≪フルコ-ス≫

Last-modified: 2015-06-12 (金) 21:34:35
207 名前: 1/2 投稿日: 2003/04/22(火) 22:21 [ rCLq37i2 ]
≪フルコ-ス≫

『世界のゲテモノ料理フルコース』
そうでかでかとTV画面に映し出された。
ゴールデンタイムに流されるバラエティ番組。
番組の中盤に差し掛かってのことだった。
新人のレポーターが世界のゲテモノ料理を食わされていく。
甲虫・蛇・臓物・・・etc
それぞれの料理の前にテロップが流れる。
少し遅れて晩御飯を取る人たちにしたらたまらないだろう。
十分もして、メイン終わりデザートとなった。
タイトルは、
『至宝のデザート』
比較的ましだ。
いったいどんな料理なのだろう。
ちょっとした説明も終わり、
レポーターが腹をすえたような面持ちでテーブルに座っている。
だが、少し違和感があった。
それは直ぐに分かった。
テーブルの真ん中に穴が開いているのだ。
テーブルクロスその穴を塞がないように穴が開いている。
レポーターのアップの顔。
そして、
その人の驚きの表情と共に画面がズームアウトしていく。
テーブルの上には何も乗っていな・・・
穴がいていたところにモザイクがかかっている。
そして、短いテロップが流れお決まりのCMとなった

CM中

208 名前: 2/2 投稿日: 2003/04/22(火) 22:21 [ rCLq37i2 ]

九十秒もするCMもやがて終わり、
また、先ほどと同じようにレーポーターのアップとなった。
また、驚きの声を上げながらズームアウトしていく。
テーブルの真ん中にいたのは、
チビギコだった。
ただ、「 脳 が む き 出 し 」だった。
まさか、
レポーターが口を押さえながら席を離れた。
カメラがあわただしく動く。
カメラが回っているせいか、すぐに席に戻った。
ウェイターと思しき人が話し始める。
「デザートは『チビギコの脳みそ』でございます。」
レポーターは机に突っ伏した。
それを知っているのか、知らないのかウェイターは、
黙々と白い、深めのスプーンのような物をを剥き出しの脳に突き出した。
「ヒギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
今まで黙っていたチビギコが、
身を捩り、叫び始めた。
グチュッ・・・
脳の一部がすくい出される。
ぴゅしゅぅ、と、少しの血が純白のテーブルクロスを汚すが、
ウェイターはそれ無視した。
よくある事の様だ。
小皿にそれをよそうと、レポーターの前におき、
笑顔で勧めた。
・・・
レポーターは恐る恐るといった様子でスプーンをとった。
お決まりの「匂いをかぐ」。
すぐに顔を背けた。あまりいい匂いではない様だ。
そして、またもや恐る恐るといった様子でスプーンを口に入れた。
「甘い。」
それが第一声だった。
どうやらこれは甘いらしい。
レポーターがもう一口だべたところで、
おいしさの理由になる説明が流れた。
そして、閉めのナレーションと共に終わった。
さて、次はスタジオのタレントたちによる試食会だ。
悲鳴と共にスタジオの中に数々の料理が運ばれる。
悲鳴を上げ、逃げるアイドル。
大胆に食事にかかるお笑い芸人たち。
バラエティー番組としてはいつもの光景に戻った。

そのご、あの料理が流行ったのは言うまでも無いが、
あの日、番組史上最低の視聴率もたたき出していた。
まあ、とうぜんだが。

=====糸冬了=====