ボクっ子ヒートその2

Last-modified: 2013-08-14 (水) 23:39:17

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女「せ~んぱい♪今日は何の日か知ってますか?」
男「平日」
女「違いますぅ!!今日は!ボクの誕生日なんです!」
そう言って胸を張り、右手を出す。
男「ん?何?催促?」
女「いえいえいえ♪こう、優しく手を握って!『おめでとう』とか言ってくれたら嬉しいなぁって♪」
顔を赤らめて嬉しそうに笑う女。俺は彼女の手を自分の腰に回し耳元で囁く。
男「…………ありがとう」
女「………ふぇ?」
男「生まれてきてくれて」

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女「先輩先輩先輩!!これ!これ見て下さいよ!!」
男「目覚まし時計、だな」
女「これ、アラーム音を録音した声に設定できるんですよ!だから!ボクの声を入れて!先輩にプレゼントしようかなって♪」
男「…ちょっと貸して」
女「はい!」
男「………」
カチッ
男「あー、あー。起きろぉぉぉ。朝だぞぉぉぉ」
カチッ
男「はい、これはお前が使いなさい」
女「ぇ…………は、はい!!ありがとうございます!!」

次の日
女「ぉはょうござぃますぅぅぅ……」
男「どうした?」
女「先輩のお声が聞けると思ったら……なんだか…目が冴えちゃって……ふぁぁぁ………」
男「……出席簿、俺がいじっておいてやるから保健室で休むか?」
女「はぃぃぃい……!」

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女「せ~んぱい♪」
ぎゅっ!ぎゅっ!
男「暑い…」
女「ボクの愛情と暑さは比例するんですよ!!」
男「そうか。じゃあ、俺は反比例するとしよう」
女「!!」
女は雷にでも打たれたかのように俺の背中から顔を上げると何かを探す。
女「リモコン!エアコン!冷房!出力最大!!」
ぴ、ブォォォォ!!
男「寒!!」
女「んふふ……これで丁度よくなりましたね♪」
ぎゅっ!ぎゅっ!ぎゅっ!
男「(もうどうでも)いいや……」
女「♪~~♪」

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男友「突然だがこれを見よ!!」
男「ん?また出歯亀か?買わないぞ?」
男友「違う!!お前はこの芸術品が見えないのか!?」
男「フィギュア……って、お前!?」
男友「そう!これこそは!企画俺!原型師有志一同による!『1/10女ちゃんフィギュア』だぁ!!」
男「お前、よくこんなもん………ん?“一同”?何で?」
男友「型抜き要員」
男「はぁぁぁぁ………何やってんだか……」
男友「スゴいだろ!?勿論作り込みだってハンパないぜ!?上着はおろか下着だっ………」
女「………」
男友「………お、女……ちゃん……?」
女「………っ」
男「“っ”?」
女「っわぁぁぁぁぁん!!」
男「おう」
女「ボクのお人形作ってそんな事するなんて!!やっぱり!先輩以外の男の人はケダモノなんだぁぁぁぁ!!!」
男友「いやね!?こ、これはね!?」
女「うっ!ぅぅうぅぅ!!」
女友「何こんな小さい子泣かせてんのよ…!!」
男友「いやね!?こ、これはね!?」
女友「問答無用!!」

男「さてと、今の内に回収しますか」

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夏の夜編

女「んふふ~♪」
男「……………」
女「デート!デート!先輩と真夜中のデート!」
男「自販機で飲み物買ってくるだけだぞ?」
女「それでも!ボクにとって!先輩と一緒に歩くことはデートなんです!」
男「って事はだ、通学もデートか?」
女「そんな先輩♪毎日デートなんてまるで新婚さんみたいじゃないですか~♪」
男「お前が言ったんだろ……と、到着。何飲む?」
女「ボクはそこのコーヒーで!」
男「無糖でいいのか?カフェオレもあるぞ?」
女「いいんです!」
男「…ふ~ん」

女「う!」
男「ほら、言ったろ?俺のと交換だ」
女「で…でも!もう口付けちゃいましたし…!」
男「そんな事気にしないよ」
女「で、でも!そ、その…!」
男「ん?」
女「き…きすは!お付き合いしてからだって……!!」
男「誰が?」
女「………お爺様が」
男「ふむ。じゃあ、家でコップに注ごう。それならいいだろ?」
女「は、はい!」
男「んじゃ帰るか」
女「……せ、先輩!そ、その……いえ…なんでも無いです…」
男「……手、繋ぐか?」
女「…!はい!!」

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珈琲編

女「先輩先輩!」
男「ん?」
女「先輩は!コーヒーの好みとかありますか?!」
男「好みねぇ……強いて言うなら『火力』かな?」
女「ですよね!!ボクも!やっぱり『火力』だと思います!!」
男「50:50じゃないと飲めないのに?」
女「ぅ!ぅう……!」
男「まぁいいさ。少しずつ、飲めるようになれば」
女「!それってあれですよね!?“俺はお前を待ってるぜ”ってことですよね?!」
男「だ~か~ら~!!何でお前はいちいちそんな風に解釈するかなぁ?!」

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おやつ編

男「ん?固形ニトロ食ってんのか?」
女「違います!今日は芋羊羹です!!」
男「ふ~ん」
女「先輩♪ご一緒しませんか?」
男「うむ…でも急ぎの用が……」
女「一本買うのに三時間並ぶいっぴ……」
男「ご一緒させてください」
女「はい♪」

男「やっぱあれだな。名のある職人が作るもんはひと味もふた味も違うな…むぐ……お茶おかわり」
女「はい♪でも…ボクはそれも一つの要素でしかないと思います」
男「ありがと…ぷはぁ…ん?何で?」
女「やっぱり、『誰と食べたか』が一番大切だと思います…」
男「……美味いか?」
女「はい!たとえ百円のお菓子だったとしても美味しいです!!」
男「……じゃあ、全部貰うな」
女「あぁ!駄目です!!やっぱり今のなしです!!」

男「……ん?『今日は』?」

18

夏のゲーム編

女「せ~んぱい♪遊びましょ♪」
男「やだ…暑い…」
女「駄目ですよ!若者たるもの!後先考えないで紫外線に肌を焼かないと!!」
男「いやぁ…色白お肌目指すのぉ……」
女「むぅぅ……!どうすればボクと遊んでくれるんですかぁ?!」
男「………夏だし、これとこれを攻略したら」
女「わかりました!!サクッと攻略してまいります!!」

  • 数時間後-

男「終わったか~?」
女「ぅぅぅう………!!明穂ぉぉぉ!!ゴールしたらあかぁぁぁん!!」
男「おぅ、見事に涙で記憶がごっちゃになってる」

19

夏の鍋編

女「せんぱ~い!!ご飯出来ましたよぉ!!」
男「夏バテ気味だからあんまり食欲ないんだよなぁ……」
女「今日の夕飯はお鍋です!!」
男「……マジ?」
女「はい!夏バテは思いっきり汗をかくと早く治りますから!!」
男「ぅうん…ま、取りあえず…」
『いっただきま~す!!』
女「あ、先輩。お汁は後で使いますので」
男「うぃ」
がつがつがつ……!
男「相変わらず料理上手いよなぁ…」
女「はい!ストップ!」
男「え?まだ具残って…」
女「ここでこれを入れます!!」
つカレールー
男「…鍋がカレーに早変わり」
女「はい、先輩♪ボク特製『〆カレー』をどうぞ♪」
男「ゴボウと椎茸入りのカレーね……ぁ、美味い」
女「やった!!」

男「ふぅ…」
女「先輩、元気になりましたね?!それじゃあ…ボクと…」
男「腹ぁ…いっぱいだぁ…」
女「先輩?」
男「………ぐぅ…」
女「そんなぁぁぁ?!せんぱぁぁぁい!?」

その後
女「せんぱ~い」
男「……ぐぅ…」
女「食べてすぐ寝ると牛さんになっちゃいますよぉ~」
男「……ぐぅ…」
女「牛さんになっちゃったら~ボク、先輩の事嫌いになっちゃい……」
男「……ぐぅ…」
女「………あぁ!無理!!絶対無理!!先輩を嫌いになるなんて天地がひっくり返っても無理!!」
男「…んん……」
女「ご、ごめんなさい…うるさかったですよね……!」

20

女「い……やったぁぁぁぁ!!」
男「夜中にうるさいぞ」
女「あ、はい!すみません!先輩!」
男「ま、いいけどさ。どうした?」
女「はい!実はですね……当たっちゃったんです!!」
男「生牡蠣に?」
女「あいたたた……じゃなくて!!これ!これです!」
男「『秋保温泉二泊三日の旅』?」
女「しかも、ペアですよ!?」
男「へぇ、そりゃよかっ………」
女「はい、母さん喜んでくれますよね?!」
男「………ぇ?」
女「どうかしましたか?先輩?」
男「そ、そうだよな!たまには親孝行しなくちゃな!!」
女「はい!ボクもそう思います!!」
男「……じゃ、お休み」
女「はい!お休みなさい♪」

男「…………」
女「…………」
「「貯金…足りるかなぁ……?」」


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