74 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/02/02(日) 22:06 [ aRWQ9pwM ] 今日もモナーは生き生きと図鑑を開く。 アリクイのページが出た。次の日は蛇だった。 おにーには生きた黒蟻を食べさせられ、皮をはいだカエルも食べさせられた。 もう、死んだ方がマシだと思ったおにーには、 モナーが昼寝をしているスキに、この狂った家から抜け出した。 ドアに鍵がかかってなかったので、簡単だった。 「生きていても苦しいだけデチ。天国で皆と一緒にワチョーイでマターリするデチ」 おにーには、高いビルを見つけると、とにかく屋上を目指して上った。 そこは六階建てのマンションだった。 おにーには、屋上の柵を越えて地上を見下ろした。 豆粒のように小さく人影が見える。 おにーには地上に向かって叫んだ。 寂しくて、誰かにかまってほしかったのかもしれない。 「今すぐ、ここから飛び降りるワチョ!! 止めても無駄デチからね!!」 地上にいたAA達は一斉に顔を上げ、そして叫び返した。 モララーが叫んだ。 「止めろぉ、早まるなぁ!!」 周りのAAも異口同音に、おにーにを説得した。 そして屋上にモララーが現れた。 「馬鹿なことは止めるんだ。ほら、こっちにおいで」 「これから死ぬんデチ!!」 おにーにはモララーから顔を背けた。 その時、地上のスピーカーから声が聞こえた。 間違いない、おにーにを拾ったちびしぃの声だった。 「あの、学校であなたを飼えることになったの。だから……」 おにーにの頭に希望という二文字が浮かんだ。 だが、次の瞬間、モララーにつかまって柵の内側に引き寄せられた。 75 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/02/02(日) 22:07 [ aRWQ9pwM ] 「つかまえたからな」 おにーにはニコリと笑った。 「もう大丈夫デチよ。あのちびしぃちゃんの学校で楽しく暮らす予定ワチョ」 モララーは言った。 「ハァ? 何言ってるの? 死ぬんだろ? 俺はお前が飛び降りると、道路が汚れるから飛び降りるときは、 ゴミ袋に入って死になさいって説得しに来たんだよ」 まだ話が飲み込めずに、ポカーンとしているおにーにをモララーは無造作につかんだ。 モララーはおにーにをゴミ袋に入れると、それを柵から身を乗り出して落とした。 ビジャ 「やっぱ、ゴミ袋じゃ弱いね」 「でもお前の説得のおかげで、あんまりゴミは散らばらなかったぞ」 それぞれ、自分の生活に戻って行く者達。 彼らがいなくなっても、破れたゴミ袋と、 そのそばですすり泣くちびしぃの姿は消えなかった。 夕日の射し込む庭付き一軒家。 この家の主、モナーは長い昼寝から目覚めると、かわいいペットがいないことに気づいた。 「た、大変だモナ。ちびしぃちゃんから貰ったおにーになのに……。 ……まぁ、イイか。おにーになんて代わりはいっぱいいるモナ」 モナーは、次の日新たなおにーにを連れてきた。 「それにしても、お腹ペコペコデチ」 モナーは素早く図鑑をめくった。 おにーには首を傾げた。何故、食事に図鑑が必要なのか、と。 もとっも、その謎はすぐに解けることになるが。 完