感情管理社会

Last-modified: 2008-03-23 (日) 23:55:37

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感情管理社会 Emotion Management Society

A.R.Hochshildによると大雑把に言えば「感情」は内面的・心理的な
ものとしてではなく,社会的なものとして捉えられている。つまり、
現代社会において、我々は、如何に「感情」を管理したり装ったりしてい
るか、を分析するという

 これらの研究(感情社会学)によれば,現代はかつてないほど「感情管
理」の要請が高まっている時代(感情管理化社会)であるという。感情
管理が市場労働に組みこまれ、たとえば新たな雇用の創出という面からも
次代を担う成長産業として大きな期待が寄せられているサービス業の場面
で、感情が職業役割として期待される場合に、そこには「感情労働」が
行われているのである。

 では、感情とは何か?もう少し煎じ詰めよう.

 感情とは、常にきわめて特定の階級に即した基礎を持ち、現象形態は
それぞれの時代に応じて歴史的、特殊的な限定や拘束を受けており、
決して普遍的・人間的なものでも超時代的なものでもない(Brecht,B)。
我々人間は固有の生産様式という規則や可能性に沿って生産し、自分
自身や社会組織を再生産しなければならず、そうした課題への備えと
して時代支配的な性質を持った感情を持つである(Heller, A)。
そのような感情について、社会的に試行される感情経営の基準とは、
個人にとって目的としての価値を持ち、また感情投資の選択された対
象でもあるような能力開発的な課題としての社会的に必要な労働とい
うことができる。

 プロセス社会学の見地から人間相互の依存関係が高まる現代社会を理論化
したフィギュレイションモデルからみると、現代社会における感情文
化の特徴は、高度の意識水準に支えられた自己統御によって感情管理・表
出管理がより一層意識的に遂行されるとのこと。現代社会への文明化
という変容の流れ(Elias, N)の中では、感情統制が高度化し、統制
審級が変質してきている。外的強制から自己統御への感情管理が移
行すると、欲望の位相も模倣された他者のそれへと指向(現代ではメ
ディア)するようになった。状況と感情との適・不適を指示するガイ
ドラインあるいは社会規範である「感情規則」に対応する、規範的も
しくは戦略的な感情の生成・消去・修正といった感情管理が行われて
いるのである。