A衣装作りチーム

Last-modified: 2008-05-23 (金) 16:43:40

出来上がったデザイン画を片手に、床のシートに置かれた布をチェックしている。
湊、一宮、釈迦如来の3人だ。

湊「まずは自分のから作った方がいいな。実は僕のはけっこう楽なんだよね。戌はベスト以外私服使えるし」
一宮「ずるいなぁ…。俺のはちょっと面倒かも」
釈迦如来「あっ、この着物使えないかなぁ」

置かれた布の中には以前使われた衣装も混ざっていた。
「使えるものはリサイクル」がより良い舞台を作る為の裏ワザ、演劇部の隠れた伝統になっている。

湊「いいんじゃない?あんまり時間かけられないし、使えるのもは使ってしまえ!」

そう言う湊は新しいクリーム色の生地を選んでいた。
そして早速用意してあった型紙を置いて裁っていく。その辺は慣れたものだ。
その隣では一宮が選んだ布を体に巻いている。

一宮「こんな感じかなぁ…」
湊「ん?なんで巻いてるの……」
一宮「あー…巳のイメージでなんとなくね」
湊「あはっ、そか。でもそれなら巳の質感出るかも。このまま裁つ?」
一宮「えっ!?」
湊「長さだけ合わせて裁った方が早いって」
一宮「そ、そう?できるかな…」
湊「大丈夫じゃない?ここ持ってみて」
一宮「睦月……マジ!?」

その問には答えず、ハサミを手にする湊。

湊「ジールはこっち持っててくれる?」
釈迦如来「あっ、はい」

シャキ、シャキ。
湊はためらいなくハサミを入れていく。
シャキ、シャキ……。
そこには微妙な緊張感が流れていた。

湊「はい、おっけー」
一宮「……俺、息止まるかと思った」
釈迦如来「大丈夫ですか?」
一宮「あはは、平気。それで上手くできた?」
湊「あっ、うん……」

そうして広げられた布は……端がギザギザだった。

湊「あ……ごめん。まぁ、端は縫うから大丈夫……だよね?」
一宮「形は問題なさそうだし、大丈夫!」
湊「よしっ。じゃぁ、ミシン2台しか借りられなかったから、できるのはさっさと縫っていくか。あっ、セリフ覚えるのも忘れないでね。って……僕もだけど」