SS1 特製ファイナルベント(仮)

Last-modified: 2013-08-14 (水) 22:52:06

ピリリリリリリリリリリリ・・・
住宅街のとある家の二階にある一室。目覚まし時計から喧しい電子音が鳴り響く。
女「ううぅ・・・起床ぅ・・・」
その音により(嫌々ながら)目を覚ます少女がいた。
少女はタオルケットに包まったまま腕を伸ばして目覚まし時計を叩き、しかし音は止まず、何を思ったか、いきなり掴んで思いっきり壁に投げつけた。
がしゃーん!という破壊的な音が響き、その音に驚いて少女は目を覚ます。
女「わぁあああぁ!?なぁ、なんだあああああ!?」
ベッドの上で身を起こし、目をこすりつつ、壁際に落ちてる壊れた目覚まし時計(八代目)を見る。
女「なんだ、目覚ましか」
少女はそう言うと、まるでそれが日常茶飯事であるかのように今はもう動かない目覚まし時計(八代目)を拾い上げ、壊れていることを確認した後、ドア近くのゴミ箱に入れる。
その後、軽く伸びをし、急いでキッチンに向かう。今日はいつもに比べてかなり早起きだ。理由は、男に弁当を作るためだ。
女「今日こそは男が食べたくてたまらなくなるような弁当をつくるぞおおおおお!だれにも邪魔はさせぇぇぇぇぇん!!」
と、早朝から(近所迷惑な)大声で張り切る少女。
女「精がつくものを食わせればあああああああ!男も元気になり、私と身を重ねる気になるはずだあああああ!」
独断と偏見と愛と情熱でひた走るのは構わないが、果たして男は喜んで食べるだろうか。
本日の食材は、ニンニク、卵、レバー、ニラ、納豆、とろろ芋、銀杏やめかぶに牡蠣にマムシの干物にシジミにアサリにマグロにすっぽんの血とおまけに養命酒。
・・・果たして、男は喜んで食べるだろうか?というか、コレはもはや弁当の域を超えてしまっているのではないか。
せっかく料理が上達してきたというのに、先走りすぎてしまっている。
女「調味料は愛だああああああ!隠し味は愛だあああああああ!食後のデザートは私だああああああああ!!」
だが、彼女の心には疑問というコトバはいまや存在していない。
あるのは、ある一つの感情だけ。

学校にて昼休み。
女「愛してるううううう!だから今日も弁当を作ってきたぞおおおおおおおおお!!」
男「よし、まずは落ち着け。今日これより俺は学しょk」
女「今すぐ食べよう!絶対食べよう!それとも私を食べてくれええええ!!」
男「日本語おかしいぞ」
女「アナタガチュキダカラアアアアアアア!!」
男「ここは日本だ。しかし、それにしてもでかい弁当だな」
女「私の愛の結晶だ!さあ、食べてくれえええええええ!!」
彼女が弁当のふたを開ける。
男「うっ・・・おま、これ何を入れたんだ?」
女「ニンニクと卵とレバーと(中略)にすっぽんの血とおまけに養命酒とあたしの無限大の愛だぁぁああああああ!!」
男「・・・弁当?」
女「うまいぞぉぉ!!」
男「なぁ、試食って知ってるか?」
女「なんだぁああああ!そうか、二人で一緒に食べようねということかあああああああああ!!わかったああああ!!」
男「いや、微妙に結構ずれてるぞ」
女「いただきまあああああす!(パク)・・・・・・」
男「・・・・・・」

二人の間に、微妙な沈黙が下りる。そして。
女「う・・・お、おいしいよ?」
男「泣きながら言われても説得力ないな」
女「う・・・せっかく作ったのに・・・(泣」
いつもと違う様子の女に、少しばかり戸惑う男。
男「泣くな泣くな。朝、一人で起きて作ったんだろ?お前はよく頑張ったよ」
とりあえず、女の頭をなでなでする男。
女「・・・本当か?本当かぁぁぁぁぁぁ!?」
男「ああ、ありがと」
女「うおおおおおおおお!!お前の優しさがだいすきだあああああああああ!!よし、弁当の代わりに私をk」
男「ここで服を脱ぐな。ここで」

放課後。
男「しかし、今日はまた様子が変だったな」
友人「あー、あれじゃないか?この前女の誕生日だったじゃん。プレゼントのお返しのつもりもあったんじゃねぇの?お前、最近元気なかったし」
男「そう・・・か?いや、まさかな・・・」
そういえば、最近体がだるい。そのことを、女はよく気にしていてくれた。
アレはアレで、彼女なりの気遣いだったのだろう(食材費とか半端じゃないだろうし)。
女「男おおおおおおおお!一緒に帰るぞおおおおお!」
彼女が来た。昼のことは全く気にしていないようだ。
男「ああ、一緒に帰ろうか」
女「よし、ついでに夜ご飯は私が作ろぉぉぉう!お前の家でええええ!これから直にいいい!」
男「ああ、頼んだよ」
女「安心しろ!今度はちゃんと作るから・・・って、え?いいのか?」
彼女が不安そうに聞いてくる。やはり、まだ昼間の件が気にかかっているようだ。
男「ああ、まともに作れば、お前の料理はそこそこ美味しいしな。ついでに言うと、今日は両親いないし(妹はいるけど)」
女「そ、そうか!よし!愛してるぞおおおおおお!男おおおおお!今夜のメインディッシュは私だああああああああっ―!!」
男「妹いるからな。あんまり暴走するなよ」

男(ま、こんなのも悪くは無いな)