ある草原で

Last-modified: 2015-06-23 (火) 01:24:51
974 名前: ある草原で 1/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:03 [ Wn2S35ck ]
ある荒れ果てた草原で
モララーと親子であろう1匹のしぃとベビしぃ3匹がたわむれていた。

「虐殺基本技第1番耳もぎ!」

ブチブチッと小気味いい音を立てて耳がもがれていく。
少量だが噴水のように噴き出る毒々しい血は、いっそう彼の興奮をかき立てた。
それだけでもまずは満足できるものだったが、さらにそれを引き立てる声が続く。

「シ!ジィィィィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙!オミミガァー!!ダッコスルカラ ヤメテヨォ!!」

キンキンと耳に突き刺さり、脳に多大なダメージを与えるしぃ特有の半角声。
物理的ダメージだけにとどまらず、その声を目の当たりにした者に
並ならぬストレス、精神的ダメージを与える。
本人は必死なのだろう。
しかし、それは血に飢えた虐殺者にエサを与えるようなものなのだ。

だが、彼にとってその叫びはストレスを与えるどころか快感として感じるようだ。
それに、しぃが何を言おうが関係のないことだった。

975 名前: ある草原で 2/14 ageた・・スマソ 投稿日: 2004/08/09(月) 23:05 [ Wn2S35ck ]
「へー、どうぞベビ共を殺して下さい・・・だって?うれしいなぁ。」

自分なりに解釈し
つくはずのない耳を必死にあてがっているしぃの腹を蹴り上げ
そのままベビ共の方へ歩み寄った。
ベビ共は吹っ飛んだしぃの方へ逃げ出したが、1匹だけすくんで逃げ出せずにいた。
ベビは自分の身に何が起こるか察知したのだろうか。
思わず一歩あとずさり、「タスケテ」と哀願するような目でこちらを見つめてきた。

知るか。  そう言いたげな顔をして、容赦無しにベビを鷲掴みにした。

「君のママはサイコーだね♪じゃ・・・お言葉に甘えて」

蹴られた痛みと逃げてきたベビ共をあやす事に気を取られていたしぃは
ようやく我が子がどんな目に合わされようとしているか気付いたようだ。
痛む腹を押さえながら、半身をおこしてまたノイズを発生させた。

「ソンナ!バビチャンニハ テヲ ダサナイデ!マダ チイサナコ ナノニ!!」

しぃは、お願いしたら助けてくれる、などと思っているのか助けを求めてきた。
握られているベビも、癇に障る声で助けを要求してくる。

「ママ!!タチュケテ クダザイヨォ!!チニタクナイヨォ!!モォ ヤーヨゥ!!!」

976 名前: ある草原で 3/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:09 [ Wn2S35ck ]
「残念だけどママは助けてくれないよ。
ほら、お前を助けようともせずあのガキ共だけを守ってやがる。
お前なんか虐殺されようがどうでもいいのさ。クックックッ・・・。」

彼にこれでもかというぐらい嫌悪感を見せていたベビの顔は
急に青ざめ恐怖の色でにじみ、生気を失っていた。
嫌悪の代わりに出てきたものは、高まる不安と死への恐怖だった。

「ソンナコトナイヨネ、タスケテクレルヨネ?キライジャナイヨネ?ネェ?・・・・・・・・・ママ?」

しぃは何かを言おうとしたが、その声はベビの叫び声によってかき消された。
もう既にベビを虐殺し始めていたのだ。

「ギィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィーーーーーーー゙!!イ゙ダイ゙!!イ゙ダイ゙!!!イ゙ダイ゙!!!!!イ゙ダイ゙!!!!!!
イダイ゙イ゙イ゙イ゙ィ゙ィィ!!!!!ッゲィイ゙ギ゙ヴグエグイ゙ア゙゙エヴビュヴア゙ァ゙ァ゙ーーーー!!!!!!」


見るに耐えない姿になってベビはしぃの前に現れた。
耳をもぎ取られ尻尾をちぎられ、それを口におしこまれ縫い付けられていた。
そしてちぎられた腕は、自らの目に力任せにねじこまれ
潰れてぐちゃぐちゃになった眼球がはみ出していた。
意外にもくっついている足は、切り開かれた腹に無理矢理曲げ入れられ
折りたたまれ肉を串刺しにして留められていた。
幸いか、それとも不幸か。まだかろうじて生きているようだった。

977 名前: ある草原で 4/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:10 [ Wn2S35ck ]
「イヤアアアアァァァァァーーーーーー!!イヤッ!イヤッ!ベビチャン!ナンデナンデナンデ!!
 ホラッ!マタ カワイイコエデ オカァサンッテ ハナシカケテヨォ!・・・・・・・・・・・!!
 ヒドイ!ヒドイヨォ!!シィィィィィィ・・・・・・ナンデ・・・コンナメニ・・・ウッウッウッ・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

彼は自分に何かを言い聞かせるように、
それでいてこの状況を目に焼き付けているかのように無言でいた。
その隙にしぃは残るわが子を自分の後ろに隠した。
その瞬間、彼はまた元のように 背筋に悪寒が走るような残酷な顔を浮かべた。

しぃは逃げても無駄だということを悟ったのだろう。

「ナ、ナンデモスルカラ!!!コノコタチ ダケハ!!!コノコタチダケハ タスケテ!!」

と、残された希望にすがり、一蹴されるのが目に見えている願いをしている。

・・・見間違いだろうか、彼の顔が一瞬苦しんでいるように見えた。
が、またあの戦慄の走る顔に戻っていた。

「ふーん。この子達だけ?じゃ、こいつはどうでもいいんだ。まだ生きているのにねぇ。
ママに助けてって、必死にお願いしたのに。見捨てちゃっていいんだ・・・・。
手をださないでなんていって。本当はすっきりしてんだろう・・・・?
その2人だって本当は死んでほしいんだろ?」

978 名前: ある草原で 5/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:11 [ Wn2S35ck ]
「ダ、ダレガソンナ…!」

必死に否定するが、もう聞いてはいないだろう。
彼は再びしぃの腹を勢いよく蹴り上げ、今度は宙に持ち上がった体を
固く握り締めた拳で何度も何度も殴打した。
見る見るうちに顔は腫れ、変形していくのがわかる。
腫れた頬は既に鼻と口を覆い隠すほどになり
トレードマークである米印は血でどこにあるか判らないほどになっていた。
残った片方の耳も根元から完全につぶれ、中身の肉が垂れていた。
あちこちから噴き出た血は鮮やかな色で宙を舞って
地に落ちて辺りをどす黒く染め、またベビ共に降りかかって絶叫を生んだ。
最後にしぃは地面に思い切り叩きつけられ、ようやく倒れることを許された。
しぃは痛みに身をよじらせ、転げまわり、必死で痛みを忘れようとした。
しかし、片足で踏みつけられ、痛みを忘れることすら許されなかった。

「ヴグ・・ゼェ・・エ゙ア゙ア゙グイ゙ア゙・・ア゙ア゙ア゙ア゙・・・・」

痛みを必死でこらえるその姿に満足すると
顔をにやつかせながら、おびえているベビ共に話しかけた。

「君たちもあの子みたいにママに見捨てられちゃうよ?ほら・・・こんな風に!!」

979 名前: ある草原で 6/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:13 [ Wn2S35ck ]
そういって震えているベビのうち一匹をしぃの口にねじ込み、一匹を鷲掴みにした。
小さな口に無理やりねじりこまれたベビは歯で肉を切り裂かれ、
痛みに身をよじらせているがますます傷を深くするだけだった。

「ハナシテヨォ!!マーマーー!!」
「イターイ!ヤーヨウ!イヤーヨウ!!」
「ベビファン・・・・ヒョッホ・・・ファヒフフホ!」

舌が回ってないしぃとベビ共が、やかましい雑音を立てる。

「だまれよ。じゃないとこいつがどうなっても知らんぞ?」

そういって、ベビを握る手に急に力を加え始めた。

「グルヂィィィ!!ヤベベェェ…!ヴエ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙!」

みるみるうちに顔は真っ青になり、体が酸素を求めているのか
何度も何度も口を宙でパクパクさせている。
が、ちょうど首の位置を締め付けられ、息が出来ないのだ。
想像を絶する痛みと息苦しさに直面しているにもかかわらず
ベビは金魚のように口を動かしてあがく事しか出来ない。

980 名前: ある草原で 7/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:14 [ Wn2S35ck ]
―セメテ ヒトコキュウ

―イッカイデモ イイカライキヲ!―

「マ・ママ…アガガァ゙ァ゙・・・・ダヂュ゙ゲ デ グダヂャ゙・・・・・!!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ーーーー!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

静まり返ったのを確認すると力を緩め、話を切り出した。

「いいか?いまからそいつを噛み殺せ。そうしたらこいつと一緒に帰してやるよ・・・。
ただし、やらんのならこいつを今すぐにでもぶっ殺して
お前もそいつもベビの後を追わせてやる!!」

「ヒョッッッ・・・!ヒョンナホヒョヒェヒヒャイヒョウ・・・・!」

981 名前: ある草原で 8/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:15 [ Wn2S35ck ]
単なる脅しとしてみているのか、起こるはずのない奇跡にすがっているのか
執拗に要求を断り続ける。
さらに、よほど生に執着心があるのか驚いた事にベビも抵抗し出した。

「ママ・・・・タスケテ・・・・タスケテ・・ク・ダチャ・・イ・・・・・チィ・・・・チニタクナイ・・・ヨォ・・・!!」

「ふーん・・・・。やらんのか?ほらほら・・・!!!」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙!!モ゙ヴヤベベェ!!エャベブエ゙ウボエ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ゙ェ!!」

助けを求める叫びはいつの間にか苦しみの叫びに変わっていた。
皮の上からでもわかるぐらいに、骨は弓の様に歪み今にもはじけて
体を八つ裂きにするぐらいに、悲鳴をあげていた。そして、2,3度震えたかと思うと
ベビは血の泡を吹き、うなだれて完全に白目をむいた。

「ヒャヘヘーーー!!!!ファハッッハ!!!ヒャルカラ!!!!」

ようやく、事の重大さに気付いたのか。
それを聞くと、満足そうに手をたたき狂ったように叫んだ。

「アッヒャヒャヒャヒャ!!さあ!早くやれよ!!
やるんだろう?!!このベビを助けるためにさ!!!」

982 名前: ある草原で 9/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:16 [ Wn2S35ck ]
口の中のベビは状況がよく理解できていないようだった。
ただ、怯えた目ですがるようにこっちを見ている。
彼はそのベビに向かって、妙にねっとりとした口調で話しかけた。

「おちびちゃーん。この子をねぇ、助けるために君、喰い殺されるんだよぉ?
痛いだろうねぇ。それに、とっても、とっっても悲しいだろうねぇ・・・
・・・えっ・・・何でかって?・・・・・
・・・・・だって君を喰い殺すのは・・・・君のママなんだからねえ!!」

「エッッ・・・・・?」

「ベビファン・・・・・・フョメン・・・!!!!」「おっと・・・・。」
「ジジジグヴヷア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙アーーーーーーーーー!!!!!!」

狂った叫び声。
壊れたスピーカーのように、そして地獄でもだえ苦しむような絶叫が辺りに轟き
大地や草、空気までもが震えているのがはっきりとわかる。
心臓までもがそれに答えるかのようにドクン、と大きく波打った。


一瞬の静寂。


「おう・・・・怖い怖い・・・・・
・・・本当にやっちまうなんて・・・・・・・・我が子を喰い殺すなんて・・・・
・・・・愛するものを喰っちまうなんて、どんな動物だってしないことなのに・・・・
・・・・・・・おぅ、怖い怖い。」

983 名前: ある草原で 10/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:17 [ Wn2S35ck ]
しぃはベビを      喰い殺した。










喰い殺した。   喰らった。









そのはずだった。

984 名前: ある草原で 11/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:18 [ Wn2S35ck ]
喰ったはずのベビは、彼のもう片方の手に握られていた。
しぃが信じられないといった顔でこちらを見、口の中を何度もまさぐった。
しぃの動きをとめている足をどかせると、ベビをつかもうと飛び掛ってきた。
が、血の泡をふいたベビを握っている拳で、腫れと傷と元から醜い顔面を
殴り飛ばした。しぃはそのまま2回転して再び地面に叩きつけられた。
その衝撃で両足があさっての方向に吹き飛んだようだ。

のた打ち回るしぃを無視して、彼はベビを地面に降ろすとそのまま話しかけた。

「ほーら・・・・。君のママは君を殺そうとしたんだよ?」

「・・・・・・・・・・・」

「この・・・・・・・・・とっくに死んじまった奴の為になぁ!!
あいつが恐ろしいだろう?!憎いだろう?!殺したいだろう?!!なぁ?!!!!」

985 名前: ある草原で 12/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:18 [ Wn2S35ck ]
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ベビは無言でじっと座り込んでいる。目は宙を泳ぎ、力なくうなだれている。
死んでいるかのように。
ただ身体から流れ続ける血が、ベビが生きていることを証明していた。




「・・・・僕はもう行かないといけない・・・・・。
君を殺そうとしたママ・・・・・・・ママとは思えない畜生・・・・・・・・。
君の好きにするが良いよ・・・
・・・ほら、これを使うといい。」


そういってナイフを血まみれのベビに手渡した。

986 名前: ある草原で 13/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:19 [ Wn2S35ck ]









ベビはまだ無表情のまま、無言でたたずんでいる。









ただ、見開かれた目は「ママのはずだった」しぃに向けられていた。

987 名前: ある草原で 14/14 投稿日: 2004/08/09(月) 23:21 [ Wn2S35ck ]
4匹のしぃの運命を変えた今日

はじめの1匹はあの責め苦を味わうため

つぎの1匹はあの無意味なおろかさにもう一度身を震わせるため

最後の1匹は僕の地獄を再び渡り歩くため

残りの1匹はもっと上手にこのゲームが演じられるようになるため




彼女達の



冥福を



祈りながら