I REMEMBER YOU

Last-modified: 2010-04-01 (木) 15:56:18

【I REMEMBER YOU】
1 :名無し募集中。。。:05/05/01(日) 00:50:57 0

第1章 ~心の扉~

「ん~~・・・オレはホントにここに住んでいたことがあるのかなぁ・・・」

オレは6歳までこの町に住んでいてそれから12歳になる今まで
親の仕事の関係でアメリカやヨーロッパですごした。
そして、久しぶりにこの町に帰ってきた。
でも、記憶なんてほとんどない・・・。

大きな公園に辿りついた。
自宅の近くにこんな大きな公園があるのはいいな・・・。
サッカーをやっている人がいたりキャッチボールをしている親子がいたり
一輪車に乗ってる女の子がいたり・・・
緑もいっぱいあるし・・・なんて思っていたら
突然、後ろから「ドーン!」と何かが突っ込んできた。

「うわっ!!」
「キャ――ッ!!!」

オレは、軽く弾き飛ばされた。

振り返るとローラーブレードを履いた茶パツの女の子が転んでいた。

「キミ、大丈夫?」
「あ、すいません。大丈夫ですか?あの・・・止まること出来なくて・・・」

顔をよく見ると色白で目がぱっちりとした女の子だった。
「ケガはないかい?」
と手をとって起こしてあげると向こうから
また、ローラーブレードを履いた女の子たちがやってきた。
「りぃちゃんどうしたの?」
茶パツでセミロングのコが転んだ女の子を気遣った。
「あ――!!!血が出てる!!!」
もうひとりの色黒の女の子がオレを見て大きな声を出した。
よく見るとオレの左腕から血が流れていた。

「だ、大丈夫ですか?」
「ちょっと派手に擦り剥いただけだと思うから大丈夫だよ。」
「うちのりぃちゃんが・・・ごめんなさい。」
「いや、それよりもふたりそろって騒いでちゃ
その・・・りぃちゃんってコが・・・」
「うわ――ん!!りぃのせいだもん。うぐっ・・・ヒック・・・
りぃが悪いんだもん・・・わ――ん!!!」
「あ、もう・・・りぃちゃん・・・」
色黒のコが、オレに渡しかけたハンカチで『りぃちゃん』と呼ばれる
体当たり娘の涙を拭き始めた。
もうひとりの派手目の茶パツのセミロングのコが
申し訳なさそうに深々と頭を下げ続けていた。

「そんなに謝らなくてもいいから・・・」
「でも、でも・・・」
このコも涙目になってる・・・

「みんなどうしたの?」
声のする方向を見るとそこには一際小さな女の子がいた。

「あのね、りぃちゃんがこの人にぶつかってケガさせちゃったの。」
このコたちは知り合いなのか色黒のコがタメ口を利いていた。
「ケガといっても、ただの擦り傷だし・・・」
「ただの擦り傷って、血が流れてるじゃないですか。
とりあえず、傷口を水道で洗いましょう。」
こんな状況で誰よりも冷静な判断が出来るこの小さな女の子は
もしかしたら自分よりも年上なのかもしれない。

「ほら、ただの擦り傷じゃん。」
傷口を水道で洗って大したことが無いことを伝えた。
「ホントにすいませんでした。」
この背の小さい女の子がリーダー的存在なのか
このコが現れたことで事態はとりあえず収まった。
「ごめんなさい・・・りぃのせいで・・・」
この体当たり娘は、まだ泣いていた。
ふと、胸元を見ると指輪を通したチョーカーをつけていた。

「そのチョーカー・・・」

りぃちゃんと呼ばれるこの女の子は、
チョーカーを見られたとたん
あわててそのチョーカーを手で隠した。

「りぃちゃん、チョーカーのこと聞かれると
こうやって隠して何も話してくれなくなるんです。」
茶パツのセミロングの女の子が説明をしてくれた。
「あ、そうなんだ。ごめんね。ヘンなこと聞いて。
オレも同じチョーカーをしてたから・・・」
突然、体当たり娘が目を見開いてオレのことをマジマジとみつめた。
「え、な、なに?」
「『光の指輪』・・・」
「な、なに?『光の指輪』って・・・
このチョーカーはスペインにいたときに母さんに買ってもらったものだし。」
「え?スペインって・・・外国にいたの?」
色黒の女の子が驚いた表情をしながら言った。

「ここで立ち話もなんですし、あそこのベンチでお話しませんか?」
小さな女の子の一言で決まった。

屋根つきの円形のベンチで自己紹介することから始まった。

「じゃあ、ちぃから行くね。んと、徳永千奈美、小学6年生でぇす。
好きな食べ物は『レバ刺しぃ』特技は『バドミントン』。
『ちぃちゃん』って呼んでね♪」
独特な声で笑顔が可愛い色黒の女の子だった。
「次は、キャプテンだよ♪じゃんじゃかぁー♪」
そして、やたらとテンションが高い・・・

キャプテンと呼ばれたのは先程ナイスな仕切りをみせた小さな女の子だった。
「わたしは、清水佐紀。中学1年。一応、このサークルのキャプテンです。
今日は、まだ4人が来てないけど全員で8人のサークルです。
サークル名は『Berryz工房』です。よろしくね。」
やっぱり年上だったんだ。どうりでしっかりしてると思った。
サークルって・・・まだ4人いるんだ・・・

「次は、みやぁだよ♪」
こういうときは『ちぃちゃん』が仕切るんだ・・・

茶パツのセミロングの女の子が立ち上がった。
「わたしは、夏焼雅。小学6年です。・・・今日は、うちのりぃがごめんなさい・・・
えっと・・・『みや』って呼んでください・・・」
大人びた顔に茶パツ・・・絶対年上だと思ってたけど・・・
『りぃちゃん』と『みや』は姉妹なのかなぁ・・・

「最後は、りぃちゃんだよ♪じゃんじゃかぁ♪」
ちぃちゃん、楽しそうだなぁ・・・
「あの・・・さっきはごめんなさい・・・」
・・・
・・・
このコ、固まってるよぉ
「自己紹介!」
みやが、催促して「ハッ!」と思い出したかのように話し始めた。
「えっとぉ・・・す、菅谷梨沙子、小学4年生。
あの・・・あの・・・」

このコ、どうやら極度のあがり症らしい・・・注目されてまたフリーズしてる・・・
みやとこのコは姉妹じゃないんだ。

「じゃあ、最後にオレだね。オレの名前は、吉井秀人。12歳。小学6年。
向こうの友達からはヒデって呼ばれてた。
父さんの仕事の関係で海外をあっちこっち飛び回ってた。
実は、6歳までこの町に住んでいたんだ。
久しぶりに帰ってきたんだけど全然記憶がなくって・・・。」
「へぇー、海外暮らしなんてカッコイイなぁ」
ちぃちゃんが、目をキラキラさせながら言った。
「でも、あまりにも引越しが多かったから友達が少なくてね。」
「じゃあ、ちぃが友達になってあげる。」
「そんなのずるいよぉ。わたしも友達になる。」
「ちぃちゃんもみやもダメだもん。りぃが友達になるんだもん。」
「ちょ、ちょっと待ってよ。あ、あの・・・」
「ハイハイハイ。みんなで友達になればいいでしょう?取り合いなんかしてどうするの?」

最後は、さすがサークルのキャプテンが締めた。

「で、このサークルって何のサークルなの?」
一番気になっていたことを聴いてみた。
さっきから、梨沙子がオレのシャツの裾を掴んでるのも気になるんだけど・・・
「ダンスをやったり焼肉やったりいろんなことをするサークルです。」
キャプテンの佐紀が簡単に説明してくれた。
「ホントは8人なんですけど、今日は4人しか集まれなくて・・・」
千奈美が補足の説明をしてくれた。
「みんな学年もバラバラだけど・・・」
「学校もバラバラですよ。わたしともう一人のモモちゃんは中学生だし
舞波っちと茉麻と友理奈の今日来ていないメンバーは西小学校で
みやとりぃちゃんとちぃちゃんは南小学校なんです。」
「あ!オレはその南小学校に転校するんだ・・・」
「りぃと一緒だぁ♪」
「りぃちゃんは学年が違うでしょ。」
雅が、オレの裾を握ってる梨沙子の手を外しながら言った。
「1組ならちぃと一緒で3組ならみやと一緒だ。」
千奈美は、3組なら嫌だというのが顔に出てる・・・
このコに好かれたのかな・・・でも、ちょっと嫉妬深そうだ。

明日は、日曜日だから全員揃うということで
また、この公園で会う約束をして解散した。

いきなり、女の子グループと友達になるなんてラッキーだな・・・
でも、また海外転勤とかですぐにここを離れることになるんだろうな・・・

歩いていると後ろから自転車のベルの音がした。
「歩くの速いよぉ」
チャリで追いかけてきたのは千奈美だった。
「あれ?どうしたの?」
「だって、公園から出たらちぃが帰る方向と同じ方向に向かって歩いてるから・・・」
「家、こっちなんだ。」
「うん♪そこの角を曲がると家が見えるよ。」
「え!もしかして近いかも。」
「ホント!やーん。運命かも♪」
「・・・あの・・・あとのメンバーって・・・」
「うんとねぇ、乙女チックで小柄で声が高くて
佐紀ちゃんと同じ中学生なのが『モモちゃん』。
で、一番大人っぽくてママみたいなのが『茉麻』。
背が一番おっきくて遠くから見ると大人に見えて
話をすると子供なのが『友理奈』。このコは、ちぃと一番仲がいいの。
あと、一番おとなしいけど歴史に詳しくて勉強が出来て
サッカーの上手な可愛いカレシがいるのが『まいはっち』。」
「ふ~ん・・・」
一気に説明されるとやっぱりこんなリアクションしか出来ないや・・・
「ねね。メールアドレス教えてよ。」
「え、オレ携帯なんか持ってないよ。また、いつ海外に引っ越すかわかんないから。」
「そんな・・・また海外に行くかもしれないの?・・・」

笑顔だった千奈美の表情が悲しみの表情に変わった。

「もう、帰ってきたのと違うの?」
「父さんの仕事があるから・・・わかんないよ。」
「そんなぁ、せっかく友達になれたのに・・・」
「でも、中学卒業するまでここにいるようなことも言ってたしね。
そうなったら、携帯買うよ。」
「買ったら最初にアドレス教えてね。」
「わかったよ。」
しばらく学校の話をしたりしながら一緒に歩いた。

「ここがオレの家だよ。」
「あー!家と3軒隣だよ。」
「マジで?」
「うん。ほら、『徳永』って表札がある。」
「ホントだ。」
「やったぁ。これってやっぱり運命かも♪」

千奈美のこの日、最高の笑顔だった。

翌朝、オレは親とすぐに携帯を買いに出かけた。
これで、中学卒業までの3年半は日本にいることが決まった。

家に帰ってくると、千奈美が家の前にいた。
「時間まで待てなくて来ちゃった・・・そしたらいないんだもぉん。」
「ごめん・・・実は・・・」
「実は?」
オレはいきなり買ったばかりの携帯を目の前に出した。
「わっ!携帯!」
「うん。さっそく買ってきたよ。」
「じゃあ、中学卒業までは・・・」
「ここにいるよ」
「あはぁ♪」
千奈美が突然抱きついてきた。
「ちょ、ちょっと喜びすぎだって。」

約束どおりアドレスと番号を交換した。
日本で友達が出来てオレは嬉しかった。

一緒に公園に行くとすでに何人か揃っていた。
梨沙子は、今日もローラーブレードに乗っているので
気をつけて遠巻きにしてベンチに近づいた。

ベンチには、昨日のメンバーのほかに初めて見る人もいた。
「来た来た。こっちこっち。」
最初に話かけてきたのはキャプテンの佐紀だった。
ベンチに座っているのは背の大きな女の子と小柄な女の子だった。
「あれぇ?ちぃちゃんともう早、仲良くなってるぅ。」
特徴のある声と話し方でこのコが、
ちぃちゃんが言っていた『モモちゃん』っていうコなんだろうと思った。
「ヒデちゃん家とちぃの家が近所なの♪」
「へぇ、そんな偶然もあるんだぁ。
でも、ちぃちゃんが積極的にアピってたりしてぇ。」
小柄な女の子がちょっと意地悪な表情をしながら言った。
「そんなことないもん。」
「おや?ちぃちゃん顔が真っ赤ですねー」
背の大きな女の子が千奈美を煽っていた。

千奈美は、みるみる真っ赤になっていった。

向こうでローラーブレードで遊んでいた
雅と梨沙子がベンチに来た。
「あ~やっと来たね。」
今日の雅は、ポニーテールが可愛かった。
梨沙子は無言でただニコニコしながらTシャツの裾を掴んできた。

「自己紹介するね。わたしは、嗣永桃子。中学1年生。
『大人』を目指してまぁす♪『モモ』とか『モモちぃ』って呼んでね』
「わたしは、須藤茉麻。小6です。バレーボールが得意です。
みんな、わたしのことを『ママ』って呼んだりするけど
普通に『茉麻』って呼んでください。お願いします。」
なんか最後は切実だったな・・・

「そんで、キミがウワサの『ヒデちゃん』だね。
佐紀ちゃんからは、年下だけど『クールな男の子』だって聞いてたよ。」
「そんなんじゃないよ。引越しが多かったからサバけてるだけだよ。
でも、父さんが中学を卒業するまではここにいるって言ってたから・・・」
「じゃあ、ずっとここにいるんだよねー」

梨沙子が今日最初に発した言葉だった。

保全代わりに更新

この、梨沙子はなぜかオレにすごく懐いてる。
雅が、裾を掴んでいる梨沙子の手を外して
「め!」って怒った。
それを見て梨沙子は泣きそうになっていた。
このふたりはホントに姉妹みたいだ。

「お待たせぇ~~」

声のする方向を見るとふたりの少女がいた。
ひとりは小柄でエクボのある女の子で
もうひとりは、スラっとした細身の背の高い女の子だった。

「ふたりとも遅いよぉ。」
桃子が甲高い声で言った。
「だって、まいはっちの家の仔犬が可愛いかったんだもん。」
この背の高い女の子は見た目とは違い
話すとどこか舌っ足らずな話し方でギャップが可愛かった。

「あれぇ?まいはっち、新しいミサンガつけてるぅ」
雅が、何かを含んだような笑みを浮かべて言った。

「また、作ったよ。」
「今度は、なんの願掛け?」
茉麻までもが、何かを期待した顔をして聞いた。
エクボの女の子は、顔を真っ赤にしながらボソっと答えた。
「・・・カレのケガが早く治りますようにって・・・」
「キャー!!カレだってぇ――――!!!キャ――――!!!!!!!!」
みんなが一斉に騒いだ。

「ゴホン!・・・えっと・・・そろそろふたりも自己紹介してよ。」
やっぱり締めるのは佐紀か。

「石村舞波・・・小6です・・・」
・・・
・・・
それで終わりかよ!
「まいはっち、からかわれたからっていつも以上に無口になっちゃったよ」
雅が、軽いツッコミを入れた。
雅って、頭の回転がいいコなのかも・・・。

最後に残ったのは、黒髪のロングヘアのスレンダーな女の子だった・・・

そのコは、しばらくオレを見つめていると
さっきまでの笑顔に変わって急に冷たい表情に変わった。

「くまい・・・熊井友理奈・・・小学5年・・・」

「もう、友理奈までぇ・・・」
雅が困った顔をして言った。
「ホントはもっと明るいコなんだよ。ちょっと今日はご機嫌斜めみたい。ごめんね。」
千奈美が、オレに必死に説明をした。

「じゃあ、全員そろったことだし
ヒデちゃんから改めて自己紹介してもらおうよ。」
佐紀の提案で改めて自己紹介することになった。

「オレは、吉井秀人。6歳までこの町に住んでて父さんの仕事の関係で
海外を転々としてました。何日か前に久しぶりにこの町に帰ってきました。
最低でも中学卒業まではここにいるのでよろしく。」
「海外だってぇ。すごぉいねー♪」
桃子と舞波が顔を見合わせていた。
「で、引越しばかりで友達が出来なかったから、
ちぃたちが友達になっちゃおうってことになったの♪」
最後は、おまえが持っていくか!!!

そのとき友理奈は、違う方角を眺めていた・・・

友理奈の態度が気になりながらも自己紹介が終わった。

全員と携帯のアドレスを交換した。
アドレスのフォルダーには『Berryz工房』と題したタイトルをつけた。

「さて、新しく仲間も増えたことだし歓迎パーティでも企画しますかぁ。」
千奈美に負けずにテンションの高い桃子が提案した。
「さぁーんせーい!!」
仲良しのサークルだけにこういう提案に対してのまとまりが早い。
「ありがとう・・・」
「どうしたの?泣いてるの?それともつまんないの?」
千奈美がオレの微妙な表情の変化に気がついた。
「いや・・・いつもすぐに転校してたから・・・嬉しいよ。」
「そっかぁ。いつもすぐに引越しだったんだもんね。」
そのとき、ものすごいヘンなオーラを背中に感じた。
振り向くと梨沙子がものすごい剣幕で迫ってきた。
「どうして、りぃと仲良くしてくれないの!!」
「え、い、いや、仲良くしてるよ。」
「ウソ!全然りぃと話してくれないもん。
まだ、昨日のこと怒ってるんだ!!うわ―――ん!!!」
「あ、いや、ごめんね。泣かないで。仲良く話そう。」
このコはどうしたらいいものだか・・・
千奈美が、茉麻と雅を慌てて連れてきた。
このふたりがいないとこのコは大変だぁ・・・

「ねぇ。ここの施設使ってカレー作ろうよ。」
桃子が、目をキラリとさせながら言った。
「そうだ!ここの施設は、確か小学生なら500円で使わせてくれるよ。」
誰かにメールを打っていた舞波が思い出したように言った。
「じゃあ、決定だね♪」
オレたちが、梨沙子に振り回されているあいだに
オレの歓迎パーティは、みんなでカレーを作るということになってしまった。
「じゃあ、今のうちに担当も決めちゃいましょう!」
「ハーイ!!!」
佐紀が、話し始めると梨沙子もおとなしくなった。
オレはこっそり茉麻と位置を変わってもらって
梨沙子にワンクッション空けてもらった。
「おつかれさんw」
千奈美が微笑みながらこっそり囁いた。

「それじゃあ、まず作るひとぉー!」
佐紀はからだは小さいが声が大きくてキャプテンとしての貫禄があった。
「ハーイ!!モモが作りまぁす!」
元気よく手をあげたのは桃子だった。
中学生だし安心して任せられるな・・・
「えー・・・モモちゃん、大丈夫ぅ?」
「お米とげるのぉ?」
あ、あれ?・・・みんなから不安な声があがってる・・・
そのとき雅が
「わたしも作る方に回ろうかな・・・茉麻も作ろうよ。」
「うん♪そうする。ちょっと任せられないメンバーだしw」
「ちょっとー、ひっどぉいよー」
桃子が一際甲高い声で言った。
「わたしも作る方にまわるんで買出し部隊は残りの・・・」
佐紀が言い終わる前に梨沙子が遮って言った。
「りぃも作るんだもん!」
このコ・・・いつのまにかオレの背後に回ってた・・・
「みやが、作る方になるんだったらりぃも一緒に作るんだもん♪」
「・・・りぃちゃん、そのへんの草とか入れないよね?」
オレの一言に茉麻が『こらこら』という表情をした。

「それじゃあ、ヒデちゃん、ちぃちゃん、まいはっちと
そして友理奈。買出しお願いね。」

千奈美は、仲良し同士で買出し部隊になったのが相当嬉しいらしく
ひとりでテンションをあげていた。
何が必要か、桃子たちと打ち合わせを始める舞波。
オレの左隣では、友理奈が冷たいオーラを発しながら
全く違う方向をみつめていた・・・

オレ・・・何か嫌われているみたいだ・・・
買出しも大変なことになりそうだ・・・

「んと・・・今度の土曜日の朝にスーパーに行こうよ。」
打ち合わせを終えた舞波が戻ってきた。
「『土曜市』ってやってるから安く
ていっぱい買えるよ。」
「最近のまいはっちって妙にそういうの詳しくない?」
千奈美が、驚いた表情で言った。
「相手がいるひとは、ち・が・う・の♪」
桃子が、ウインクをしながら千奈美に言った。
すると舞波は、顔を赤くしながら
「違うったらぁ・・・先週、アキナとアキナのお義母さんと
3人でイチゴを買いに行ったら『土曜市』ってやってたんだもん」

「お義母さんだってぇ~~~~~!!!!!」
佐紀まで加わってみんなで一斉に声を合わせた。

「明日、転入するんでしょ?」
公園からの帰り道に千奈美が話し掛けてきた。
「そうだね。」
「何組かなぁ?」
「さぁね。」
「1組ならちぃと一緒なのにぃ~。」
「うん。」
「・・・もう・・・ホントに『クール』なんだからぁ・・・」
「え、あ・・・ごめんw」
「早く土曜日にならないかなぁ。」
「そうだね・・・あのさ・・・」
「ん、なになに?」
「オレ、友理奈から嫌われてるのかなぁ・・・」
「そんなことないよぉ!人見知りするコだから溶け込めてないだけだよ。」
「それならいいけど・・・一度も目を合わせてくれないから・・・」

そんな話をしていたら家の前に着いた。
「それじゃあ。」
「明日、1組で待ってるよー!」
お互い手を振って別れた。

月曜日の朝、母親と学校に行った。
オレと母親は、職員室に通された。
これで、どのクラスに転入するのかが決まる。
『明日、1組で待ってるよー!』
昨日の千奈美の言葉が頭の中を過ぎった。

「えーっと、吉井秀人君は3組に転入ですね。」
先生は、名簿を見てそう言った。
(3組といえば・・・みやだ!!みやと同級生になっちゃったよ。
・・・ちぃちゃんは、残念がってるだろうな・・・)

「はい!席に着いて!!」
先生の後に続いて教室に入った。
オレの姿を見て教室がざわついた。
教室を見渡した時、ほぼ中央の最後列に座っていた
雅が、オレに小さく手を振っていた。

「今日は、転校生を紹介します!
吉井秀人君。帰国子女で、お父様の仕事の関係で
いろんな外国に住んでいました。」
オオオッ!!!っと驚きの声があがった。
「あの・・・実は、6歳までこの町に住んでいました。
だから、転校というよりは帰ってきた感じです。
これから、よろしくお願いします。」

「席は、窓側の一番後ろが空いてるのでそこに座ってください。」
言われた席に着いて右を向くと
席ふたつ分の隣が雅で思っていたよりも近かった。
「よろしくね♪」
雅は、小さな声でオレに向かって言った。
オレは『うん』と微笑みながら頷いた。

1時間目が終わったとき教室の扉が『ガラッ!』っと勢いよく開いた。
千奈美が、膨れ面で仁王立ちしていた。

「やっぱり来たか・・・」

「あ・・・行ってあげた方がいいよ・・・」
「そうする・・・」
雅の助言もあってオレの元に集まってくるクラスメイトをかき分けて
仁王立ちしている千奈美の傍に行った。
「なんで、1組に来てくれなかったの?」
オレが近づくと膨れっ面がとたんに涙目に変わった。
目をうるうるさせながらオレを見つめる千奈美の表情に
胸が『キュン』と締め付けられた。
「・・・ごめんね。(アレ?なんでオレ、謝ってるんだろ)」
「ちぃね、来てくれるのずっと待ってたんだよ。」
「でも、家が近いから一緒に学校は行けるじゃん?(何言ってんだ・・・オレ?)」
「行くときだけぇ?」
「あ、え?も、もちろん帰りも一緒だよ(あれー・・・)」
「今、言ったこと絶対だからねー!」
千奈美の表情がいつもの3倍の笑顔になってた。
スキップしながら1組の教室に戻る千奈美の後姿を見ながら
オレは本心を思わずつぶやいてしまった。
「まいったなぁ・・・」
「何がまいったの?」
虚をつかれて慌てて振り返るといつのまにか
梨沙子がニコニコしながらオレのシャツの裾を掴んで立っていた。

「り、りぃちゃん・・・ど、どうしたの?ハハ・・・」
(どうも、りぃちゃんは苦手なんだよな・・・)
「みやぁに会いに来たんだもん。」
「あらぁ、りぃちゃん、今日は来るのが早いんじゃない?」
「だって、ヒデちゃんが転校してくるって言ってたから来たんだもん。」
(いったい、どっちが目的なんだよ・・・)

「来た来た。みやの『妹』。」
「可愛いよなぁ」
「あの転校生、何で知り合いなんだ?」
教室から声が聞こえた。
「イエイ♪」
「可愛い!!!」
梨沙子が、教室にいるみんなに『ピース』をすると
教室から男子女子の入り乱れた声が聞こえた。
「・・・りぃちゃん・・・人気者だね。」
「うん♪」
さりげなく雅は、シャツを掴む梨沙子の手を外した。

次の授業が始まった。
授業も中頃、雅からキレイにハート型に折りたたまれた手紙が投げ込まれた。
雅を見ると小さく手を振っていた。
オレは、折りたたまれた手紙を読むことにした。
(・・・これどうやって開くんだ?・・・)

『今日は、初日から大忙しだね。
もしかしたら、ちぃちゃんはヒデちゃんに気があるのかも?
なぁんて。ウフフ。気にしないで。
でも、りぃちゃんは本気でヒデちゃんを狙ってるよ。
        雅   』

「りぃちゃんは、本気って・・・」
ちょっと涙目になりながら慌てて雅を見ると
雅は笑いながら両手を口に添えて
『ウ・ソ』と声を出さずに言っていた。
(みやは、味方だと思っていたのに・・・このコもなかなか侮れないな・・・)

「りぃちゃんは、無邪気なだけなの。悪気はないから仲良くしてあげてね。」
「はいはい。わかってます。」

ホームルームが終わり帰る時間になった。
雅は、図書館で待っているという梨沙子を迎えに行った。
雅と梨沙子の家は隣近所で家族ぐるみの付き合いだそうで
昔から姉妹のように行動をともにしていたらしい。
どおりで仲がいいわけで。

オレが、クラスメイトにどっちの門から帰るのか聞かれているとき
教室の出入り口の方から特徴のあるアニメ声が聞こえた。
「ねぇ!ちぃと帰ろう!」
千奈美が、早く帰りたそうにピョンピョン跳ねていた。
「はいはい。約束だもんね。」

ひやかしともとれるような声を背に千奈美のもとへ寄った。

「今日はどうだった?」
「なんか・・・いろんなことがあって疲れた。」
「もうはや、話題の転校生になってるしねぇ♪」
「え!そうなの?」
「帰国子女で背がおっきくて英語が話せてしかも『クール』ときたら
同い年の男の子にはそういないからね♪」
「英語は、向こうの生活に必要だっただけだし
『クール』じゃなくて冷めてるだけだしさぁ・・・」
「そういうところが何かいいのw
同級生にはない雰囲気を持っているところが。」
(それは、ちぃちゃんがそう思っているだけじゃん?)
「そうそう、りぃちゃんにはホントまいったよ・・・」
「なんか苦手そうだもんねw」
「いつもは、昼休みにだけみやのところに来るらしいんだけど
今日は、毎時間、毎時間教室に来ては『ゾンビごっこやろー』だの
『鬼ごっこやろー』だのって・・・」
「フフ♪りぃちゃんに好かれてるね♪」
「つーかさ、普通『鬼ごっこ』だったらじゃんけんで鬼を決めたりするじゃない?
言い出したときにはすでにオレが鬼決定なんだよ。
みやとふたりで手をつないで逃げてたりしてるし。」
「それは、ヒデちゃんに追いかけられたいんだよ。

・・・ちぃも追いかけられたいもん・・・」

次の日もまたその次の日も梨沙子の遊び相手をやらされた。
ときにはオレひとり、ときにはクラスメイトを巻き添えにしながら
雅の妹分の梨沙子の世話を焼かされた。
「りぃちゃん、遊び相手が増えてよかったね。」
「うん♪」
ニコニコしながら頷く梨沙子を横目に見ながら
振り回され役のオレたち男子は、お互いの健闘を涙目になりながら称え合った。

そして金曜日の放課後を迎えた。
梨沙子の待つ図書室に集合したオレと雅と千奈美は、
携帯のメールを駆使して西小グループの
舞波、茉麻、友理奈と
中学生のお姉さんズの佐紀、桃子と連絡をとりながら
明日の打ち合わせをしていた。
千奈美は、梨沙子に算数の宿題を教えていた。
(ちぃちゃんもどっちかっていうと世話好きなんだな・・・)
ふたりを見ていたオレに雅が話し掛けてきた。
「ちぃちゃんが気になる?それとも、りぃちゃんが取られたのが悔しい?」
「うわっ!ものすごい意地悪な顔になってるぞw」
「やっだー。なってないよぉ。」
「なってるって。誰が見てもその表情ならオレがいじめられてるように見えるからw」

同じ学校ということもあってこの3人とはよく話をするようになった。

学校帰り

途中まで一緒だった4人は、雅・梨沙子の姉妹組と
オレと千奈美のご近所組とに別れた。

「明日、楽しみだねぇ。」
「だねぇ。朝起きれるかな・・・」
「8時集合だよ。大丈夫?」
「学校より早いよ。大丈夫?」
お互いに『大丈夫?』と言い合って笑った。

千奈美の人懐っこい笑顔が、学校でも人気があるのがよくわかった。
オレも千奈美の笑顔を見ると気持ちがほぐれる。

「海外に住んでたときも外でカレーとか作ったぁ?」
「アメリカでは、バーベキューパーティーなんてよくあったよ。
向こうでは『BQ』って言って『今日、家でBQやろうぜ』みたいに誘うんだ。」
「ふ~ん。映画でやってるみたいな感じなんだ。」
「そのままだね。ホントそのまま。庭が広いから近所のひとがみんな来るんだ。
でも、みんな手ぶらじゃなくて各食材を持ってきたり
山のように盛ったサラダを持って来たりしてみんなでパーティーを作るんだ。」
「いいなぁ・・・ちぃも参加してみたい。」
「ちぃちゃんなら笑顔が可愛いからすぐに人気者になれるよ。」
「え!可愛い!」
そう言って、千奈美はオレの前方に回り向き合う形になった。
身長の差でオレを見上げる千奈美の表情に『ドキドキ』が止まらなくなった。
「『可愛い』って言ってくれてありがとう・・・ちぃ、すごく嬉しいよ♪」

その日の夜、あのときの千奈美の顔が頭から離れず寝付けなかった。
(別れ際にあんな笑顔を見せるなんてさぁ・・・反則だよ)
ちょっとだけ千奈美が気になりだした・・・

朝、迎えに来た千奈美とショッピングセンターに行った。
待ち合わせ場所の入り口には、舞波、友理奈の他に
もう一人、初めて見る女の子がいた・・・
そのコは、友理奈よりも小さくて舞波より少し大きく見え
長い髪の毛の裾が外にハネていて
ケガをしているのか包帯を巻いた左足を引きずっていた。
「おっはよー!」
千奈美が、早朝であるにもかかわらずいつも通りに元気に挨拶した。
オレも一緒に挨拶すると
「おはよう♪」
友理奈がこの間とは違って笑顔で挨拶してくれた。
(今日は、機嫌がいいのかな?)
もう一組の舞波と謎の少女は、さっきから何やら口論になっているようだった。

「朝っぱらから『夫婦喧嘩』してるんだよぉ」
友理奈がやれやれという表情をしながら言った。

「『夫婦喧嘩』!?」
「まいはっちの彼氏クンも来たんだ。」
「え?女の子じゃないの?」
千奈美と友理奈がオレの発言に顔を見合わせながら噴出した。
舞波たちの方を見ると
女の子のような男の子は、膨れっ面になった舞波の頭を
「ごめん、ごめん。」と言いながら撫でていた。

朝からそんな微笑ましい光景を見せられながら
お互い自己紹介をしてショッピングセンター内の土曜市に走った。

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