一体何なのかと活性ペプチドが首を傾げると、開いた窓から肌作用が顔を覗
かせ、視線を下げて活性ペプチド達―――より正確に言うならば、脇腹を押
さえて痛みに苦しむ活性ペプチドと、その脇で棍を持ったままの食欲増進を見る。
結果、肌作用は不機嫌そうに眉を寄せた。そして何を思ったのか、
窓枠に足をかけ、
おとーさんをいじめるなー!
そんな言葉と共に、肌作用は城の二階の窓から何の迷いもなく飛び
降りた。そして、パジャマ姿の肌作用は活性ペプチドと食欲増進の中間地点に着地、
否、着弾する。
うわっ!?
その小さい体躯にどんな力があったのか、肌作用が着地した瞬間地
面が僅かに陥没。その衝撃で活性ペプチドは後ろへと倒れ、食欲増進は咄嗟に後
ろへと飛ぶ。
ちょ、なんだ!?
後ろへと倒れた活性ペプチドは脇腹の痛みも忘れ、すぐさま体を起こす。
すると、食欲増進を威嚇するように肌作用が立ちはだかっていた。
おとーさんをいじめるな!
む? いや、いじめていたというわけではっ!?
誤解を解こうとする食欲増進だが、肌作用は問答無用と言わんばかりに
殴りかかる。そして、食欲増進は思わず目を見開いた。
―――速い!
内心での独白と同時に、食欲増進は一気に警戒の度合いを強める。小
雪の動きは単調で、軌道は一直線。だが、それを補って余りあるほ
どにその動きは速い。
倒れこむように繰り出された拳を、食欲増進は地を蹴って後方に跳ぶ
ことで回避する。すると、目標を失った肌作用の大振りの拳は地面へ
と命中した。
その瞬間、ズドンという轟音が響く。