ドン、ドン。ガラン。
桜沢「やっと開いた……」
入口のカーテンを不思議そうにかき分けて入って来たのは桜沢だった。
桜沢「すみません、遅れましたっ。カーテンなんてあるから締め出されたかと思いましたよ」
湊「覗く人はいないと思うけど念の為ね。はい、これ蓮希の未の衣装。空いているところで着替えて」
桜沢「あっ、はい」
湊「イメージ通りだといいけど……」
湊から衣装を受け取り広げてみる。
未の衣装は羊飼いだった。
桜沢「いいと思います。でもオレがデザインして今更だけど、寒いかも……」
薄い生地で肩が出ていて、七分丈ズボン。
湊「ライトあるし、動くから大丈夫だとは思うけど。楽屋では上着着てた方がいいかもね」
桜沢「そうします。えと、角と耳は?」
湊「未のは布じゃ作れないから道具班に依頼してあるよ。楽しみにしてて」
桜沢「わかりました。じゃぁ着替えます」
桜沢「あっこれ、後ろファスナーなんだ…………」
衣装班のこだわりだろうか。簡単に着られるのは有り難いけれど。
ファスナーが上がらない?
綺咲「手伝いますね」
ひっかかって上がらないファスナーに悪戦苦闘していたら、それに気づいた綺咲が横から上げてくれた。
桜沢「あっ、ありがとう」
衣装を着ると、何となく気持ちが変わってくる。
桜沢「オレは未っと」
そこは仲良し設定の未と卯のツーショットになった。
桜沢「何か記念写真とか撮りたいね」
綺咲「あ~いいですね。ちょっと恥ずかしいですが……携帯で」
そして二人はこっそり記念写真を撮ることにした。