概要
「神様」――科学文明が跋扈する今の時代、この存在を信じる者が一体どれ程いるだろうか。
天地開闢。国産みと神産み。天岩戸伝説。葦原中国平定。天孫降臨……。
どれも「昔の人の作り話」としか認識されていない。
しかし、神様は存在する。
高天原、黄泉、そして人間が暮らす葦原中国。神様はこれらの世界で、何食わぬ顔をして暮らしている。
ただ、今の人間には神様の存在を認識する力がないだけで……。
天皇ですら彼らの目には「ただの人間」として映ってしまうのだから。
しかし、当の神様達は暢気なものである。
人間から忘れ去られようが、作り話のキャラクター扱いされようが、気にする者など殆どいない。
むしろ、その方がのんびり過ごせると言って昔の時代より今の時代の方を好む者すらいる。
このまま神様の世界の「シナリオ」は、ゆっくりと、穏やかに、何事も無く進んで行く。
……筈だった。