海水面上昇の原因は海水の熱膨張である

Last-modified: 2007-06-15 (金) 00:32:26

出典
『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』武田邦彦、洋泉社

前項では地球が温暖化しても北極の氷が溶けて海水面が上昇することはないと書いたが、南極の氷はどうなるのだろうか。

実は南極の氷も、温暖化の影響は受けないし、逆に氷の量が多くなるのである。20世紀では地球が温暖化しているのに、南極の気温はわずかに下がっている。また、温暖化すれば海水の蒸発量が増え、それが南極で雪となって凍りつくので、むしろ温暖化することで氷の量は増えるのだ。

では温暖化は海水の上昇と無関係かというとそうではない。実際に温暖化に伴って海水面は上昇している。それは海水の熱膨張が原因である。土よりも水の方が、熱膨張する割合が大きいので、結果として水面は上昇するのである。

IPCCという国連機関の英語の報告書では、両極の氷は海水面の上昇とほとんど関係ないと書いてある。ところが、それを訳した日本の環境白書では、正反対のことが書いてあるのだ。武田氏の研究室の学生がそのことについて環境省に問い合わせたところ、担当者は「IPCCの報告書が長かったので、それを短い文章にしたらこうなった」と答えたという。2ちゃんねるのコピペとして流行りそうな発言である。

筆者は環境問題については素人だし、温暖化についてはさまざまな説があるので、武田氏の説が正しいかはわからない。しかし刺激的な説であることは疑いない。