ベルファストは考える。
すれ違う者がOPだNerfしろだと言うがこの我が貧弱な砲と装甲のどこがそうなのかと。
やれ燃やせと言うがそう簡単に燃えてくれるものでもあるまい。
やれぶち抜けと言うがそう抜けるものでもあるまい。
ダメージが入ればまだいいが、この砲から撃ち出される砲弾は戦艦の装甲を舐めるばかりである。
さらに見つかれば砲弾がすぐさまバイタルパートに飛び込み歯がゆい思いをすることになるのはいつものことであった。
ある日神はIFHEなるものを思いつき下界に授けた。
こんなものに本当に意味があるのかとベルファストは見向きもしなかった。
数日後、いつものように出陣し戦艦を打ち始めたところ、隣のヘレナの砲弾が敵戦艦に手痛いダメージを与えている。
比べて我が砲は装甲を舐めるばかり。ベルファストは疑問を投げかけた。
やいヘレナ、君の砲はなぜそれほどまで強力になったんだい。
ヘレナは心底馬鹿にしたような顔で答える。
まさか君は知らないのか、神に授けられた力を。
ベルファストは考える。
あんなインチキでそれほどまで強くなれたら苦労しない、しかし強くなるためには。
あんな嘘っぱちでそれほどに強くなれるものか、ベルファストは震える声で答える。
しかし、ヘレナはベルファストの答えに耳を傾けず新たな玩具を手に入れた子供のようにゲラゲラと嘲笑いながら砲撃を繰り返す。
なんと哀れな姿だと心底軽蔑したが、それをすぐさま撤回した。ヘレナの砲弾は戦艦の甲板を穴だらけ、火だるまにしているのだ。
射程内にいた戦艦はあっという間にヘレナに焼き尽くされ波の狭間に沈んでいく。
ヘレナは今輝いている……!あの力こそ私が求めていた力だ、手に入れることができれば!
もう強がる気持ちなぞ心にありはしない。IFHEという眼の前の圧倒的な力に魅了されてしまったのだ。
ベルファストはすぐさま港に帰還し、ダブ=ロンを支払いIFHEを組み込んだ。
一週間後、ベルファストは心底満足していた。
憎き戦艦と巡洋艦を焼き尽くし、哀れな駆逐艦をレーダーで捉え一方的に嬲り殺したのだ。
あれほど己を嘲笑っていた戦艦共は皆水底だ。
これこそ理想の力、我が砲の前に立ちふさがるものなど何もない。
そう、己こそ最強なのだ。
肥大する全能感を胸に再び戦場に出向いた。
スモークを炊き慣れた手付きで戦艦に砲弾を投げつける。
ああなんと気持ちいいことだろうか、奴らは私に何もできず沈んでいくのだ。
一隻を水底に沈めようとしたとき、見慣れないインジケーターが灯される。
そのことには撃つことに必死で、ベルファストは気づくことができなかった。
9発の徹甲弾が高速で飛翔し、舷側装甲を貫く。
大爆発を起こし吹き飛ぶ己の体がベルファストが見た最後の光景だった。