あの女

Last-modified: 2015-06-13 (土) 21:16:39
331 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/06/04(水) 19:06 [ xzF88FEs ]


私は絶対、あの女みたいにはならない。


「こんにちは、しぃちゃん。」
彼がいつもの様に癇に障る笑顔で現れた。
目だけが笑っていない表情、とでも言うのだろうか。
「しかし、ここは相変わらず黴臭い部屋だねえ。」
「しょうがないじゃないですか。窓が無いんですから。」
「まあ、ここは元々アフォしぃを更生する為の部屋だったからね。窓があったら色々不便なんだよ。」
「そうなんですか。」
そんな話はいいから早く始めてくれませんか。
そんな想いを滲ませて言うと、彼もやっと気付いたようだった。まあ、単なる嫌がらせだったのかもしれないが。
「そうだね。そろそろ準備してくるよ。」
彼はにこやかな笑みを作ったまま部屋から出て行った。

扉が閉まるのを見届けて、私は目を閉じて溜息をついた。
全く、あの男の顔を見ているとストレスが溜まってしょうがない。
只でさえこの部屋は蒸し暑く、鬱陶しいのに。
そこまで考えて、私ははっとした。
いけない。あの女と同じ考えをしていた。
周りの環境が合わないのなら、さっさと用事を済ませて出て行けばいいのだ。
そう、それだけのこと。
「準備終わったよ。」
彼の声で私は我に帰った。

長い一日が始まる

332 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/06/04(水) 19:38 [ xzF88FEs ]


あの女の元に生まれたのが人生最大の失敗だったのだろう。


私を迎えたのは彼の例の笑いと…椅子だった。
「なんですか、この椅子は。」
「何だと思う?」
まあ、座ってと促され、私はそれに大人しく従った。
「電気椅子ですか?」
少し用心して聞く私に、彼は何も答えない。
慣れた手つきで背もたれからシートベルトのような物を引き出して、私の胴を固定した。
かちゃん、と金属音が響く。
続いて、肘掛からも同じようにベルトを引き出した。
「何ですか?これは。」
「しぃちゃんを固定するためのものだよ。」
これ自体には何の仕掛けも施していない。彼は言った。
「だから、そんなに緊張しないで。」
そう言われて、初めて自分の体が痛いほど強張っているのに気付いた。
手を二、三回開いたり閉じたりして緊張を紛らわす。
私は彼に笑いかけた。できるだけ挑戦的な顔で。
「…いい顔だよ。」
彼は笑い、そして私に目隠しをした。
視界が真っ黒に染まる。
「それから、これは30分経たないと終わらないから。」
そう言いながら私の耳にヘッドホンを取り付けた。
「音楽でも聞かせるつもりですか?」
未知の恐怖に抗うためにそう言ってみたが、その声すら自分の耳に届かない。
ただ、彼が笑った気配がした。

333 名前: 331 あの女 投稿日: 2003/06/04(水) 22:43 [ xzF88FEs ]
あるところに一匹のしぃがいました。
彼女は世間一般でいうところのアフォしぃでした。
すぐにだっこをせがみます。
すぐに交尾に誘います。
そして…彼女は妊娠しました。

ところが、彼女は妊娠の何たるかをよく分かっていなかったのです。
少し太ったかなあ?と運動をしてみたり、食事制限をしてみたり。
仲間に指摘されて、それがようやく妊娠であることに気付いたのです。
何はともあれ、めでたいことです。

彼女を恨むしぃがいました。
彼女のせいで流産してしまったしぃです。
もちろん、彼女はそのしぃのことを知りませんでしたが。

そのしぃは、彼女が妊娠していることをしりました。
自分を不幸にしたしぃを、同じ目にあわせてやりたい。
そう思うのも、道理かもしれませんね。

そのしぃは旦那に頼んで彼女を虐待することになりました。

334 名前: 331 あの女 投稿日: 2003/06/04(水) 23:15 [ xzF88FEs ]
「あの、すみません。」
旦那さんは、彼女に声をかけました。
彼女はもう臨月なのか、大きなお腹を抱えています。
「ナアニ? ダッコ?」
彼女は嬉しそうに言いました。
旦那さんは、彼女を張り倒したい気持ちで一杯になりました。
彼女のせいで、奥さんはもう子供を作れない体になってしまったのです。
階段から突き落とされたのでした。
「はい。だっこさせてください。」
そんな事はおくびにも出さず、旦那さんはにこやかに言いました。
「こっちに来てくれませんか?」
「イクイク!! イッパイダッコシテ!!」
彼女は不審も抱かず旦那さんについて行きました。

「ハニャッ!!」
どんっといきなり突き飛ばされ、彼女は尻餅を付きました。
「ナニスルノヨウ! シィノオナカニハ ベビチャンガイルノヨウ!」
「はあ?それがどうしたんだよ。」
旦那さんは爪先でちょんと脇腹をつつきました。
「ヤメテヨウ!! ダッコシテヨ、マターリシヨウヨ!!」
「こっちはな、マターリなんてできない状況なんだよ。」
今度はもう少し、強く。
「ヤメテ!! オネガイダカラ モウソレイジョウツヨク…!!」
「てめえのせいでな!!」
旦那さんは、脇腹を蹴り上げました。
「シィィィィィ!!」
半分以下の力でしたが、それでも彼女にとっては大きなダメージです。
「ヤメテヨウ!! シィガ シィガ ナニシタッテイウノヨウ!!」
そう叫んだ時です。
彼女を激痛が襲いました。
「ハァッ…フ…イタイヨォ…!!」
「陣痛か…まあ、いい。そこで子供と一緒に行き倒れてろよ。」
旦那さんはそう言って何処かに行ってしまいました。
「イカナイデ…!!」
這って追いかけようとしましたが、それも大きいお腹ではままなりません。
「マッテェ…!! シンジャウヨウ…」
彼女は動くことを諦め、地面に寝転がりました。

何時間、いや、もっと短いかもしれません。
足音が聞こえてきた。
「タスケ!? コッチニキテェ!!」
彼女は全力で叫びました。
茂みの向こうから現れたのは、…でぃでした。
「キャア!? チカヨラナイデ!!」
「…」
でぃは彼女の傍らに座り込みました。
「オナガイ!! ワタシダケデモイイカラ タスケテ!! オナカノ ベビチャンハアゲルカラ!!」
「…ベビチャン?」
でぃが興味を示したのに気付いて彼女は一気にまくし立てました。
「シィヨリモ ベビチャンノホウガ オイシイッテキイタコトアルヨ!! シィハマズイカラ オナガイ タベナイデェ…」
でぃが、かすかに首を横に振ったように見えました。
え?と問い返す前に、彼女の腹はナイフで割かれていました。
「ア… ギ、ギャアアアアアアアア!!!!!」
この世のものとは思えないほどの叫び声を彼女はあげました。
でぃは、素晴らしい手つきでしぃの腹を開けていきます。
「ヒィッ…アガアアアアアアアア!!!!! イダイイダイッイダイヨオオオオオアアア!!!」
でぃは、無事に子供を取り上げると、彼女をそのままにして何処かへ行きました。
「オナガイ…タスケテ…」
弱弱しく彼女は言いました。そしてそのまま、死にました。

335 名前: 331 あの女 投稿日: 2003/06/04(水) 23:24 [ xzF88FEs ]
でぃは、実は頭の中はまだ正常でした。
彼女の言ったことに心のそこから腹を立て、
なんとか子供を助けようとしたのです。

子供はでぃに育てられました。
その子供は幼い時から利口で、自分の境遇を受け入れ、そして悩みました。
そしてその子は決心しました。

私の中から、あの女の全てを追い出してやろうと。

血はどうにもできないけれど、アフォしぃ特有の考え方はどうにかなる。
そう思い、彼女はまず強い心を手に入れようとしたのです。
強い心を手に入れるなら、やはり虐待などの目にあわないといけないとその子は思いました。
そして、彼を見つけたのです。

彼は、自分の欲望を満たすために虐待を日々行っていました。
体を傷つけずに、五感に不快感を与えるのが彼の手口でした。
その時の被虐者の顔がたまらない。彼は言います。

そうして、その子と彼は手を組みました。
お互いの目的の為に。