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Last-modified: 2008-10-23 (木) 21:19:40

「ペルセルテ、遊んでないで仕事しなさい!
 で、コーティカルテは・・・ちょっとこっちへ」

 ある昼下がりのツゲ神曲楽士派遣事務所。

 所長であるツゲ・ユフィンリーの雷がペルセルテに落ち、
 コーティカルテは応接室に呼び出された。

 コーティカルテについてフォロンも応接室に行こうとするが・・・

「フォロンは報告書、コーティカルテだけこっちにいらっしゃい。」

 コーティカルテはフォロンの契約精霊なだけで、所員ではない。
 所員では無い以上、所長として叱る訳では無いだろうし・・・
 応接室に入る前にフォロンを見ていたから、
 フォロンに関わりがあることなんだろうけど・・・自分自身、身に覚えが無い。

 無為に叱られた経験は無いので大丈夫だろうと、
 フォロンは持ち前の集中力で目の前の面倒な報告書を書き始めた。

-- 奥手な2人と進んでいる2人と 番外編 2 --
   ひっかかった2人といたずら好きな上司と同僚と 1

「こんな所でなんだ?ユフィンリー?」

 2人の時は外見相応のしおらしさがあるコーティカルテだが、
 事務所や外ではいつもの様に傍若無人に振る舞っている。

 精霊に上司や部下は居ないし、居たとしてもユフィンリーは上司では無い。
 が、そうではなかった。 扉を閉めるなり小声で、

「コーティカルテ・・・あなた気がついて無いの?」
「?・・・なんの事だ?」
「フォロンよ・・・もしかして体調悪いんじゃないの?」

 その一言にコーティカルテは衝撃を受けたように硬直する。

 寝ている姿に異常は感じられなかった・・・朝の起きる時間も普通だった・・・仕事中にも疲れた様子は無かった。
 それとも精霊の自分にはわからないが、人間同士ではわかる予兆があるのだろうか・・・

「月曜日は寝不足みたいだったし・・・」
「(あっ?!)」

 目線を下にしていて良かった、ユフィンリーに見られてはいないだろう。
 多分、自分の顔は真っ赤になっているだろうと、コーティカルテは思ったから。

 日曜日、正確にはもう月曜日だったが・・・

「本人は軽い筋肉痛って言ってたけど、身体の動きも変だったし、
 休日に無理なトレーニングとかしてないでしょうね?コーティカルテ?」
「(無理は・・・させてないはず・・・確かに頑張ってくれたけど・・・)」

 もうまったくユフィンリーの声が聞こえていないコーティカルテ。
 あの日は頑張ってくれた。たくさん甘えて、たくさん答えてくれた・・・
 思い出すだけで顔が赤くなってくるほど・・・

「聞いてるの?コーティカルテ?」

 いきなりユフィンリーの顔が視界に入ってくる。
 そこでようやくコーティカルテは現実に戻ってこれた。

「うわぁっ?!」
「なっ?!失礼ねぇ・・・心配で言ってるのにー」

 コーティカルテの反応に対し苛立ちが混じっているのは、
 ユフィンリーが本当に心配しているからだろう。

 が、本当に心配しているのなら、なおさら「本当の理由」を知られたくない。
 日曜日にいっぱいえちぃをしたため、翌日に響きました。などとは・・・

「わ、私から見て・・・大丈夫だと思うぞ?
 日曜日は確かに頑張り過ぎてたから止めたし・・・」
「ならいいんだけど。ただでさえ人手が足りないから、体調崩して休まれても困るからね、
 まぁ、コーティカルテが言うんだから大丈夫よね。心配しすぎたかも・・・」

 ユフィンリーはため息まじりにそういうと、

「話はそれだけか?」
「うん」

 コーティカルテはこの場から逃げたかった。
 普段ならごまかす自信はあったが、こーいうのはごまかせる自信が無い。

「じゃあ戻るぞ?」
「うん」

 逃げるように応接室から出て、フォロンの隣席に座るコーティカルテ。
 フォロンの顔色をうかがうが、確かに疲れているように見える。

 ユフィンリーも戻ってきて、ペルセルテの書いた書類をチェックしていた。
 やはり気になるのか、フォロンの様子をうかがっている。

「怒られた・・・んじゃないよね?」

 ユフィンリーに聞こえないように小さな声で、
 フォロンは書類に向かいながらコーティカルテに聞いた。

「私が怒られる前におまえが怒られるだろう?」
「あはは・・・確かに・・・」
「帰ったら話すから・・・」
「うん・・・」

 日常の中の2人だけの時間。
 が、すぐに破られた。

「フォロン、ちょっと外回り行ってきてもらえる?
 プリネシカもつれて。」
「あ、はい」
「で、定時過ぎるだろうから直帰していいわよ。」
「なっ?!」

 2人で外回りとなるとコーティカルテはついていけない。
 もう一人ペルセルテと一緒にユフィンリーに抗議の声をあげてみるが。

「仕事なんだからそんな顔してもだめ。」

 あっさり却下されてしまった。

「独りで帰らせちゃってごめんね、コーティ。」
「コーティカルテさん、フォロン先輩お借りしますね。」

 申し訳なさそうなフォロンと、苦笑するプリネシカ。
 2人を乗せた「ハーメルン」のエンジン音は徐々に小さくなっていった。

 ペルセルテも外出し、ユフィンリーとレンバルトは電話したり書類を書いたりしており、
 コーティカルテは暇をもてあましていた。

 暇つぶしにと、カウンター前にあるマガジンラックの雑誌でも読もうとする。
 と一冊の本が目にとまった。

「簡単・お手軽 元気になる料理」
「?・・・!」

 「元気になる」を見た瞬間、コーティカルテは心の中で「これだ!」と叫んだ。
 疲れているであろうフォロンに、元気になる料理を食べてもらおう。
 コーティカルテの頭の中はそれだけになってしまった。

「わ、私はもう帰ろうかなぁ・・・?」

 努めて平静を装い、早退(?)しようとするコーティカルテ。
 明後日の方向を見ながら何気ない振りで言ってみると、

「いいんじゃない?近くだし送ろうか?」

 レンバルトの気を遣った一言にも、

「い、いや!独りでも帰れるし大丈夫だ」

 と、強がって見たり。

「そっか、ならいいんだけど・・・」
「うむ、じゃあ先にあがらせてもらうぞ!」
『お疲れ様でした』

 本を背中に隠し、背を向けないようにして事務所から出て行くコーティカルテ。
 残った2人は黙々と仕事を続けていた。

「よし!」

 アパートに戻って、買ってきた食材を前に、気合いを入れるコーティカルテ。
 買い物をした商店街のおっちゃん・おばちゃん達に、「普段ありえない人が買い物してる」
 「旦那のために頑張る嫁さんみたい」等々言われては、気合いも入るというもの。

 エプロンをした姿はどことなく可愛らしくもあり、危なっかしくもある。
 それでも、シェルウートゥのおかげで料理が出来るようになってきたのだから、
 気合いが空回りする事はなさそうだ。

 自分のために頑張ってくれて、仕事もあって疲れているフォロンのために、
 コーティカルテは本を片手に戦いに赴いた。

-- 奥手な2人と進んでいる2人と 番外編 2 --
   ひっかかった2人といたずら好きな上司と同僚と 2

 コーティカルテがアパートで頑張っているのも知らずに帰路につくフォロン。
 直帰しますと事務所に電話を入れ、プリネシカをマンションまで送り届ける。

 ユフィンリーに「多分、今日は手ぶらで帰っていいはずよ」と言われるが、
 フォロンにその意味がわかるはずもない。

 コーティカルテに夕飯の希望を聞こうとアパートに電話すると、

「あ、あぁ大丈夫だ、それより何時くらいに帰ってくるのだ?」
「多分30分もかからないと思うけど・・・。それより大丈夫って?」

 慌てているようにも聞こえるコーティカルテの声。

「30分だな?いいから気をつけて帰ってこい。気にしなくていいからな?!」
「う、うん」

 何がなんだからわからない。
 まぁコーティカルテがそこまで言うのだから大丈夫だろうと、
 フォロンは「ハーメルン」のエンジンをかけた。

 30分後、無事にアパートについたフォロンの鼻に、食欲をそそる香りが漂ってきた。
 隣の部屋かな?と気にしていなかったが、いつものようにドアを開け靴を脱ごうとするが・・・

「ただいまー」
「お、おかえりー・・・」

 フォロンは目の前の光景に硬直する。

「な、なんだその反応は・・・」

 エプロン姿で、顔を赤らめ、恥ずかしそうにするコーティカルテ。
 その奥のテーブルには作りたてであろう湯気が上る料理の数々。
 食欲をそそる香りがキッチン中にあふれている。

「えーと・・・」
「いいから早く手を洗って席につけ!」

 目の前の光景を理解するまもなくコーティカルテに言われ、手を洗って席につく。
 目の前に並ぶ料理の数々。

「えーと・・・これコーティが?」
「・・・他に誰が居るというのだ?ほら・・・」

 拗ねたように頬をふくらませるコーティカルテ。
 エプロンをはずし目の前の席に座って、フォロンに食べてみろと進める。

「じゃあ・・・頂きます。」
「どうぞ、召し上がれ。」

 ちょっとした緊張と期待が交錯する夕食が始まった。

「ど、どうだ?フォロン?」
「うん!おいしいよコーティ」
「そっか・・・よかったぁ」

 いくら味見をして大丈夫と思っていても、食べてくれる人の口に合うかはわからない。
 そして、フォロンの表情と感想はお世辞では無く、本当にそう思っているようだった。

 安心したコーティカルテも、食べ始める。

「ふふ・・・」
「ん?どうしたのコーティ?」

 ふと、フォロンの食べる姿を見て、手を止めほほえむコーティカルテ。

「ん?いや・・・そんなに美味しそうに食べてる姿を見てるとな・・・
 うれしいなって、フォロンに喜んでもらえるのは・・・やっぱりうれしい。」
「そ、そっか。僕もうれしいよ・・・というか幸せかな?
 コーティが作った料理が食べられて・・・あ・・・?」

 お互いに想っている事を伝え合う。照れてはいるがごまかす事無く素直に伝え合う。
 が・・・

「ん?どうした?」
「いや・・・所長が言ってたのってこれだったのかな?って」
「ユフィンリーが?」
「うん、『多分、今日は手ぶらで帰っていいはずよ』って、
 コーティが夕飯作ってるのをわかっているみたいだった。」
「・・・あの小娘・・・わたしをはめおって・・・」

 テーブル上の握り拳をぷるぷる言わせるコーティカルテ。
 甘さの中に軽い苦みがあるテーブルになってしまった。

「どういう事?よくわからないんだけど・・・」
「あのな・・・」

 今日の事をフォロンに説明するコーティカルテ。
 月曜日は筋肉痛だった・フォロンの体調が悪そう等々。
 あと、元気になってもらおうと考えた原因となった本の事も。

「いや・・・所長にそういう事聞かれて無いし、筋肉痛でも無いし・・・
 疲れているように見えたのはやっかいな報告書を書いてたからだと思うし・・・
 そもそもこの本・・・レンバルトが買ってきてたけど違和感を覚えてた位だし・・・」
「あの小娘・・・あの小僧・・・よくも・・・私をはめおって・・・」

 ぷるぷると震えるコーティカルテ。本人が目の前にいたら精霊雷を落としそうな・・・

 ちなみに、フォロンが外回りに出たのも、
 コーティカルテがついていけないようプリネシカを同行させたのも、
 コーティカルテが一人で帰る事になるよう残業させたのも、
 その一環である。

 そこをフォロンのたった一言が甘い雰囲気に変えてしまう。

「けど、ありがとうねコーティ、心配してくれて。
 それにこんな頑張って料理つくってたんだし。むしろ2人に感謝したいくらいかも・・・」
「っ!・・・ま、まぁ感謝はしてもいいかもな、釈然としないものがあるが・・・
 ほら、冷める前に食べてしまわないとな」

 2人は幸せを噛みしめながら、食事に戻った。

 フォロンはシャワーを浴び、コーティカルテは片付けをしていた。
 手伝うよとフォロンは言ってくれたが、最後までやらせてくれとコーティカルテが言ったからだった。

 一通り片付け、いつもの様に精霊酒をグラスに注ぎ、ちびちびと舐めていると電話がなった。

「もしもし?」
「もしもし?ユフィンリーだけど・・・コーティカルテ?」
「そうだが・・・よくもはめてくれたな?ユフィンリー?」

 言葉は辛辣だが表情は穏やかで、微笑みすら浮かべていた。

「そう?じゃあ良いお知らせがあるんだけどやめようかなぁ」
「わかったわかった、感謝しているよ」

 意地を張ってもしょうがない。
 フォロンを大切に思っているし、フォロンに大切に思われている、
 楽しく幸せな時間を過ごせたから。

「明日入ってた仕事だけど中止になったから、明日休んでもいいって伝えておいてくれる?」
「あぁ、わかった。」
「休んでいいけど、頑張りすぎて筋肉痛にさせないようにね?」
「ば、ばかもんっ!誰がっ!」
「あはは、まぁそういう事なんで、じゃあね」

 まったく、人をはめておいて、あげくけしかける。
 けど、明日は休みか・・・ううん元気になって欲しいし、
 今日は大人しく寝てもらおう。

 そんな事を考えていると、フォロンがシャワーから戻ってきた。

「ん?コーティ何かあったの?」
「ユフィンリーからの伝言だ、明日の仕事は中止だから休み。だとさ」
「んー、そっか。じゃあさ・・・お酒でも飲みながらゆっくり過ごそうよ。」
「そうだな・・・」

 2人は酒とグラスを持って、フォロンの部屋にうつった。

「~♪」

 コーティに、感謝の気持ち込めて神曲を歌うフォロン。

 壁に背をあずけベットに座るフォロン。
 フォロンに背をあずけ、穏やかな笑顔を浮かべるコーティカルテ。

 コーティカルテを抱きしめるフォロンの腕に手を重ね、
 2人は深く繋がっていた。

「こうも耳元で聞かされると・・・すごいな。」
「そう?喜んでもらえたならうれしいけどね。」
「フォロンの神曲だ、どんな形であれうれしい・・・」

 2人の間の時間がゆっくりと過ぎていき、空気は甘さを増していた。

-- 奥手な2人と進んでいる2人と 番外編 2 --
   ひっかかった2人といたずら好きな上司と同僚と 3

 ふと、フォロンはコーティカルテの持つグラスをとって、
 精霊酒を口に含んだ。
 そして、コーティカルテを振り向かせ、口移しで飲ませる。

「んっ・・・」

 ゆっくりと送り込まれる精霊酒。
 フォロンの気持ちと共に飲み干す様で、身体が熱くなってくる。

 コーティカルテもフォロンのグラスからウィスキーを口に含み、
 脚の間に膝立ちになり、両方の頬を手で押さえ、
 口移しで飲ませる。

「んぅ・・・っ、ぷぁ・・・フォロン・・・もっと・・・」
「ん・・・もっと?」

 下から見上げるフォロンが意地悪に言う。
 最近のフォロンは意地悪になった。

 自分が何を求めているか知ってるくせに知らない振りをして、
 私の口から言わせようとする。

「もっと・・・お酒飲みたい・・・フォロンから・・・飲まされたい・・・」
「うん・・・」

 素直におねだりできるように、私が甘えられるように・・・

 フォロンは口いっぱいに精霊酒を含み、
 口づけをしてくる。

「んっ・・・んぅ・・・」 

 ゆっくりとフォロンの気持ちと一緒に精霊酒が自分の身体にしみこんでくるのがわかる。
 そして、自分の身体から溢れ出した気持ちも染み出してくるのもわかった。

「ぷぁ・・・おいしかった?コーティ?」
「ふぁ・・・うん・・・うん・・・」

 次は自分の番だ、ウィスキーを口に含んで、フォロンの脚の間に膝立ちになって、
 ゆっくりと口づけをして、フォロンに流し込んでいく。
 自分の・・・フォロンを大好きだと言う気持ちと共に・・・

「んっ・・・んぅっ?!」

 胸元が外気に触れひんやりとする。
 そして、自分の胸にフォロンの手が触れる・・・

「んぅ?・・・んっ・・・んぅぅっ!」

 この姿では自信がない胸をフォロンがさわってくる。
 先端をいじられ、全体がゆっくりと揉まれて・・・

 両手でフォロンの頬を押さえてやめさせようとするけど・・・

「んぅうっ!・・・んっ・・・んぅ・・・ぷぁ・・・」

 唇を離すと、フォロンの手も離れる。

「コーティ、美味しかったよ」
「じゃあ・・・もっと・・・」

 美味しいと言ってもらったからじゃない・・・
 もっと・・・もっと身体に触れてもらいたいから・・・

 もう一度ウィスキーを口に含んで唇を重ねる。

「んっ・・・んっ?・・・んぅぅ・・・」

 フォロンの手がスカートの中に忍び込んでくる・・・
 腰の部分の紐をほどかれ、たっぷりと蜜を吸った下着が降ろされ・・・

 ここで止めて欲しくなくって、
 口に含んだウィスキーが無くなっても唇は離さない。

「んふぅ・・・んぅっ?!・・・んぅ・・・んぅぅっ!」

 フォロンの指が・・・熱くぬかるんだ秘所に触れる。
 触れるだけじゃなく、身体がどれだけ求めてるか教えるように音まで紡いで・・・

「んぅっ!・・・んっ!・・・んぅううっ!」

 道具である単身楽団に嫉妬する時がある、
 今のようにフォロンの指で・・・私と言う楽器が鳴らされていると意識してしまうと。

 だから、今だけは・・・フォロンの指で奏でてもらう、私という楽器を。

「ぷぁ・・・コーティ・・・そろそろ・・・」
「ふぁ・・・ふぉろぉん・・・ふぉろぉん・・・」

 フォロンから離れたくなくて、首にしがみついたまま・・・

「んっ・・・あぁああっ?!

 抱きしめられたままフォロンに貫かれる。
 頭まで突き抜けるような気持ちよさ。
 身体中を駆け巡る快楽。

 フォロンに愛されるまで知らなかった、
 神曲並み・・・いやそれ以上の悦楽。

「ふぉろ・・・んぅぅっ!」
「こーてぃ・・・こーてぃぃっ!」

 身体の中でフォロンが弾ける感覚。
 私も一緒に上り詰めて・・・

 愛された感覚と一緒に意識は沈んでいく・・・

 目が覚めると、自分の横でフォロンが寝ていた。
 昨日も頑張って私を愛してくれた人。

「こーてぃ?・・・おはよう」
「うん・・・フォロン・・・おはよう」

 今日はゆっくり過ごそう。
 そう思いながら唇を重ねる・・・

FIN