・機械室に行ってみる(H)

Last-modified: 2008-05-20 (火) 22:37:57

-機械室-

能登川「あれだね、四隣くん」
四隣「はい?」
能登川「本番まであと2日、っすねぇ……」
四隣「あはは、そうですネ」

体育座りでイスに腰かけ、膝の上に頭を乗せる能登川。
四隣は能登川の隣のイスに座りジッと彼を見つめた。
四隣「お疲れですか?」
能登川「あー……のな、練習中さ、最低3回は何らかのミスやっちゃって」
四隣「ふんふん」
能登川「気がついたら本番まであと2日で」
四隣「えぇ」
能登川「俺本番ちゃんとできっかなぁ……、と」
ボソボソと呟き、ゴツンっと膝に額を打ちつけ大きな溜息を漏らす能登川。
そんな能登川の姿に多少引きながらも、四隣は黙って様子を見ていた。
四隣「能登川くん」
能登川「はぃ?」
四隣「大丈夫ですよ。私だって色々やらかしてましたし
   ココはチームワークで乗り切っていきましょう?反省は成功のナントカですし!」
ポンと能登川の肩に手を置き微笑む四隣。
顔を上げ、四隣を見つめた能登川は彼のまるで母親のように優しくそして輝く笑顔に目を細める。
四隣は能登川の前でグッと親指を立て、更に微笑んだ。
四隣「ミスりそうになっても先輩方や、僭越ながら私も……。だからそんなに気を落とさず、ネ!」
能登川「あぁ……なんか俺、四隣くんがマリア様に見えてきたよ……」
四隣「何言ってんですかっ」
能登川「いやぁ、マジで。なんか四隣くんのうしろから神様が光臨するんじゃなあぁぁっ!!!」
微笑む四隣の向こうに見える光景に、勢いよく立ち上がる能登川。
四隣「え?」
能登川「った、大変だ!四隣くん……っあれ!!!」
四隣「え、えッ?!ちょ、なん……で!!!」
振り向き、舞台上を見た四隣も立ち上がる。
2人の目線の先には、先ほど部長に言われて動かした舞台セットの背景が傾き始めていた。
四隣「まずいッ!」
能登川「先輩たちが危ないっ」
2人はドアに向かって駆け出し、外に出た。
だが、今から向かっても間に合いそうにもない。


四隣「あ、危ない!セットが崩れる!!」
能登川「に、逃げてぇぇ!!!」
ありったけの声で舞台上に向かって叫んだ。
声が届いたのか、舞台上の先輩達がセットから逃げていく姿があった。
しかし、


能登川「な……、なんか大じょ」
四隣「いや、まだ誰かいるわ!!!あのニーソックスは……っ」
能登川「きっ、綺咲センパイッ」
四隣「あと、天馬くん?!」
能登川「えぇっ!2人とも早く逃げろっ!」
能登川の叫びも空しく、間も無くしてセットが崩れた。
息を飲む2人、轟音と舞い上がる埃。
能登川「う、そ……だろ」
四隣「と……とにかく、下へ」
能登川「そ、そっか!」
四隣「……どうかご無事で…………」






-講堂-

四隣・能登川「はぁっ、はぁっ」
勢いよく扉を開け、舞台上を見た。
四隣「どうやら……」
能登川「大丈夫……みたいだね」
講堂に着いた2人は舞台上の光景を見つめ、呟く。

舞台上には綺咲と天馬が座り込んでいて、その周りに他の部員たちが集まっていた。
その様子を見る限り、どうやら大怪我した人はいない様だ。


能登川「あぁ……」
四隣「はぁっ、」


四隣・能登川「良かったぁぁぁぁ……っ!」
まるで獣のような声を上げて能登川と四隣はその場に崩れていった。






能登川「……あ、四隣くん」
四隣「なんです?」
能登川「あとで……、みんなに謝りに行こっか」
四隣「あぁ、そうですね!」
能登川「うんうん。いやぁ、しかし、本当……」
四隣・能登川「みんな無事で良かったぁ……」


END



加筆等ご自由にどぞっ。
四隣くん、コレ見たら口調等勝手にいじってください。
天馬くんのシナリオと少しリンクさせました。