概要
フランス軍が第一次世界大戦で投入した砲塔を持つ戦車の祖ともいうべき存在。

↑鹵獲されたFT-17、車輌番号「42」。
諸元
| 制式名称 | FT-17 |
| 鹵獲名称 | Pzkpfw FT 730(f) |
| 主武装 | 3.7cm SA-18 |
| 副武装 | なし |
| 鹵獲元 | フランス共和国 |
| 重量 | 6.5t |
| 全長 | 5m |
| 全高 | 2.14m |
| 全幅 | 1.74m |
解説
第一次世界大戦当時、フランス軍がイギリスに次いで投入したサン=シャモン突撃戦車などの戦車はその巨体を活かした塹壕突破力や敵兵に恐怖を与えることに優れていたが、鈍重で小回りが効かずドイツ軍が対戦車ライフルを投入すると次第にこれを支援する車輌が必要になっていた。
そして、この車輌の設計に向けて白羽の矢が立ったのが当時フランス国内で最も有力な自動車企業だったルノーだった。社長自らまでもが設計に携わったFT-17は、それまでの菱形戦車とは打って変わって砲塔を備え、小柄で歩兵支援などに向いていた。それでいて安価で大量生産が容易なため即座に採用され、1918年春季に行われたドイツ帝国軍の大攻勢に対する反抗戦で初めて投入された。
それ以降第一次世界大戦終戦まで戦い続けたFT-17は世界各地に輸出され、各国の戦車開発における手本とされた。
ただ、戦車開発が急速に加速していく中で陳腐化も加速し、また隣国ドイツが再軍備を行い装甲戦力を拡充するともはやドイツ軍の戦車に対抗することは不可能となっていた。しかし、フランス国内に1000輌以上残存していたFT-17は依然としてフランス軍の主力装甲戦力の一つであった。
1940年、ドイツがフランスに侵攻し、僅か1ヶ月で降伏させられると大量に接収・鹵獲された。これらは主力としての役目はもう終わっていたがパルチザン掃討や治安維持などの目的ではまだまだ使用された。1944年のフランス解放時点でも警備部隊に配備されていた。
派生型
FT-17(8mm MG) 730(f)

3.7cm SA-18ではなくホッチキス社の8mm M1914*1を搭載した型。
FT-31 730(f)
1930年代に近代化改修の一環で7.5mm MAC1931機関銃を搭載した型。
GePanzerTer Zug(FT)

ドイツ軍に鹵獲されて装甲列車に移植・使用された型。
Pzkpfw.730(h)
オランダにて鹵獲されたFT-17。
Pzkpfw.730(b)
ベルギーにて鹵獲されたFT-17。
ギャラリー

↑砲塔のみを要塞にて使用されるFT-17。

↑FT-17、セルビア戦線にて。

↑フランスにてアメリカ軍に再度鹵獲されたFT-17、車輌番号「3-25」。

↑武装を取り外されたFT-17。

↑FT-17、バルカン戦線にて。

↑FT-17、冬季?。

↑FT-17。