四隣に会いに行く

Last-modified: 2008-05-21 (水) 15:18:48

楽屋内は、熱気の覚めやらない部員達や訪ねてきた父兄らで賑わっている。
簡単な片付けと点検、加えてその終了報告を済ませ楽屋に戻った四隣だったが、何となくその場を離れられずにいた。


開封済みのお菓子をつまみながら、ぼんやりその室内を眺めていると
湊「あ、そうだ……ちょっとみんな聞いてくれるー?」
良く通る声が響いた。
湊「一旦ココで解散にするけど、そうだな、えっと……この後6時位に部室に集まってくれる?
 各自クラスのコトも有るだろうから、手が空いた人で良いから集まって欲しいな」
他の部員もそれぞれの状況を確認しつつ、楽屋を去っていく。
四隣も腕時計を確認しながら、その場を後にした。



初公演終了後から数時間後の夕方、演劇部の部室。


湊「公演はまだまだ始まったばかりだから、本来なら今日は帰ってゆっくり休んで欲しいところだったんだけど
 余興というか公演以外にも何か、もっと演劇部をアピールできるような事がしたいと思っているんだ、どうか な?」
黒羽「どうって……うーん……」
桜井「やっぱ、掲示板だけじゃ足り無ぇか」
湊「あれはあれで、必要だよ。でも更に今年はまた何か別な事に挑戦してみたいなーって」
一宮「確かに、こう……直接的に交流が持てたら面白いよね」
能登川「幕間で手品とか?客席のお客さんも舞台上に呼んだりして……」


皆が一斉に、能登川を見てから綺咲を見る。
次に四隣を見てから、天馬を見ていく。


天馬「……鬼ごっこでも遣りましょうか」
桜井「講堂じゃ流石にマズいだろ」
天馬「では、中庭でも外でも海岸でも」
釈迦如来「砂浜はキッツイよー」
綺咲「当番制にしても、公演に障りそうですね」
黒羽「今から鍛えるか?」
湊「普通に校庭か噴水周辺にしようか。じゃ、鬼ごっこは決定で!」


一宮がボードに書いていく。
湊「他には何か無いかな?」
釈迦如来「演劇部員VSお客さんで、カジノとかやっちゃいます?」
皆が一斉に、釈迦如来を見てから綺咲を見る。
次に四隣を見てから天馬を見ていく。
一宮「賭け事はちょっと……」
湊「普通にカードゲームなら良いんじゃないかな。講堂の椅子を移動するだけで場は出来るし」
釈迦如来「えー、もうちょっと派手に行きましょうよ!」
能登川「カードの柄を蛍光色にするとか?」
桜井「派手っちゃ-派手だけどよ。もう少しパンチが欲しいよな」
天馬「じゃあ、衣装を着てプレイしましょうか。室内ですし、暴れる事も無いでしょう」
四隣「良いですネ!ゼヒ遣りましょうッ」
湊「十字が言うと妙な感じに聞こえるけど、新鮮な余興だと思う。 練習も要らないし」
一宮「コスプレカードゲーム大会……と」
能登川「一宮先輩が言っても変な感じがしませんね」
天馬「全くです」
黒羽「人徳だな」
桜井「小鳥サンは、鬼ごっこに回れば良いしな」
四隣「ふふふ……それはお触り容認と云うコトですネッ!」
能登川「し、しまった!?」
湊「小鳥は鬼ごっこの審判とかタイムキーパーとか遣ってくれるかな?」
綺咲「はい、頑張ります」
天馬「……四隣君にさらわれないように……」
綺咲「え?えぇぇぇ!」
四隣「ふふふ……」
綺咲「……天馬君、助けてくださいね?」
四隣「ぐはっ!ガードが固くなった……」


詳細が話し合われ、且つ短時間で纏め上げられていく。
舞台の準備や練習期間で部員たちの絆が強まっていったのが確かに現れている。
心地好い一体感と、和やかな雰囲気の中で四隣は、演劇部の一員で在る事を光栄に感じていた。


湊「よし、こんなところかな。みんな今日は本当にお疲れ様。
  初日の手応えにおごることなく、一人でも多くの人に喜んでもらえるよう明日からまた頑張っていこう!」
一宮「勿論、自分達も楽しんで過ごせる様にな」
湊「じゃあ、解散!」


「お疲れ様でしたーッッ」


天馬「家に着くまでが学園祭です……」
桜井「遠足……」
能登川「また明日―」
四隣「うん。また明日!」