第一部.定理10

Last-modified: 2007-07-19 (木) 16:28:55

第一部.定理10

物質のある特定の性質について考えるときは、その性質自身についてしか考えるしかない。逆に言えば、ある性質について考えている最中に、ほかのどんなよけいなことについて考える必要もないし、できやしない。ある性質を、ほかの性質で説明することはできない。

理由

  1. 性質というものは、第一部.決めごと4で言った通り、ぼくたち人間の(感覚でもなく感情でもなく直観でもなく)知性が物質から直接感じとるものだ。
  2. どう感じとるかというと、「その性質はまぎれもなく物質の一部で、しかも物質にとって不可欠なものだ」と感じとるんだ。
  3. だから物質性質は、その物質自身(第一部.決めごと3を読み直そう)の性質そのものを通じて考えるべきものなんだ。

わざわざ証明するまでのこともなかったね。おしまい。

要するに何が言いたいかっていうと、「いろんな物質がある」ってことじゃなく、「いろんな性質がある(でも物質は一つね)」って考えて欲しいんだ。もし仮に霊魂(笑)があるとしたって、それをもっともらしく説明するためにわざわざ「霊魂様専用の物質」なんてものを苦心してひねり出す必要は全然ない。物質には無数の性質があって、霊魂であるとしかいいようのない現象でも何でも「そういう性質もあるよねー」って性質どまりで説明すればいいんだよ。安易に物質をころころ増やさないように(笑)。その霊魂の説明がまともなものかどうかについてはぼくスピノザは責任持たないけどね。