子編

Last-modified: 2008-05-24 (土) 01:37:40

【本番まで残り 48日】PM4:00
・舞台を観る(D)
子編


釈迦如来「それじゃあいくよー」
黒羽「おー」
タタタタ……。釈迦如来が助走をつける。一体何をするつもりなのか?
釈迦如来「とう!」
黒羽「うあっ」
釈迦如来「わあっ」


ドシーーーーーーン。派手な音と共に豪快に転ぶ2人。


黒羽「いてて……」
釈迦如来「いたたた……だ、大丈夫?ごめん……」
黒羽「へ、平気平気」
湊「うーん…やっぱり実際に乗るのは無理だね…」
劇中、子が丑の背に飛び乗るシーンがある。これをどうやって表現するかの実験だ。しかし、結果はご覧の通り。というより、無理がある。しかし、気付いてはいたがやってみないと気が済まないのも事実だ。
黒羽「もう1回、試してみる?」
湊「いや、怪我する前に止めておこう」
それもそうだ。
釈迦如来「でも、それだと他に何か方法というか、アイデアありますかねぇ……」
考え込んでしまった。


能登川「い、一体どうしたんですか?そんな深刻な表情して!?」
湊「実はさ……」
湊は経緯を説明する。なるほどと合点がいく能登川。
能登川「それなら、ぬいぐるみを背中に貼り付けるのはどうですか?」
湊「お?それ、いけるかもな」
釈迦如来扮する子に似せたぬいぐるみなら、少し裁縫が出来れば作れる。
黒羽「それをどうやって背中に貼り付けるの?」
そこだ。何しろ“飛び乗る”のだから。
湊「う~ん」
再び問題にぶつかってしまった。
湊「ん?ぶつかる?ぶつける……」
能登川「??」
湊「そうか!ぶつければ良いんだ」
つまり、子のぬいぐるみを丑の背中にぶつけて、張り付かせれば良い。ということだ。
釈迦如来「でも、どうやって張り付かせるんですか?」
能登川「あぁ、それならマジックテープを使えば、問題ないですよ」
丑の衣装の背中にマジックテープを目立たないように縫い付けて、それに当るように投げればいいのだ。
湊「それ、直ぐに作れるかな?」
能登川「材料があれば出来ますよ。手先器用な小道具係も居ますし」
役者兼任している2人まで使おうと言うのか。
湊「ははは。そうだね。じゃ、任せたよ。ジールは投げる練習追加だね」
釈迦如来「はい」
黒羽「俺は何すればいいのかな?」
湊「……台本片手に、ジールの的……」
黒羽「……え……」
貼り付けられる対象なのだからそれは仕方が無い。


しばらくして、ぬいぐるみを投げ付ける釈迦如来と、それを背中で受け止める黒羽の奇妙な練習風景が続いた……