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Last-modified: 2007-12-31 (月) 11:48:32

983 :ヒメゴト:2007/12/24(月) 22:26:20 ID:lrn0uFGZ

夜。
コーティカルテとフォロンが一日の最後の挨拶を交わし互いの部屋に入って数時間が経った。
すでに部屋の中に明かりはなく窓から月の光が差し込むのみで、物音一つしないほど静かである。
しかしその部屋の主である一柱の精霊、コーティカルテ・アパ・ラグランジェスは未だ眠りに落ちずにいた。
むしろその表情は、好きなテレビ番組が始まる前の子供に似た、興奮と緊張とを無理矢理取り繕ったものである。
おおよそ就寝前とは思えない。
(まだか……)
普段とは違った、見た目相応の愛らしい仕草で何かを待つ。ここ最近の彼女の習慣である。
その何かは日によって来たり来なかったりするのだが、彼女は毎日根気よく待ち続ける。
何故なら、待っているものが“自分が”というものが欠けた酷い朴念仁であり、更に不器用だからである。
そうでもしないと気づいてくれないのだ。

 数刻後、彼女の背後――彼女は自分の部屋の扉を背に寝ていた――で扉の開く音が聞こえた。
(来た……!)
おそらく彼女の契約主、フォロンが起きてきたのであろう。廊下に静かに響く彼の足音が一歩、また一歩と近づいてくる。
彼女は努めて平静を装い、静かに規則正しく、いわゆる寝息をたてはじめた。
「………………」
細く片目を開け、そっと様子をうかがう。
「…………」
だが、足音はそのまま彼女の部屋を通り過ぎていった。フォロンは用をたしに行っただけみたいだ。
「ふぅ」
失望したのか、安心したのか、コーティカルテは溜め込んでいたものを吐き出す。
(まだだ、油断はできん)
フォロンが、彼女が寝ているかを確認するために一度通りすぎたのかもしれない、と気合いを入れ直す。
(もしかしたら油断を誘うために一度通りすぎたのかもしれんしな)
彼の性格を考えれば、あり得ない話だとわかるはずなのだが、どうやら彼女はそういった思考を超越してしまっているようだ。
暫くの間、また静寂が辺りを包む。
そしてまた数刻を経て、フォロンの足音がまた近づいてきた。
意識を集中させているせいか、コーティカルテの耳には彼の足音がかなり大きな音に聞こえる。
何時もなら彼はこのまま部屋の前を通り越し、コーティカルテは落胆と憤慨の後に就寝に至る。

だがその日は一味違ったようだ。
(止まった……?)
彼女の期待通りなのか、フォロンの足音が彼女の部屋の前で止んだ。
慌てて考えておいた――彼女はそれに一日の約半分を費やしている――寝ているように見えて、かつ少々無防備に肌の露出を増やした格好になる。
昨日まで期待していたことが現実になるかもしれない、そう思うと気が気でなかった。
キィ、と彼女の部屋の扉が開き、人の入ってくる気配がする。
しばしの間、時計の秒針の奏でる音だけが聞こえる。どうやら扉のところから覗いているらしい。
彼女には秒針のだす音の間隔が、いつもの数倍長いように感じられた。
不意に、彼の方を向いて普通に話すだけで終わりにしたくなる。
(だめだ、計画をこんなところで台無しにするわけには)
なんとか自制心を駆使して踏みとどまり、目を閉じて気配だけで彼を感じる。
無意識のうちにコーティカルテは息をとめていた。
「ん……」
不自然にならない程度に身じろぎする。
(ば、バレたか?)
フォロンがまた動きだした、感じる気配にコーティカルテの身体がさらに強張る。
すぐ後ろにフォロンがいる。それなのに全く動けない、いや動かない自分。
もどかしさや恥ずかしさで頭がいっぱいになる。フォロンはいったい何をするつもりだろうか。
平生は殆どに迷ったり戸惑ったりすることのない彼女だが、こっち方面、特に自分が当事者となると途端に覇気がなくなってしまう。

 フォロンの右手の指がコーティカルテの肩に触れた。
彼女は多少服をはだけるような格好のため素肌に直接になる。
季節柄か、彼の指は思わず首をすくめたくなるほど、ひんやりとしている。
彼女の指に一瞬、力が入ってしまう。が、フォロンは気づいた様子もなくその手を首筋の辺りまで近付けた。
(な、な、なななな!)
いつも神曲を奏でている彼の華奢な感じさえ覚える指が自らの体を這う感触に、彼女は背筋にぞくりとしたものを感じる。
(まさか、本当に?)
確かに以前彼女は、やろうと思えばできる、と言った。更に思わせぶりな行動もしてきた。
(だが、するならやはり起きているときのほうが)
思っているうちに、今度は左手が彼女の太股に触れる。
フォロンの触り方が優しいせいか、妙にくすぐったく彼女には感じる。
また、視覚を遮っていることが彼女をより敏感にしていた。
(ん、くぅ……)

もちろんフォロンは、そんな契約精霊の葛藤などなどを全く気にすることなく、己が意思のままに手を進める。
「よっと」
が、不意に彼女の体が浮き上がった。
今まで寝ていたベッドの感触が消える。
残った感触は背中と足を抱えるように回されたフォロンの腕によるもの。そう彼女は俗に言うお姫様抱っこされているのである。
コーティカルテからフォロンに抱っこをせがむことはそれほど珍しいことではない。
そしてフォロンがそれを受け入れることは、多いわけではないが、無いことはない。
しかし、彼が自ら彼女を抱くのは初めてのことであった。否が応にも彼女のテンションはあがる。
(もしや、フォロンの部屋にエスコートしようとしているのか)
寝ている人――この場合は精霊だが――を自分の部屋に連れていくことをエスコートというのかは兎も角、フォロンの意思で抱っこしているのは間違いない。
故にそれが人拐いと一般に呼ばれるような行為だとしても、彼女は今、歓喜の中にいた。
そりゃもう、いますぐ起きて照れ隠しにフォロンをポカポカ殴りたくなるほどである。

精霊はその精神が磨耗し、何物にも興味をもたないようになると消滅が近いというが、この様子ではコーティカルテが消滅するなんてことは当分ないだろう。
(いつ、起きるべきか)
さしあたって問題は起きるタイミングを逃したことらしい。
もし彼が彼女の想像、というより妄想通りのことをするつもりなら、部屋に着いた時点でコーティカルテを起こしてくれる可能性が高い。
しかし彼に起こされる、というのも何だか癪だし、気まずいように思えた。
(といっても今の状況も棄てがたい)
フォロンの腕、フォロンの鼓動、フォロンの呼吸、温もり、それら全てを全身で感じることができる。
そんな状況にあって、コーティカルテはエンドレスな思考の循環に陥っていた。
そんなことを考えていたら、彼女はまたベッドに降ろされてしまった。
もちろん彼は一歩も動いていないし、何をしたわけでもなさそうである。
特に変わったことといえば、コーティカルテの頭がちゃんと枕に乗せてあることぐらいか。
(は?)
何がどうなっているのか、さっぱり彼女にはわからない。てっきり夜の営みに入るものと思っていたのである。
また彼の指が胸元におりてくる。もぞもぞと動く指。
(まさか……)

コーティカルテを女性として意識していないからか、フォロンは手際よく彼女の服をただすと開いていたボタンを二つ留める。
「よし」
納得したように言うフォロン。
「おやすみ、コーティ」
彼女には見えなかったが、彼は優しく彼女を見つめること数秒。自分の部屋へと戻っていった。

…………。
決まりが悪いのはコーティカルテである。
フォロンが部屋を出て暫く、彼女はむくっと起きあがる。
「……のに」
音になったかならないかぐらいの声で呟く。先程まで彼がいた扉へ向かって。
「なんでお前は」
さっきまで堪えていたものが沸々と戻ってくる。
もともと彼女はそれほど気は長くない。
「私に魅力がないというのか」
彼女の言葉が部屋に吸い込まれる。だがそれは言霊のように心の中に残り続けた。
「小さいのは嫌いか」
自身の言葉は、彼女が気にしていることを言っているがために、彼女の心をえぐる。
落胆が徐々に怒りに変わってくるのを彼女は感じて、でも止めはしない。
それでも精霊雷など実力行使にでるのだけはなんとか抑えているのだ。彼女にしてみればかなりの進歩ではある。
「お前がもっと早く来てくれれば私だって……」
辺りに負のオーラを放ちながら、コーティカルテは呪阻のように彼が消えた扉に向かって恨み辛みを言いつづける。
「ふっ」
そして言いたいだけ言って――怒りも限界まで溜め込んで――彼女は笑った。
「ふふふふははははははは」
瞳にうかぶのは堪えた怒りと憐れみに似た何か。口元は微笑みをつくる。
それは幼い者を諭すときのような表情。
月光に照らされて、彼女の顔が妖艶さを帯びていた。
神曲もないのに自分の体に沸き上がってくる力。
「実験、と、いくか」
最早彼女に敵はいなかった。
否、最初っからいなかった。
「私が待たされるのが嫌いなのを知っているだろう」
彼女は作戦を変更した。
待っていては駄目だ。自分の性分にも合わない。
やはり私がやらなければ。
今さらのように再確認すると、彼女はフォロンがいるだろう方向を指さし言った。
「私なしで生きられない体にしてやろう」
性的な意味で。

この時、彼女の半径約一キロメートル内にいるボウライなどの下級精霊が一斉に姿を消したという。

**********************************************************************

 焦る心をどうにか抑えて、待つこと数時間が経った。
今頃はフォロンも夢の中であろう。そう考えたコーティカルテは予備動作もなく
軽々とベッドから飛び降りる。
もちろん着地で無粋な音をたてることなどない。
細心の注意をはらって扉を開け、フォロンの部屋へと向かう。何時もなら一瞬で
着いてしまうような距離だが、やけに遠くコーティカルテには思えた。
フォロンの部屋の扉の前で一度立ち止まり、中の様子を伺う。
(……よし)
扉の金具が起てる僅かな音すら出さないように注意してフォロンの部屋に忍び込
んだ。
コーティカルテの部屋と違って、机などが置いてあり生活感を感じさせる。
何時も彼女がフォロンと一緒にいるため、家での生活の大半をこちらの部屋で過
ごすことになるから当然といえば当然か。
ベッドで規則正しく寝息をたてるフォロン。彼女はそっと彼の側に寄る。そして
優しく彼の頬に手を添えた。
彼の白く線の薄い頬は、柔らかに手を押し返す。手に伝わる体温も心地よい。
コーティカルテの視線は彼の顔に固定されてしまった。
いとおしい。というよりは愛しい、であろうか。
コーティカルテのは、年下を大切に思うという気持ちではなく、対等の者として
の感情であった。
彼女にしてみればたったの十数年、しかしその間にフォロンは目覚ましいほどの
成長を遂げた。
肉体的にも。精神的にも。
柄にもなく、そんなことを考えながら契約主のフォロンを見つめる。
彼女の右手も吸い付いたみたいに彼の頬から離れようとしない、むしろその感触
と戯れている。
そしてその手は頬をなぞってゆっくりと滑るように落ちていき、顎を通って首筋
、胸元で止まる。
差し込まれた彼女の手によって、フォロンの服が若干はだけた。
手のひらから感じる彼の鼓動。
自分たち精霊よりも、短く、儚い命の証を感じ、コーティカルテは思うところが
あったのだろうか、目を少し細める。
(私は……お前の……)
コーティカルテは右手を彼の左頬に戻し、左手も反対に添えると、寝ている彼の
高さまで自分を近づけ、そっと口付けた。

 時間にして僅かに二秒。
行為自体も、これからしようと思っていることに比べれば微笑ましいレベルであ
る。
それでも彼女はちょっとした征服感に似たものを覚えた。
コーティカルテの唾液でフォロンの口許が濡れている。
それほど長く残る痕跡ではない。
だが、そんなことはどうでもよかった。
フォロンとはいずれ、必ず、口付けよりも長く、はっきりとした二人が共にいた
証を残そうと決めたのだから。
もう一度してみたい。そんな気持ちが彼女を動かす。
吸い込まれるかのようにコーティカルテはフォロンの額、耳、首と口付けていく

まるで、これは私のものだと謂わんばかりに。
舌が這ったところや、キスをした場所が月光に照らされて、光っている。
彼女は更にフォロンの服のボタンを一つずつ外し、舌を這わせていく。
たまにフォロンの胸に自分の頬を乗せ、僅かに彼を抱き締めてみたりする。
その時彼の香りを胸一杯に吸い込んで、満足したら再度降下を始める。
だが突然に感触が変わった。
「ん?」
丁度お腹の辺りに、人肌よりも硬いものが入っているようだ。
残りのボタンを外して確かめる。
「これは」
彼女は知らないが、それはフォロンが毎朝悶えることなく起きるために必要な、
防具である。
そして知らないが故にコーティカルテは、なんでこんなところに“隠した”のか
、と疑問を感じた。
(内容は……)
表紙をあまり見ないでめくる。
1ページ。
また1ページ。
最初の方は、有名人の結婚や政治家の汚職の記事などが載っている、特に何の変
哲もない、ありふれたものだった。
街を行き交うサラリーマンなどもよくそれを見ているし、フォロンもたまに目を
通していた。
しかしだからこそ、彼女の疑惑の念が更に強まる。
(なぜ隠す)
更に数ページ進める。
そして、見つけた。
雑誌のほぼ中間、いかにも何か隠してありそうな袋閉じを。
慎重に綴じ込みを開く。
果たして、中身はコーティカルテを納得させるのに十分な代物であった。
「こここ、こんなもの……」
人間の女性が装いを全て脱ぎ捨て、此方へと手招きする写真や、夜中に殿方の寝
室に忍び込む写真。
色々なシチュエーションがあったが、皆一様に共通点を持っていた。

胸が、でかい。

確かに、神曲を受けている時はコーティカルテも出ている処は出ているし、それ
でいてくびれもある、ナイスバディではある。
しかし、情事の最中にフォロンに神曲、歌をずっとというのは――それも心惹か
れるものが彼女にはあったが――躊躇われる。
そんなわけで彼女はこれからフォロンと、この姿でしなければならない。つまり
――
「お前というやつは~~~」
見るからに肩や腕がピクピクと痙攣を起こしたみたいに震えている。
次の瞬間、手に持っていた雑誌が消失したのは言うまでもない。
軽い閃光でそれが精霊雷によるものだとやっとわかる程の早業であった。
だが、音をたてすぎたせいかフォロンに反応が。
「んん……」
フォロンの声に慌ててその場にしゃがむ。
(しまった……)
心の内で舌打ちする。
諸々の根源はフォロンにあるというのに、と思う彼女だが仕方がない。
隠れるにしてはあまりに幼稚ではあったが、音を発てるリスクを考えると動きは
制限される。
因みに彼女に実体化を解く、という選択肢は浮かばなかった。
じっと、自分は家具だと言い聞かせ、その場に固まる。
知らないものが見れば、可愛らしい、と苦笑するところだが、平生の彼女を知る
ものが見れば困惑を禁じ得なかったろう。
威厳の欠片もない。
そのくらいコーティカルテは動揺していたのだ。
姿勢をそのままに、目だけでフォロンの方を見る。どうやら起きたわけではなく
、寝返りをうったらしい。
念には念をと、更にもう少し彼女は様子を見た。

 秒針が半周する。
コーティカルテは細く長く、安堵の溜め息をつく。
次いで立ち上がると、最終目的地へとフォロンのズボンに手をかけた。
既にフォロンを見下ろす彼女の目は据わっている。
慎重、且つ素早く、ズボンを下ろしていく。途中、彼の表情を確認していくのも
忘れない。
幸いにも今日のフォロンは仕事がハードだったせいか、起きる様子はない。
彼女はズボンを足首のあたりまで下ろすと、次に下着に指をかける。
冬のこの時期、指は予想以上に冷たいので直接肌に触れるのは避けたい。
そう考え下着の生地だけ持ってスルリと同様に下ろすと、後々のために片足だけ
外した。
当然、フォロンのアレが姿を現すことになる。
彼女は暫く凝視してしまう。
(これがフォロンの)
コーティカルテ自身、人間の男性の生殖器を見るのはこれが初めてではない。
長い人生の中で、興味の有無、男女を問わず裸身を見る機会がなかったわけでは
ない。
だがそれは殆どが性的行為に及ぶ時のものであり、すなわち、彼の今現在のソレ
を見て彼女は不躾にもこう思ってしまったのである。
(ちいさい……?)
とはいえ計画に支障があるはずもなく、彼女は彼の足を開くとその間に体を潜り
込ませる。
両手を擦りあわせ温めると、おずおずとフォロンの分身へと右手をさしのべた。
やはり彼女の想像よりも柔らかい。
ふにふに指でいじる。
「……お?」
暫くいじっていると、芯が入ったように固さが増してくる。
「おぉ」
そして固さと共にむくむくと大きくなってきた。
「……くっ……」
だが気づかないうちに爪を立ててしまったようだ。フォロンの声に慌てて持ち方
を変える。
フォロンの分身を握るように持つとゆっくりと上下に扱きはじめた。
その間にフォロンのソレを観察してみる。
見れば見るほど、歪な形だとコーティカルテは思った。
むくむくと反り返り、更にソレ自身が熱くなってきている。
コーティカルテは空いていた左手でフォロンの袋に触れ、玉を転がすようにいじ
る。
(確か次は)
記憶を辿り、彼女は顔をフォロンの硬く反り返ったソレに近づける。
「うっ……」
ソレが発する男性特有の臭いに思わず顔をしかめる。
我慢できない臭いではない。そこでソレの先端に舌の先を当てた。
ぴくっと肉棒が反応する。
反応があるということはこれで良いのだな、と安心した彼女は、もう幾度かのタ
ッチのあと舌を這わせた。
もちろんコーティカルテにとってこれが初めての体験である。
彼女は見聞きした知識と、少々以上に癪ではあったが先程の雑誌の情報を総動員
してことに及んでいる。
できるだけ唾液を含み、フォロンのソレに絡める。
最初は頂点から、飴を転がすように丹念に舐めていく。少し下りてカリのくびれ
た部分を舌でなぞり、竿を唾液でぬらぬらと月光に輝かせた。
次第にフォロンのソレに彼女の唾液以外の液体がでてくる。彼女はそれを味覚で
悟った。
よりしつこく、ねっとりと己が契約主のソレに自分の唾液を塗りこんでいく。

僅かに月の光が差し込んでいるだけの仄暗い部屋を、多少の粘性をもった液体特
有の卑猥な音が充たしている。
初めは好きになれそうもなかった臭いも最早気にならなかった
むしろこの臭いは彼女の身体を何かにかきたてる。
右手で彼のソレを上下に大きく扱き、分泌される液体を舐めとりながらも、彼女
はどこか焦燥感に駆られていた。
一方のフォロンは一向に起きる気配はない。
幸か不幸か今日は事務の仕事が山積みにされていて、それらを片付けるのに精一
杯だったため、疲労で深い眠りに落ちていたのだ。
もちろんコーティカルテには事務の仕事は関係ない。いつものように気まぐれに
口出ししたり、雑誌を読んだりしていただけだ。
といっても、彼女は仕事があろうと疲れるようなことはないだろうが。

「んむ」
暫く舌だけでフォロンのソレに奉仕していたコーティカルテだが、ついにそれを
口に含んだ。
先程よりもその温度、感触を意識せざるを得ない。
(あったかい)
手に握ったときから薄々気づいてはいたが、そこは人の体のなかでも一際熱をも
っていた。
口の中で、時折ぴくりと動く。

(私は、フォロンのを)
彼女はそれを意識するほど、自身の下腹部のあたりにうずきに似たものを感じた

そっと下着の中に右手を入れ、うずきの根源であろう部分に指で触れる。

くちゅ。

そこは湿っていた。
人間の姿をとっているからだろうか、精霊には生殖行為に相当するものがない故
に性欲などは存在しないというのに。
彼女の手は自然と其処をいじり始めた。フォロンのをくわえたまま。
「ん……んんっ……」
淫らな水音にコーティカルテのくぐもった声が混じる。
右手の指は自らの愛液に濡れているが、一向に止める気配はない。
すぐに表面を撫でるだけでは満足できなくなった彼女は指を内側に侵入させる。
初めての異物の感覚にくっ、と思わず声が漏れる。
だが、やめない。
やめられない。
彼女は中指で浅く抽送繰り返す。
初めはゆっくり、その感触を楽しむように。そして次第に速く、好奇心の導くま
まに。
「む、んっ、んっ、くっ」
フォロンのソレを頬張ったままの口から快楽の証を溢し、コーティカルテの目は
トロンとしてくる。
そしてフォロンへの奉仕も終わったわけではない。滴り落ちそうな唾液とフォロ
ンの先走りの混ざった液体を舌先で受け止める。
そのまま裏筋をつつ、となぞりあげた。
フォロンのソレがぴくっと反応する。一層大きくなった感もある。
彼女は再度頬張るとぎこちなくも顔を上下させた。
ちゅぷ、ちゅぷと一定のリズムでコーティカルテの口とフォロンの肉棒の繋がっ
ているところが音がする。
フォロンのそれは今の彼女の口には少々大きく、舌や頬の内側を擦るように動く

「ん、んっ、ん、ん」
歯を当てないよう注意する余裕は彼女になかった。
自分の秘処で生じる甘美な刺激と、フォロンに内緒で淫らなことをしているとい
う背徳が彼女の脳髄をとろけさせる。
冷静な思考など働かず、もっと……もっと、と飽きない欲求が彼女を動かしてい
る。
いつしか彼女の秘処を責める指が二本に増えていた。
人差し指と中指が内部の襞を、よりキモチイイところを探るようにうごめく。
彼女の意思というよりは、指自身が勝手に動いてしまう、といった方が近いだろ
う。
二本の指が奥へ奥へと侵入してくる度に、彼女は切ない吐息を漏らすしかない。
一方、フォロンのソレも彼女の喉の近くまで犯していた。もっとも、こちらは彼
女の意思でである。
くわえ込む時は柔らかく、離れる時は口をすぼめ吸いあげる。段々と慣れてきた
コーティカルテは巧みにソレを責める。
フォロンの反応の間隔も短くなってきていた。
「んぁ、んっ、んっ」
鼻に抜けるような声をだしてしまう。自分の限界も近い。
彼女は指の動きが更に加速させた。未だ味わったことのない感覚へと。

「ん、く……んん~~~~~~!」

声を我慢することなどできなかった。

それほどまでの、悦楽の奔流。

息を吸おうとするもフォロンのをくわえているため、結果的に強烈な刺激をフォ
ロンにも与えることになる。
「ぷはっ、はぁ、はぁ……うっ!」
ビクッとフォロンの肉棒が跳ねたかと思うと、白濁した液を吐き出す。
勢いよく飛び出したそれはコーティカルテの頬を、髪を、服を汚した。
「はぁ、はぁ……」
コーティカルテは息を整えながら、フォロンの吐き出したものを見る。
(これが、精子)
子供をつくるための種。直接見ることはできないが、ここにはフォロンの遺伝子
をもつたくさんの子種がある。
そう思うと何か感慨深いものがあった。
彼女は服についたものを一つすくうと口へと運んだ。
しばらくの間舌で転がしたあと、こくりと飲む。
「妙な、味だな」
飲み込み難く、喉の奥で溜まってしまったものを唾と一緒に飲み込むと彼女はそ
う感想を述べた。
試しにもう一度、頬についた精子を舌で器用にすくって味わってみる。
「むぅ」
結果は一緒だった。味に関しては。

(体が熱い?)
熱ったみたいにまた身体がうずく。
ふと、フォロンを見る。
余程疲れていたのだろう、彼に起きる様子はない。
彼のソレがまた反り起っているのが見えた。
「フォロン……」
殆ど躊躇もなく彼女は彼の上に跨る。
一度服を再構成して綺麗にすることもできたが、面倒なのでやめた。
脱ぐのすら面倒だ、とフォロンのソレを手で支えるともう片方の手で自分の下着
の底を横にずらし、幾度か照準をあわせるように試行錯誤したのち身体を沈める

「かはっ……あぁぁ……」
彼女へと入ってこようとする、そのものの大きさにコーティカルテは苦悶の声を
あげる。
彼女たちに破瓜の痛みというのは厳密には存在しない。
だが、外部のものによって身体が形を変えられるのはそれなりに苦しみと痛みを
伴う。
当然、先程の二本の指とは桁が違った。
彼女自身の体重が軽いために一気に貫かれることはなかったが、寧ろじわりじわ
りと押し入られる方が苦しいのである。
「はっ、ふっ、はっ」
彼女が深呼吸しようとしても、胸の奥まで入ってはこない。
小刻みに、どうにか落ちつこうとする。
「うぅ……」
それでも続けようとするのは、やはり彼女自身の強さの賜であろうか。
そしてついに彼女はフォロンを自らの一番奥まで導くことに成功する。
繋がっている部分は彼女のスカートに隠れて見えないが、これはこれで見ている
者がいないのが勿体無いくらいに淫靡であった。
もしもフォロンが見ていても現状を理解するには膨大な時間を要していたであろ
うが。
「はいっ……た……」
ポツリと呟く。
コーティカルテは、想い人と、契約とも神曲とも違うより肉体的な繋がりを得た
ことに心がうち震えていた。
彼女に色々な感情が沸き上がってくる。
だが、これで終わりではない。
「い、くぞ……」
誰に言うわけでもなく、そう宣言すると彼女は腰をゆっくりと持ち上げた。
フォロンのソレが彼女の内側をカリの部分でひっかき、挿れる時とは違った感覚
を生む。
(く、吸いだされるようだ)
今回は快感の方が大きかった。下唇を噛み必死に声を我慢する。
先端だけを秘処でくわえる状態まで腰を上げてから、腰を落とす。
これもフォロンの様子を見ながら、徐々にリズミカルに。
「あっ、ん、あっ、んん!」
二人の粘液が、二人のぶつかる度に音を発てる。
さながら水音と喘ぎ声の二重奏といったところか。
彼女はフォロンに最奥を突かれる度に理性が削り取られるような気がした。
(まさかこれほどまでとは)
おぼろ気ながら思う。
これでフォロンが起きていて、彼の意思で抱いてくれたら。と彼女はフォロンを
見つめる。
残念ながら彼は起きはしない。
「フォロン、フォロン……」
想い人の名前を何度も口にする。
形、温度、感触、フォロンの全てを知りたい。
そういった気持ちが彼女をさらなる行動へと誘う。
まだ足りない、と彼女は自分の服のボタンを外しはじめた。
消すこともできたはずなのだが、長いこと人間の世界にいた彼女は妙に人間臭い
行動をとることが多い。
コーティカルテがボタンを外し終える。
でも脱ぎはしない。
前面だけはだける格好になり、彼女の控え目な胸が腰を揺らす度に見え隠れする

どうやら、フォロンの防具はマニアックな趣向のものだったようだ。
「っは、んぁ、あぁ」
彼女の秘処は、彼を食べようとするかのようにきつく締め付けている。
また、締め付けた分だけフォロンの感触を心に焼き付けられる気がした。
(フォロンは、気持ちいいのだろうか)
穏やかな表情で寝ている契約主を見て、彼女は不安になる。
とりあえず、苦しいとか、痛いわけではないということは表情から推測できるが

彼の空気の読めない行動に端を発した今回の仕返しだったが、コーティカルテは
少し後悔していた。
やはりフォロンには起きていてほしい。声をかけてほしい。
そしてなにより、一緒に感じあいたい。と彼女は切に思ったからだ。
しかし、今さら起こすわけにもいかない。でも起きてほしい。そんな葛藤が彼女
の中で渦巻く。
(せめて温もりだけでも)
そう思った彼女は彼の肌に手を滑らして、フォロンに覆い被さるように倒れる。
互いに服をはだけているので、腹部や胸が直接触れ合う。
冬のこの時期、人肌がより暖かく感じられた。
(フォロンの鼓動が……)
トクン、トクンと規則正しく脈打つのが聞こえる。いつもより少し速い気がした

動き辛い体勢ではあったが、フォロンのお腹を胸をぺろぺろと舐め始めた。
その様は彼女の体型も相まって、仔猫のように可愛らしくもある。
一瞬、このまま寝てしまってもいいかな、と彼女は考えた。
この状態が心地よいし、少々眠い。
上から布団をかければフォロンが風邪をひくこともないだろう。
明日の朝、彼が慌てふためく姿が彼女の目に浮かぶ。
「ふっ……」

当然そんなわけにはいかない。
彼女は自嘲気味に微笑むとフォロンに抱きついたまま、腰をくねらせる。
ぎこちない動きは、それはそれで別種の快感をもたらした。
単調な抽送とは違って、弱点を探るように縦横無尽にフォロンのソレは彼女の膣
を動きまわる。
「んく、あ、んんっ」
上半身へのフォロンの温もりが、下半身への責めが彼女を狂わせる。
ゆっくりと――フォロンも、コーティカルテ自身をも――じらすように動く。
「フォロン……フォロン……」
口が開けば、愛しき人の名を呼ぶ。それが彼女の興奮を高めることを知っている
ようである。

またコーティカルテの頬はフォロンに付けた唾液で濡れてしまっている。
それも、彼女に気にする様子はない。
フォロンしか見えていないのだ。
彼女の身体にも赤みがさし、限界が近いことを暗示している。
「っは、あぁ……」
彼女は左右に小刻みに体を震わせる。
その存在を誇示している胸の先端がフォロンの体で擦れ、フォロンの肉棒が彼女
の秘処を拡張するかのようにグリグリと動く。
また彼のソレが大きくなった気がした。
「フォロン……一緒、に……」
コーティカルテは更に激しく腰を左右に揺らす。
彼の肉棒が彼女の秘処を拡張しようとするかのように蹂躪した。
「あっ、やっあっあっあっ……」
ヒクッヒクッと彼女は彼のソレを締め付ける。

そして終に彼の肉棒がビクッと跳ねた。

「やっ、あぁーーーーーー!!」

彼にギュッとしがみつく。
目は空ろで、口元は半開き。
手足は強張る。
意識の全てが秘処に集中しているようだ。
「あっ……あ……」
彼の吐き出したものを膣に感じる。
「はぁ……はぁ……」
数刻後に全身から力がぬけた。
彼女の中を充足感が満たす。
半ば強制的ではあるものの、フォロンと肉体的に結ばれた。その事実を彼女は胸
の内で反芻する。
自然と口元に笑みが浮かんだ。

 しかし残念ながら余韻に浸る暇はなかった。
「うっ、うぅ」
フォロンのうめくような声。
(なっ―――!)
外は既に明るみ。朝を告げる鳥の鳴き声が聞こえる。
慌てて起き上がる。
そこからの彼女は速かった。
まず、彼の服のボタンをとめる。。
そして彼女の秘処から彼のをぬくと、残ったものを吸いとった。
ここまでで五秒。
次に顔についた白濁を舐めとると彼女の服を再構成する。
ここまでで七秒。
最後にジャンプして天井で一回転すると、
「ぐへぁっ!?」
フォロンの上に跨った。
「起きろ、朝だぞ」
努めていつものように、そう宣言する。
「かはっ……」
いつものように、フォロンも苦悶の表情を浮かべる。
「……」
残念ながら悶絶してしまったようだ。
痛みがひかない。
「……」
フォロンの、おはようの言葉を待っているコーティカルテも冷や汗をかきながら
、成り行きを見守る。
バレやしないかと気が気でないのだ。
(服も大丈夫だ。証拠はない……はず)
やがて、いつもより時間がかかったが、フォロンは第一声を発する。
「雑誌が、ない?」
「おは―――ん?」
いつもどおりを崩されてコーティカルテは調子がずれる。
平生なら次に何を言っていたかも忘れてしまった。
「あ、あんな雑誌など知らん」
「あんな……?」
「しししらんったら知らんのだ、だが私は空腹だぞ」
最早、文法無視も甚だしいくらいのセリフ。目が泳いでいる。
彼女はいたたまれなくなって、何も言われないうちに彼から降りて、キッチンへ
と向かった。

下着を、彼のもので濡らして。

フォロンも思案していたが、彼女のヒントに気づくことはなく、おかしいなぁ、
と頭をかくのみだった。

<fin>