ヒート・ラグーンその1

Last-modified: 2013-08-14 (水) 23:33:17

ならず者が集まるVIPシティ。そこのとある汚い酒場の扉が吹き飛び、窓を破って外に出ていった。
(´・ω・`)「ええ~…」
扉を失った入り口から一人の女が大股で入ってくる。マスターの嘆きなど聞こえないようにカウンターに堂々と座った。
女「ペプシツイストッ!」
(´・ω・`)「うん、すまない。そんな古い飲み物はないんだ。扉の修理代を置いて帰ってくれないか」
女「なんのことだっ!?」(´・ω・`)「ええ~…」
マスターが気儘に飲んでいる男たちに目で助けを求めるが、応じてやるようなお人好しはいない。
(´・ω・`)「…お嬢ちゃん。ここは君が来るようなところじゃないんだ」
女「はやくペプシツイストよこせよおぉぉぉっ!!!」
(´・ω・`)「うん、いやだから無いし帰れと」
女「レモンとペプシのコラボレートおぉぉぉ!!!」
(#´・ω・`)「だからなi」
女「金はあるから寄越せよおぉぉぉ!」
(´・ω・`)「誰かボスケテ」
女「まったくサービスの悪い店だなっ!」
(´・ω・`)「君はマナーが悪いよ。どうしてこんなところに来たんだい?」
女「ここなら仕事があると聴いたんだっ!」
(´・ω・`)「仕事って君みたいな女の子に」
「助けてくれっ!」
(笑)声と雑談で満ちていた酒場を恐怖の言葉が貫く。その言葉の主は入り口に手を掛け、肩で息をしていた。血まみれの体からも分かるように体力をかなり消耗しているらしい。
(´・ω・`)「なんだ?」
マスターはカウンターの下にあるショットガンに手をかけ身構えた。男はよろよろと店の中を二人に向かって歩んでくる。
「あく、悪魔が…悪魔が…これを」
そう言いながら男は黄色の宝石を差し出す。それは胡桃ほどあり、素人目からも高価であることは明白だった。
女「悪魔ぁ?」
(´・ω・`)「……」
「これ…ぐふっ」
女に宝石を渡すと男は事切れた。倒れた男の背には大口径の銃で撃たれた後がある。これが死因だろう。
(´・ω・`)「やれやれ、誰か葬儀屋呼んでくれ」

女「いやに落ち着いてるなあぁぁ?」
(´・ω・`)「死体なんて日に一個のペースで見てるさ。ところでそいつは宝石みたいだが」
美しく妖しく輝く黄石。それを大事そうに胸に引き寄せる女は守銭奴そのものであった。
女「これは私が貰ったんだからなっ!私のもんだっ!」
(´・ω・`)「はいはい。でもそれダイアだろう。素手で握るとまずいよ」
女「な、何っ!?胸ポケットに入れておこうっ!ところでマスター!ここらに質屋はないかっ!」
(´・ω・`)「ん、ああ。市場の近くにあるが…売るのかい?」
女「当たり前じゃないかっ!行ってきます!」
マスターが止める間もなく女はバタバタと出ていく。酒場の奇妙な視線が自らに集まっているのにも気付かなかったようだ。
(´・ω・`)「やれやれ…しらな、!!」
次に入り口に立ったのは不気味な男だった。この暑いのにマントを羽織っており、肩には布に包まれた棒を担いでいる。
(´・ω・`)「ふう…目立つお客の多いこと」
静まり返った酒場を男が死体めがけって真っ直ぐ歩く。
(´・ω・`)「君のお客かい?」
男「ああ…取り逃がしたんだ。迷惑かけたな」
小声でマスターに応えながら男は死体の持ち物を乱暴に剥いでいく。何事かぼやきながら物を投げ捨てる姿は不気味だった。
男「マスター…こいつ何か持ってなかったか?泥棒がいただろう」
立ち上がりながら鋭い目付きで男が問いただす。酒場の者が萎縮する中、マスターは平然と答えた。
(´・ω・`)「ここで何か欲しいなら金を払うことだね」
その言葉に男は暫し思考した後、ポケットから札を取りだしカウンターに無造作に置いた。
男「迷惑代込みだ」
(´・ω・`)「妙な女だ。よそ者だからすぐわかる。質屋に売りにいったから急がないとまずいぞ」
男「そうか」
男は踵を返し、酒場から出ていく。マスターはそのボロボロのマントに包まれた背を見ながら残念そうに呟いた。
(´・ω・`)「だから止めようとしたのに…」

ヒートラグーン3

暗い路地を女が陽気に歩く。目の前には既に市場が広がっている。その活気は離れた路地にも伝わってきた。
女「おおう!元気一杯だなぁ!」
そう言いながら一番元気一杯な女はポケットを叩く。ここに至るまでその行為を幾度も繰り返してきた。
女「よしよし、あるなっ!落としたら洒落にならな、ッ!」
陰に立つ女に更に影がかかる。目より先に肌がそれを感じ、女は飛んだ。
その瞬間、路地に爆発が起きる。女は爆風で吹き飛ばされ、破片が服を切り裂いた。
女「うわっ!くそっ!」
毒づきながら上を見る。路地を造る建物の屋上に太陽を背負う一つの人影があった。
男「脳天気なだけの馬鹿じゃないのか」
男が持つのはM79単発式グレネードランチャー。マントの中にしまわれていた得物だ。無表情で男は中折式の弾倉に榴弾を込める。
女「なんだ貴様っ!」
男「モノを返してもらう」
女「うわっ!」
僅かに女から逸れた場所に榴弾を撃ち込む。直撃すれば宝石を傷つける恐れがあるからだ。
しかし爆風がため女はその場に倒れこむ。男はその隙を突きM79をマントにしまいながら建物から飛び降りた。
男「死ね」
ぼそりとそう呟きながら男が背負っていた棒の布を剥ぐ。するとそこから一つの巨大な銃が現れた。それはBARと呼ばれる分隊支援兵器。立って扱うものではない。だか男は軽々と構えた。
女「殺されてたまるかっ!」
倒れた状態で服の下から女が二挺の赤く染められた銃を取り出す。
男「ちっ」
弾を撃ちながら男が後退し、物陰に隠れる。女も転がりながら応射し、ごみ箱を盾にした。
男「…デザートイーグル…マグナムか」
女「物騒なもん二つも振り回しやがって!」
言葉を交しながら互いに戦闘準備を整える。
男「お前に言われたくない。ハンドキャノンを二挺も使うなんてタダモノじゃない…まあ関係ないな」
女「何者かしらんがぶっとばす!」
態度は双極であったが二人の殺気は同量であった。

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