西ヒート其の3

Last-modified: 2013-08-14 (水) 23:07:09

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金角銀角編9

衝撃波で那侘の帽子がふわりと浮く。二人の後方はお互いの術技で破壊されている。
那侘「衝撃を放つ剣か。剣技はママのおなかにいたころとかわちゃっいないが一撃の威力は踏みつけたクソだ。なかなかやる。ウジムシの親玉だな」
後方から迫る金角の青竜刀を柄で受け止める。前と後に金角銀角、さらに周りをとり囲む雑魚妖怪の生身と死体。那侘はそれらを見回し満足げに喉をならす。
那侘「クソみたいな劣勢だ。だがいかんせんウジムシが」
仙具で疾走し男を縛る縄を焼き斬る。そして呆気にとられる男を抱え上げた。
那侘「遅い!ファック!任務完了だ!」
天井から逃げてゆく那侘。銀角が舌打ちしながら七星剣を振るが那侘は消えていた。
銀「追え…逃がすな!」

女「ううん…おはようぅぅ男おぉぉ」
男「脳天気なやつだ。よくおまえ那侘に勝てたな」
根城からそう離れていない岩場に三人はいた。那侘は憮然と浮いている。
那侘「この発情エテ公には火尖槍がきかんのだ。火力で負けているからな」
女「那侘ああぁぁぁ!久しぶりだなああぁぁぁ!?」
那侘「黙れ!チーズになりたいのか!敵が哨戒中だっ!」

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金角銀角編10

男「まあともかくありがとうございました」
那侘「サーをつけろクソ虫!」
男「イエス、サー!」
那侘「ふんっ。任務だ。礼なぞいらんわ。さあこのままクソ旅を続けるがいい。ファック!」
男「え、でもまだ二人が」
那侘「私が受けたのはお前らの救出のみ。ほかの蛆はしらん」
女「あの二人を見殺しなんてできるかあぁぁぁ!」
男「その通り。俺たちは助けます」
那侘「…好きにしろクソども。貴様らが聞き分けのないガキみたいに突撃するというなら天上界は一切関知しない。助けはないと思え」
女「もおぉぉう負けるもんかあぁぁぁ!」
那侘「ふんっ…エスキモーのちんちry」
飛び去る那侘。男はその姿を見ながら思案した。
男「とはいったものの正面からいくのは得策じゃないな。女、お前自分の髪の毛を化けさせて操れるんだよな?」
女「うん!でも操れるのは一本のみだしその間は本体は動けないぞおぉぉ!?」
男「十分。俺をだな変化させてゴニョゴニョ」
女「な、なあぁぁるほど!でも身外心は禿げるからあまり好きじゃないぞ…」
男「我慢だ我慢」

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西ヒート 金角銀角編11

妖1「いたか?」
妖2「だめだな。あの口の悪い女が遠くにつれてったんだろ」
根城の中はあきらめの雑談で溢れていた。玉座では銀角が苛立たしげに剣をいじっていた。
男友「へっ逃がし 女友「蟹やー食い倒れやーぐへへへ」 …ちまったみたいだな?」
銀「貴様らも裏切られたということだぞ?」
男友「い~んだよ。それで。正しい判断だ」
銀「憎くはないのか!?」
男友「…ば~か。そこまで薄くないわ」
銀「…ほう?」
妖3「銀角様ァー!金角様ァー!」
金「てやんでぇ騒ぐな勘部衛!」
妖3「ひっとらえました!」
縄で縛られた男が突き出される。金角は無表情のままだったが銀角は喜色ばんだ。
男友「バカな…」
男「くっ…!」
銀「よしよくやったな?」
立ち上がりながらごくごく自然に七星剣を振る。衝撃波が男の腕と妖怪の腕を吹き飛ばした。
男「ぎぃぎゃあぁぁぁ!」
妖3「え…?うわあぁぁ!銀角様あぁぁ!?」
銀「猿芝居はやめろ。おそらく坊主が猿で貴様は坊主だろう。変化の術は完璧だが作戦が穴だらけだ。我が部下に那侘や猿の眼をかいくぐって坊主をつれてくることができるはずがない。倒すなぞさらに不可能!」

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西ヒート 金角銀角編12

妖3「いてえぇぇ!本当に俺です!あなたの部下ですうぅ!こいつ一人でうろうろとぉ!」
妖2「ぎ、銀角様。我々には本物にしか…」
銀「だまされるな。金角」
金「ああ」
腰に下げていたひょうたんを銀角にわたす金角。右手で剣を構えながら左手でひょうたんを持ち、口で栓をあけた。
銀「貴様が偽物でないというなら答えられるはず」
妖3「も、もちろん!もちろんです!」
銀角は床でもがき苦しむ男を確認する。作戦の破綻と同時に暴れるのはこちらなのだ。
銀「……おと」
妖2「いまだっ!」
叫ぶ妖怪。彼にすべての視線が集中した瞬間、隻腕となった男はニヤっと笑って髪になった。
銀「なっ!?」
銀角の驚愕と同時に巨大化した如意棒が根城の壁を破壊し侵入してくる。
それは偽の男を連れてきた妖怪の上半身を吹き飛ばし銀角に迫る。銀角は七星剣で受け止めるものの圧倒的な質量の前に横転する。
男「うおぉぉぉ!」
妖怪の変化が解けた男は如意棒の下をくぐりぬけ銀角が落としたひょうたんを拾い上げる。だれしもが突然の攻撃を避けるのが精一杯で男の行動には気付いていない。
男(よし!ここまでは!)

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西ヒート 金角銀角編13

如意棒の一過のため血だらけになった根城に男が立つ。怨瑳の声が満ちる中で男はナイフを抜き自らの首に当てるという僧としてあるまじき行為をとる。
男「金角!」
その光景を見た金角は驚いた。自分たちの目標である人物が自殺しようとしているのだ。そんな時、名前を呼ばれれば反射的に、
金「なんだ…!」
銀「はっ…! バカ!」
銀角の制止むなしく金角が男が後ろにもっていたひょうたんに吸い込まれる。今度は男が笑う番だった。
銀「調子に」
斬りかかろうとする銀角。静かに佇む男。その二人の間に如意棒を構えた女が戦車砲のように舞い降りた。
女「うおおぉぉぉ!」
銀「ぐっ!」
女の炎を纏った如意棒の一撃は殺神的な威力だ。銀角はおしかえされる。その間、男はゆうゆうと栓を閉めた。
男「まったくお前の芝居がくさいからヒヤヒヤしたぞ」
女「私は猿だからなあぁぁ!!!男は迫真の演技だったぞ!」
男「僧たるもの仮面の一枚、二枚な…さあ勝つぞ」
女「おぉぉうぅぅ!!!」

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西ヒート 金角銀角編14

銀「猿と人間になにができる!」
女「愛だあぁぁぁ!!!」
二つの神器が衝突する。壁がゆれ二人が踏みしめる地面が割れた。
男友「こんなところにいたら死んじまう!」
男「わかってる!」
一瞬で幾数合斬り結ぶ二人を後目に男友の縄を焦る手でほどく男。一合毎に炎と衝撃波が放たれる二人の周りはニトロより危険だった。
銀「七・星・剣!」
女「押しつぶせえぇぇ!!!」
男「解けた!」
男友「うおおぉ!」
最大級の衝撃波と果てしなく巨大になった如意棒が三人を消しとばす前に男友があけた天井から男と女友を抱え脱出する。
根城の被害は致命的だった。家具も、妖怪も、その死体もすべて消滅する。
男友「なんつう威力だい…」
男友の呟きに同意しながら男が上空を見る。そこには無数の石片とともに女が舞っていた。
男「…! くそっ!」
男友「おいどこに!?」
浮遊感を感じながら女は自分が押し負けたことを知る。体の節々が痛み気力が萎える。それでも彼女は元に戻った如意棒を握りしめた。
女「男はわたしがああぁぁぁ守るぅぅぅ!!!」
銀「黙れ!」
太陽の光を遮りながら銀角が上空から斬りかかる。女は受け止めずに銀角を凪いだ。

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西ヒート  金角銀角編15

各々吹き飛ばされ大地に激突する。女はえぐられた右肩に手を当てながら起き上がる。それは十二分に無駄が無く素早い行動だった。
しかし鎧が破壊されわき腹を露出した銀角はすでに距離を積めていた。
女「なっ!?げふっ!」
銀角の蹴りが女の側頭部に命中し体を吹き飛ばす。女が落ち着く前に銀角は七星剣を大きく構えた。
銀「逃れることは不可能。波動の中で死ね。七・星・剣!」
女「うわああぁぁぁ!!!」
女は髪を毟りとり空中に投げる。銀角の視界が偽物の女で埋め尽くされる。
銀「なに!?」
衝撃波でそれらはすべて消し飛んだ。しかし本物の女もいない。
銀「動揺で手元が…! 奴は、ぐふっ!」
銀角の背から胸にかけて熱い感触が走る。口からこぼれる赤い血と胸から生える如意棒を見て初めて彼女は自分が貫かれたことを知った。
女「ふうふう…っ!はぁはぁ」
銀角から如意棒を抜き女はその場に膝を突く。女の左半身も衝撃波でズタズタになっていた。
女「か…った…」
銀「ま…まだだあ!」
銀角が振り返りざまに乱暴に剣を振る。地面はえぐれ岩石は吹き飛んだ。

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西ヒート 閑話休題

女「ながれは男ヒートだってえぇ!?」
女友「というわけでやってみました」
出会い編
女「私がぼでぃg」
男「女の連れ合いなぞ不要うぅぅぅ!」

雌豚編
女友「あたしをt」
男「うるせええぇぇ!!この変態があぁぁぁ!!」
女友「or2」

バカッパ編
男友「人間の分際で!笑止!」
男「臨!兵!開!陣!ぜええぇぇつ!!!」
男友「モルスアァァ!」

女「こえぇぇぇ!」
女友「西ヒート的にはないわね」
男友「てかなんで戦闘力が伴うわけ?」

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西ヒート 金角銀角編16

女「死ぬ気かあぁぁぁ!?」
石片を腕で防ぎながら女が叫ぶ。銀角はそれ以上の戦吼でもって応えた。
銀「この銀角、自らの命惜しさに仇を逃すようなことはない!」
地面に振り卸された七星剣は大地を二つに割る。女は後ろに飛びながら如意棒を構える。
女「勝ち目はないぞおぉぉ!!!命を無駄にするなあぁぁ!!!」
銀角「笑止!どの口がそんなことをほざく!?」
横に凪ぐ剣を女が受け止める。鍔迫り合いをしながら銀角は嘲笑った。
銀「貴様が天上で暴れたとき何人が死んだ!?私の部下を何人殺した!?キレイゴトをぬかすな!」
銀角の蹴りが女を突き飛ばす。地面に膝をつくボロボロの女に切っ先を向けながらそれよりさらに虫の息の銀角は信念をもって言い放つ。
銀「血迷うな。我が首を跳ねろ。それが礼儀作法だ」
女「う、うう…うおぉぉぉ!!!」
男「待った!」
トドメを刺そうとする女を男が制す。銀角はひょうたんを持つ男を無気力な眼で見つめた。
男「妖怪相手じゃ躊躇わなかったんだがな、どうも人の形をしてると殺せない。人間のエゴかなこれは」
女「…男」
男「銀角、俺達の負けでいい。だから通してくれ」
銀「ふざけるな」

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金角銀角編17

男「ふざけていない。金角も解放する」
銀「そういう意味ではない。第一そんな交換条件信じられるか」
男「交換条件じゃない、誠意だ」
ひょうたんの栓を開け口を地面に向ける。すると粘液にまみれた幼い、とても幼い少女がこぼれ落ちた。
男「頼むと、ええっ!?」
女「男が幼女監禁+ぶっかけー!?」
男「違う!断じて違う!」
銀「…!」
幼女が眼をさます。ぼうっとした瞳で状況を把握し自分の姿を確認する。
幼「見ろ銀角、まるで私が陵辱されたようだ。ワハハ」
銀「金…元に戻ったのか」
男「はあ!?わけわからんぞ!」
銀「泡を食うな人間。私の名を呼べ。だがすぐに出せよ?」
男「どうゆう」
銀「いいから。おまえを信用してやる。裏切るなよ?」
男「何がなんだ…ッ!ああもう!銀角!」
銀「フッ…おう」

男友と正気を取り戻した女友を加えた四人は粘液だらけの幼女二人と向き合っていた。
銀「つまり太上老君の童子であった我らだが魔丹つまりそのひょうたんを飲んでしまい妖怪に変じてしまったのだ。七星剣などの道具は太上老君の所有物だ」
男友「そりゃ強力なわけだ。けどよく戻れたな」

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