・舞台上をみる(K)

Last-modified: 2008-04-27 (日) 16:47:13

パン、パン。
舞台に立って湊が手を叩く。

湊「全員集合~」

号令をかけると衣装に着替えた部員達が集まってくる。もちろん湊も衣装を着ていた。

湊「みんな、準備はいい?白雪先生しかいないからって手を抜かないでね」
『はーい!』
湊「じゃぁ、2分後に照明落して開始するよ。今日は何が起こっても途中で止めないから覚悟してね。では全員持ち場に解散!」

解散の合図にそれぞれ散って行く。
舞台上に残ったのは板付きで始まる辰の天馬と酉の瀬納だ。
それぞれ上手、下手に分かれた位置になる。中央には既に矢が刺さってるからだ。


天馬は切り株に腰掛け待機の姿勢を取る。
瀬納は少し落ち着きがないようだ。

瀬納「立ち位置はここで……それから……あっ!すみませんっ、鞄忘れました」

酉の鞄は小道具の1つだが、瀬納の私物なので自己管理となっていた。準備も自分でしなければならない。
これは瀬納の確認ミスだ。
この時既に照明が落ちようとしていた。本番なら取りに行っていたら間に合わないだろう。

綺咲「子の悪戯でしょうか?」
桜沢「こんな時に……」
釈迦如来「ごめんなさい~ちょっと緊張感に耐えれませんでした」

袖から声があがり、照明が一旦戻される。
そして湊が笑いながら鞄を持って来た。

湊「はい。袖に置いたままになってたよ。もし忘れても叫ばないようにね。今の声だと客席に丸聞こえだから」
瀬納「はいっ。すみません」
湊「黙ってればたぶん気づかれないから。さてと、これで緊張も少しは解れた?」
瀬納「えっ……?」
湊「見てればわかるよ。まぁ、子の悪戯は偶然だったと思うけど」

最後の一言を小声で瀬納に告げた湊は下手袖に戻って行く。
パン、パン。
再び湊が手を叩く。そしてゆっくりと照明が落ちて行った。




・瀬納編(K)
・綺咲編(K)