隅の方で黄色の塊が動いていた。
眩しそうな黄色を着ているのは寅役の村河だ。
村河「オレ……黄色だな。自分で選んだ色だけど眩しいな」
一宮「目立っていいんじゃない?」
村河「目立つのかーいいな!オレちびっこだし、お子様寅だし」
寅の衣装のポイントは肉球手袋だ。
物が掴みにくいと言う難点はあるけれど村河は満足していた。
村河「さすが衣装班だよな。オレの萌えに忠実に作ってくれて嬉しいよ」
一宮「任せろ!って萌えなんだ……」
村河「おぅよ」
村河は元気いっぱいに答えると腕をぐるぐる回した。
村河「わぁっ!ごめん」
黒羽「ちょっ、危ない……」
そこは狭い部室だ。近くで着替えていた黒羽に腕が当たる。
湊「何?大丈夫?」
離れたところから部長の声が響く。
村河「ごめん、ごめん。ちょっとはしゃぎすぎた……」
湊「衣装に問題がないならいいよ。はしゃぎ過ぎてケガしないようにね」
村河「はぁい」
村河は大人しく見学しようと思った。