序 道を極めようとする人が心得ておくこと
第一 年々稽古上々~私たちは人生を通じ、どのように学んでいくべきか~
- 七歳 叱らず強いずモチベーションを上げる
- 十二、三歳 長所を活かして「花」を輝かせる
- 十七、八歳 誰もが遭遇する壁をムリなく乗り越える
- 二十四、五歳 若くして開花した「花」がかりそめのものであることを知れ
- 三十四、五歳 絶頂期、「天下に認められる人」にはなれているか?
- 四十四、五歳 ムリをせず、主役は人に譲ってしまえ
- 五十歳以上 父・観阿弥の、死を前にした見事な舞を見よ!
第二 物学条々~学ぶべき対象を真剣に真似よ!~
- 真似るべき演技の基本 観客の視点をつねにわきまえておくこと
- 女 まずその扮装から完璧にコピーせよ
- 老人 鍛錬を繰り返し、技術を習得したからこそ演じられる「奥義」
- 直面 自分のありのままで役になりきる
- 物狂い 最も人気のある芸だからこそ必要になる自己鍛錬
- 法師 高僧か、修行僧かによってまったく違う人物になる
- 修羅 戦いに狂った武士の苦しみの根源を忘れない
- 神 相応しい衣装で気高く演じれば、十分それらしくなれる
- 鬼 恐ろしい鬼の姿を、面白く演じることができるか?
- 唐事 通常と異なる異様なところばかりを押し出さない
第三 問答条々~世阿弥が自ら答える、能についての素朴な疑問~
- どうすれば「今回の舞台が上手くいくか」を前もって予測できるか
- まず能が始まる前の会場の雰囲気を見よ
- 昼間は後半、夜は最初の演目が重要になる
- 「序」「破」「急」の三部構成を、どのようにつくりあげるか?
- 「二日目の中盤」に山場を持ってくる
- 能の勝負に勝つ方法
- 「オリジナルの作品」を効果的に使う
- 演じる能の優先順位をどうつけるか
- なぜ名人と言われる役者が、若い役者に負けてしまうのか?
- ベテランの役者でも、花が失せれば勝負に負ける
- 誠の花を持った役者は、歳をとっても負けることがない!
- 自分の長所と短所をどのように知るか?
- 上手は短所に、下手は長所に気づかない!
- 誰からでも学べる力を持て
- 上手は下手の手本、下手は上手の手本
- その人の実力を、何をもって推し量るか?
- 生まれ持った才能だけでは、大成する人物になりえない
- 努力によって才能を発現させることはできる!
- どうしたら身振りだけで、唄のメッセージを表現できるか?
- すべては稽古によって表現方法を身につける!
- 音楽と動作、そして「強さ」と「幽玄」を一体化させる
- 「花のある演技」より上の、「しおれたる演技」とは?
- 「露に濡れたしみじみと美しい花」を能で表現するには?
- 脳における「花」とは、一体何なのか?
- 「誠の花」は散ることのないものである
- 「花」を知るなら、まず「種」から
- 第一から第三までの『風姿花伝』、世阿弥による追記
第四 神儀に云わく~日本人の精神、「能の歴史」を紐解いてみる
- 能の起源は、アマテラスの時代に遡る
- もう一つの起源、能の始祖はお釈迦様である!
- 秦河勝が、日本における「能」を創始した
- 天から落ちてきた子供、秦河勝の伝説
- 聖徳太子が「神楽」を「猿楽」にした
- 平安時代に国家事業となった能と『式三番』の誕生
- なぜ奈良の興福寺で、新年の能を演じているのか?
第五 奥義に賛嘆して云わく~世阿弥が世にうったえる能の魅力~
- なぜ、私が『風姿花伝』を世に残そうと思ったのか
- 大和、近江、田楽、あらゆる能の違いと共通点
- それぞれの素晴らしさを持った様々な能
- 「できない」と言って、物事を自分から遠ざけるな
- 日本中、どこへ行っても通用する能の役者となる
- 「花を極めた役者」になる方法
- まずは自分の流派の基本から
- 誰にでも愛される芸を目指す
- 高尚な演技を理解できない人々にどう対処すべきか?
- 山寺や田舎でも人を熱狂させた本当の役者
- 役者の本質は、観客を幸せにすること
- 私利私欲に走った役者は、観客を幸福にはできない
- 第五「奥義に云わく」までのまとめ
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