黒羽に会いに行く

Last-modified: 2008-05-21 (水) 15:29:11

黒羽「カーッ!!なんど味わってもいいねぇ!!あの拍手は!!」
今回で舞台に立つのは2回目だが、やはりあの拍手は忘れられない。
あの拍手が欲しくて、一生懸命ここまで頑張ってきたのだから。
釈迦如来「ホントだよねー!もう最高!!!」
あの緊張感はどこへやら。
口々に感想を言い合う。
黒羽「桜井さんも特訓の成果出てたじゃん!!よかったよ!!」
釈迦如来「顔引きつってたけど……ぷっ」
桜井「うるせぇな…」
衣装を脱ぎながらのみんなとの談笑。
これもまた舞台後の楽しみでもある。
能登川「ヤバイ、僕なんか泣けてきた……」
黒羽「泣くなよ!まだ明日も明後日もあるんだぜ!?能登川が泣いたら……なんか……俺まで……うっ……」
感動のあまり泣き出す二人。
天馬「もう、二人して泣かないで下さいよ……」
早々と着替えながらボソッと言う天馬。
舞台が終わるたびに見られる光景。
これもまた舞台後の楽しみでもある。




帰り道、何となくモーセ海岸に寄ってみた。
丁度夕日が落ちるところで、モーセ海岸が一番綺麗に見える一瞬の時だった。
自転車をその辺に置き、手ごろな場所を見つけるとドサッと座り込む。
何を考えているのか、ボーっと小島の方を眺めている。
黒羽「やっぱり俺……お芝居って好きだな……。楽しいや」
一人ボソッと呟く。
黒羽「なんだか俺、すげぇドキドキしてる」
広い舞台を自由に駆け回る。
いつもの自分ではないものを演じる。
時にミスをしたりもするけれど、泣きたくなる時もあるけれど、やっぱり楽しい。
セリフを覚えるのはすごく苦労するけれど、やっぱり楽しい。
黒羽「おーっし!!!明日も丑頑張るぞーっ!!!やったるざーっ!!!」
やれる、やれるよ。
だってこんなにワクワクしてるんだもの。
明日も最高の演技ができる。
スタンディングオベーションだって夢じゃないさ!!
これでもかってくらい大声で叫ぶと、黒羽は一人、モーセ海岸を後にした。
……自転車を忘れて。

END