あこひま

Last-modified: 2024-04-25 (木) 00:03:30

修学旅行に出発したバスの中。私たちは一番後ろの席に並んで座ってるため五人で話をしていた。

「移動が一番苦痛だな」
「特に何もないからね~」
「窓の外眺めるくらいだね」
「でも,滅多に見られない景色もあると思うよ」
「そうだろうけど,真ん中に座ってる私が一番苦痛だからね」

じゃんけんで決まったけど,まさかの私が貧乏くじを引いたのだ。

「まあまあ,ひーちゃんはその体格で座ってなさい~」
「へ?」
「ほら,あれだよ!幸せ太りってやつだよ!」
「つぐみ,それフォローになってないよ」
「え、あ・・・」
「つぐー!」ギュー
「ひはひひゃん~!?」ヒーン

私はつぐにほっぺギューの刑に処した。そうしていると、本日の目的地でもあるお寺に到着した。

「やっぱり実際に見ると大きいね」
「いや~、これは修学旅行の定番になりますな~」
「まあ、そうだね」
「観光地なだけあって人も多いな」
「はぐれないようにしないとね」

私たちはそうして歩いていく。すると、

「あれ?」

私はある人たちを見つけた。

「ねぇ、みんな。あそこにいるのって・・・」
「ん?」
「ほえ~?」
「なに?」
「誰かいるの?」
「日菜先輩と麻弥先輩」

私が指さして言うとみんなそっちの方を見る。そこには、日菜先輩と麻弥先輩がいた。

「ほんとだ。撮影かな?」
「それなら邪魔しちゃマズくない?」
「でも、カメラとか無いよ~?」
「言われてみればそうだな」

私たちがそんな会話をしていると,日菜先輩たちも私たちに気づいた。

「あら,つぐさんに皆さん奇遇ですね」
「お疲れ様です。もしかして今日から修学旅行ですか?」
「お疲れ様です。まあ、そうです」
「もうそんな時期なんですね」
「そういえば姉さんがつぐさんがいなくなると嘆いてましたね」
「あはは・・・、紗夜さんってば///」

そこって照れるとこ?

「ところで,日菜先輩と麻弥先輩はどうしてここに?」
「ジブンたちは今度の撮影の下見ですね」
「ドラマか映画ですか~」
「企業秘密なので教えられません」
「まあ、ですよね」

私たちはそんな風に会話をしていた。すると、周りが何かヒソヒソと話しているのが聞こえた。

「あれパスパレの日菜ちゃんと麻弥ちゃんじゃない?」ヒソヒソ
「ほんとだ!それに、一緒にいるのって・・・もしかしてAfterglow?」ヒソヒソ
「だよね!パスパレに曲を提供したり、対バンでも今のところ負けなしの!」ヒソヒソ

なんだか私たちいつの間にか有名になってない!?

「あー、これはマズいかもですね」
「皆さんの修学旅行を邪魔するわけにはいきませんね。私と麻弥さんでなんとかしますのでつぐさんたちは楽しんでください」
「あ、はい」

私たちはそうして修学旅行の続きを楽しむのだった。そして、夕方にはホテルに到着して部屋でゆっくりする。するんだけど、みんなそれぞれ恋人と連絡をしている。まあ、中でもリサさんの声は私たちにまで聞こえるくらい大きかったけどね。

「それでね、まさか私たちまであんなに有名になってるなんて思わなかったよ」
『ひーちゃんたちが頑張った証拠だよ』
「あはは、そうだといいな」

私はあこちゃんとの電話を楽しんでいた。

「そっちはどう?あの後大丈夫だった?」
『あはは、リサ姉を止めるのに必死だったよ。バスに乗り込もうとしてたし』
「あー、たしかにそうだね」
『その後あこは学校に行ったからわかんないけど、友希那さんたちは大学で大変だったみたいだよ』
「そっか~。お疲れ様だね」
『そだね。それと・・・』
「ん?」
『やっぱりひーちゃんのいない学校や家は寂しいね』
「あこちゃん・・・」
『でも、大丈夫だよ!ひーちゃんが帰ってきても大丈夫なように綺麗にしておくから!』

あこちゃんは寂しくても頑張ろうとしてくれてるんだなぁ。

「わかった。でも、私の下着をオカズにしないでよ~?」
『うっ・・・・・・・・・しゃ、写真ならいい?』
「もう、しょうがないな~。後でいいの送ってあげる♡」
『え、いいの!?』
「特別だからね♡」
『うん!!』

ほんと元気のいい返事だこと。

「それじゃあ,そろそろ夕飯だから,また後でね」
『わかった。楽しみにしてるね!』

それは私との電話なのかオカズの写真なのか。ま、私としてはどっちでもいいけどね。

「私の写真をオカズにした分、帰ってたっぷりシてもらうから♡」

私は電話を切った後にスマホを見ながら呟くのだった。