日経朝刊 ヒデキマツイ

Last-modified: 2010-11-17 (水) 16:22:26

聞き手 朝田武蔵

12/5/2006 日経朝刊「ヒデキマツイ2006」(8)より抜粋

「プレーオフに話を戻しますが、タイガースには力負けです。投手、攻撃、試合に臨む気持ちまで、
すべてで完全に相手が上だった。でもある意味でノーマークのチームは楽なんです。
負けても何も言われないし、勝てば大金星。ヤンキースは勝っても当然と言われるし、負けたら
この世のものとは思えないぐらい批判される。
勝ちを宿命づけられ、勝って当然と思われてる中で勝つのがいかに大変かという事です。
その中でジーターとポサダの凄さが際立った。レギュラーでは2人だけがこのチームで世界一に
なった事があるメンバーです。プレーオフでそろって打率5割。
どんな状況下でも、やらなくちゃいけないことはしっかり準備して、目の前のひとつひとつをしっかりやる。
2人はその大切さを分かっている。自分の足元を見つめずに、先だけ見ても何もいいことはない。
1年目、A・ロドリゲスを最初に見たときは衝撃でした。素質は誰よりも凄い。
どこにでもでっかいホームランを打てる。彼にしかない才能です。
でもそれが大事な場面で出せるかは別問題です。彼はすごいところと、そうじゃないところが両極端すぎる。
第2戦で3三振した時、あまりいい雰囲気ではなかった。
あれだけの選手でもハートをしっかり持ってないと、いい働きはできない。心はそれほど重要です。
ヤンキースには、そこで育った人間にしか分からないものがあるような気がする。
よく生え抜きとかいいますが、その大事さというのはあるような気がする。
僕はたまたま巨人、日本の中のヤンキースですよね、で育ったから、日本でやってきた野球を変えなくても
気持ちの面で、ヤンキースというチームに、うまく入れたのかもしれない。
最初に夢と言いましたが、チームが勝つというのは実は夢じゃなくて、毎年の目標です。
今の夢となると難しいですね。んーーー。一人でも多くの人に野球で感動を与えることでしょうね。
野球というスポーツを通して、人が、どれほど感動できるということを身をもって示したい。」

11/9/2007 日経朝刊「ヒデキマツイ2007」

―主砲A・ロッドが移籍するようだが。
「今年は確かにすごかった。 でもそんなに驚かないね。
そんな感じで、なんかしゃべってたよ。
ほかのチームに行くかもしれないみたいな感じで。
A・ロッドには、のんびりしたところの方が合っているのかもしれない。
ニューヨークは周りがうるさいから。
ホントは(元々の)ショートをやりたいんじゃないかな」
「A・ロッドだけじゃなくて、 ヤンキースにとってもよかったかもしれない。 両雄並び立たずって言葉があるでしょ。
ジーターとA・ロッドが一緒にいると難しいんだよね。
お互い気を使う場面があるんじゃないかな。
年も近いし(一歳違い)。
例えば昔の王さんと長嶋みたいにね、
二人ともすごかったけど、年は離れている。
4、5歳離れているでしょ。
そうしたらうまい具合にマッチするんだよね、たぶんね。
王さんの控え目というか、穏やかな性格もあるだろうし」
―就任以来、12年連続ポストシーズンに進出した名将トーリが去った。
「僕だけではなくて、みんな残念だと思う。
マネージャーとしてもそうだけど、
みんな人間として好きだから。 常に相手を尊重する広さを持っている。
ひと言で言えば、常に相手に対して、思いやりがある、
人の身になって何でも考える。 どういう人に対してもそう。
あと、彼の素晴らしいところは、一貫性があることだよね。
言うことがコロコロ変わらない、絶対に。
それを貫き通す。どんなことでもね。
野球に対する考え方は、ほんとに何でも、僕と一緒のような気がする」