207 名前: 1/2 投稿日: 2003/04/22(火) 22:21 [ rCLq37i2 ] ≪フルコ-ス≫ 『世界のゲテモノ料理フルコース』 そうでかでかとTV画面に映し出された。 ゴールデンタイムに流されるバラエティ番組。 番組の中盤に差し掛かってのことだった。 新人のレポーターが世界のゲテモノ料理を食わされていく。 甲虫・蛇・臓物・・・etc それぞれの料理の前にテロップが流れる。 少し遅れて晩御飯を取る人たちにしたらたまらないだろう。 十分もして、メイン終わりデザートとなった。 タイトルは、 『至宝のデザート』 比較的ましだ。 いったいどんな料理なのだろう。 ちょっとした説明も終わり、 レポーターが腹をすえたような面持ちでテーブルに座っている。 だが、少し違和感があった。 それは直ぐに分かった。 テーブルの真ん中に穴が開いているのだ。 テーブルクロスその穴を塞がないように穴が開いている。 レポーターのアップの顔。 そして、 その人の驚きの表情と共に画面がズームアウトしていく。 テーブルの上には何も乗っていな・・・ 穴がいていたところにモザイクがかかっている。 そして、短いテロップが流れお決まりのCMとなった CM中 208 名前: 2/2 投稿日: 2003/04/22(火) 22:21 [ rCLq37i2 ] 九十秒もするCMもやがて終わり、 また、先ほどと同じようにレーポーターのアップとなった。 また、驚きの声を上げながらズームアウトしていく。 テーブルの真ん中にいたのは、 チビギコだった。 ただ、「 脳 が む き 出 し 」だった。 まさか、 レポーターが口を押さえながら席を離れた。 カメラがあわただしく動く。 カメラが回っているせいか、すぐに席に戻った。 ウェイターと思しき人が話し始める。 「デザートは『チビギコの脳みそ』でございます。」 レポーターは机に突っ伏した。 それを知っているのか、知らないのかウェイターは、 黙々と白い、深めのスプーンのような物をを剥き出しの脳に突き出した。 「ヒギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」 今まで黙っていたチビギコが、 身を捩り、叫び始めた。 グチュッ・・・ 脳の一部がすくい出される。 ぴゅしゅぅ、と、少しの血が純白のテーブルクロスを汚すが、 ウェイターはそれ無視した。 よくある事の様だ。 小皿にそれをよそうと、レポーターの前におき、 笑顔で勧めた。 ・・・ レポーターは恐る恐るといった様子でスプーンをとった。 お決まりの「匂いをかぐ」。 すぐに顔を背けた。あまりいい匂いではない様だ。 そして、またもや恐る恐るといった様子でスプーンを口に入れた。 「甘い。」 それが第一声だった。 どうやらこれは甘いらしい。 レポーターがもう一口だべたところで、 おいしさの理由になる説明が流れた。 そして、閉めのナレーションと共に終わった。 さて、次はスタジオのタレントたちによる試食会だ。 悲鳴と共にスタジオの中に数々の料理が運ばれる。 悲鳴を上げ、逃げるアイドル。 大胆に食事にかかるお笑い芸人たち。 バラエティー番組としてはいつもの光景に戻った。 そのご、あの料理が流行ったのは言うまでも無いが、 あの日、番組史上最低の視聴率もたたき出していた。 まあ、とうぜんだが。 =====糸冬了=====