレートパフェ食べたいんですけど…駄目ですか?」
「いいよ。 2つでも3つでも頼みなさい」
「ボクはそんなに食べません!!」
怒る真を尻目に俺はクライアントに電話をかける。
「おかしいな…でないぞ…」
「どうでした?プロデューサー」
「電話も出ないんだよ。 真は何かきいてない?」
「ボクはなにも…」
「そっか」
「ンアッー!」
突然喫茶店内に荒々しい咆哮が響き渡る。
ギョッとして店内を見回す。他の客も手を止めている。
「プロデューサー、い、今のは何ですか?」
真はウチの看板タレントだ。何かあったら危険だと察知した俺は動揺する真の肩を力強く抱き
「いいか!絶対この場所を離れるなよ」と言い残しその場を後にした。
~第3章「逆襲の野獣」~
「お待たせ!イチゴパフェしかなかったけどいいかな?」
ボクの目の前にパフェを持ってきた店員の目は異常に鋭かった。
「あの…頼んだのはチョコレートパフェなんですけど…」
「サービスでドリンクバーを入れてきてあげるよ」
「あ、ありがとうございます」
この奇妙な店員の行動にボクは師匠の大山倍達先生の言葉を思い出した。
“我 以外 皆 師なり。”
受けたご好意は甘えなければいけない。
ふと、ドリンクバーの方へ目をやると野獣店員が迫真の顔でアイスティーに何かを入れていた。
サッー
「お待たせ!アイスティーしかなかったけどいいかな?」
「い…いただきます……(ゴクッ)」
「美味しい?」
「え…ええ…ううっ!!なんだ…くっ…これは体が…うごか…プロデュ…」
真は崩れ落ちるようにアヘ面で眠りに落ちた。野獣先輩の目が計画通りと言わんばかりに輝いていた。
~第4章「正義のヒーローグリッドマン参上」~
電 光 超 人
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~最終章「きいたら、ききたい」~
苦しそうなうめき声で目を覚ますと同時に、真は驚愕した。
なんと先ほど自分に一服盛った店員が、ウエスタン風の格好をした少女にスリーパーホールドを極められているのだ。
傍らには、喫茶店の中にもかかわらず、ロバも佇んでいる。
「やばいやばい、これ以上やると気持ちよく逝っちゃう。もういいよ。」
野獣先輩の必死のタップにもかかわらず、容赦なく落としにかかる少女。
「ンアッー!」
数分前よりも大きな咆哮を上げて野獣先輩はその場に崩れ落ちた。
勝負はついた──誰の目にもそれは明らかだったが、少女は違った。
あくまで無邪気な笑顔で、のびている野獣先輩の口に拳を叩き込もうとしている。
その刹那──
「カッチーン!いいとこ連れてったげるわ!いらっしゃーい!」
「あっせんせーい!」
喫茶店の戸口から女が少女を呼ぶ。
カッチンと呼ばれた少女は、さきほどと変わらない笑顔で女の元に走っていく。
女はYSだった。
秘技!
ライオンサブミッションダス!
その二人を見た者はもういない・・・
長い間、応援ありがとうございました!
長谷田螺先生の次回作にご期待下さい。
来週からは、菊門舐次郎先生の「グラップラー加湿器」がはじまります。