C1荷車探しチーム

Last-modified: 2008-05-24 (土) 01:31:57

シーン2 C1荷車探しチーム


黒羽「荷車……」
村河「リヤカーで良いんだよね……」
黒羽「た、多分」
資材等を運ぶためにあるだろうが、いざ探すとなると、何処へ行っていいやらである。
村河「まずは倉庫だね」
部室からグラウンドと野球場の間を通り学校敷地内の端、西寮の近くにある倉庫までやってきた。鍵は開いている。どうやら他の部活や団体も用があるらしい。生徒が出たり入ったりしている。
黒羽「あるといいけどなぁ」
だが、予想というものは殆どが裏切られるもので、荷車はそこに無かった。聞くと他の部活で既に使っているらしい。
村河「遅かったか……」
黒羽「いつ使い終わるかなぁ」
他の部と違って演劇部では小道具の一部である。無いと困る。しかし、いわば公共のものを演劇部だけで占有することは出来るのだろうか?
村河「他の部が使うときに困るよね……」
5,6台もあるわけではない。探せばあるかもしれないが。
黒羽「あ!これリヤカーじゃね?」
村河「え?どれどれ?」
倉庫の裏手に隠れて見えなかったが、間違いない。しかし……。
村河「なんだか、すっごいボロボロだね」
廃材と一緒に置かれているリヤカーが1台あったが、サビは浮いているし荷台の板は朽ちている。更にタイヤもパンクしていて、とても使えそうに無い。
黒羽「はぁ……仕方ない。一旦引き上げよう」


湊「そうか、無かったか」
部室に戻った黒羽と村上は湊に報告した。これはもしかすると台本を一部書き直す必要もあるかもしれない。
桜井「おーっす」
天馬「こんにちは」
湊「あ、おっす。2人一緒は珍しいね」
桜井「来る途中で会ってよ」
台本を持っているところを見ると、台詞練習をしながら来たのだろう。
湊「あ、そうだ。一部台詞を書き直すかもしれないんだ」
桜井「何かあったのか?」
…………
黒羽「というわけ」
桜井「荷車ねぇ……確かに公演中は占有するからなぁ」
湊「一応、許可は取ったんだけどね……」
それでも必要に迫られた時は貸さなければならないだろう。
天馬「……その朽ち果てた荷車、見に行きませんか?」
湊「どうする気?」
天馬「修理して使えるなら、演劇部専用に出来ますよ」
つまり、一度破棄されたものを再利用するのだ。使っているものの頭数には入っていない計算になるから占有しても問題ない。
黒羽「あれを、直せるとは思えないけど……」
天馬の目が細くなる。
天馬「やる前から、諦めるのは嫌いなので」
言うと部室を後にする。どうやら倉庫に向ったらしい。
桜井「ということだ。俺も見に行ってくる」
湊「僕も行こう」
こうして5人は倉庫裏に来た。一足先に到着していた天馬は手袋をして色々調べている。
桜井「どうだ?」
天馬「……」
何と荷車をひっくり返す。ガコン!!
村河「うわっ」
車輪を廻してみる。
天馬「ふむ……」
そして倉庫の壁際に積んである廃材を見る。
天馬「使えますよ、コレ」
黒羽「えぇ!?マジで!?こんなボロボロなのに!?」
サビは磨き落として、パンクしたタイヤは交換か穴を塞いで空気を入れれば問題ない。荷台は廃材を使って作り直すというのだ。作り直すとはいっても、廃材を切断して付け換えるだけ。1日あれば出来る作業だ。
湊「よし!許可は僕が貰ってくるから、早速作業に取り掛かろう」
桜井「でもよ、舞台設備のほうもあるぜ。時間大丈夫か?」
天馬「俺がやりますよ。2人に手伝ってもらって」
黒羽「え?」
村河「オ、オレも!?」
天馬「ノコギリくらい使ったことはあるでしょ?」
黒羽「ま、まぁ多少は……」
村河「パンク修理やった事無いよ……」
天馬「その辺は考えますから」
湊「決まり。タツは裏方2人と舞台の方を引き続き確認して。荷車は3人に任せたよ」


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