おにーにの悲劇 3

Last-modified: 2015-06-07 (日) 10:20:35
74 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/02/02(日) 22:06 [ aRWQ9pwM ]
今日もモナーは生き生きと図鑑を開く。
アリクイのページが出た。次の日は蛇だった。
おにーには生きた黒蟻を食べさせられ、皮をはいだカエルも食べさせられた。
もう、死んだ方がマシだと思ったおにーには、
モナーが昼寝をしているスキに、この狂った家から抜け出した。
ドアに鍵がかかってなかったので、簡単だった。
「生きていても苦しいだけデチ。天国で皆と一緒にワチョーイでマターリするデチ」
おにーには、高いビルを見つけると、とにかく屋上を目指して上った。
そこは六階建てのマンションだった。
おにーには、屋上の柵を越えて地上を見下ろした。
豆粒のように小さく人影が見える。
おにーには地上に向かって叫んだ。
寂しくて、誰かにかまってほしかったのかもしれない。
「今すぐ、ここから飛び降りるワチョ!! 止めても無駄デチからね!!」
地上にいたAA達は一斉に顔を上げ、そして叫び返した。
モララーが叫んだ。
「止めろぉ、早まるなぁ!!」
周りのAAも異口同音に、おにーにを説得した。
そして屋上にモララーが現れた。
「馬鹿なことは止めるんだ。ほら、こっちにおいで」
「これから死ぬんデチ!!」
おにーにはモララーから顔を背けた。
その時、地上のスピーカーから声が聞こえた。
間違いない、おにーにを拾ったちびしぃの声だった。
「あの、学校であなたを飼えることになったの。だから……」
おにーにの頭に希望という二文字が浮かんだ。
だが、次の瞬間、モララーにつかまって柵の内側に引き寄せられた。

75 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/02/02(日) 22:07 [ aRWQ9pwM ]
「つかまえたからな」
おにーにはニコリと笑った。
「もう大丈夫デチよ。あのちびしぃちゃんの学校で楽しく暮らす予定ワチョ」
モララーは言った。
「ハァ? 何言ってるの? 死ぬんだろ?
 俺はお前が飛び降りると、道路が汚れるから飛び降りるときは、
 ゴミ袋に入って死になさいって説得しに来たんだよ」
まだ話が飲み込めずに、ポカーンとしているおにーにをモララーは無造作につかんだ。
モララーはおにーにをゴミ袋に入れると、それを柵から身を乗り出して落とした。

ビジャ

「やっぱ、ゴミ袋じゃ弱いね」
「でもお前の説得のおかげで、あんまりゴミは散らばらなかったぞ」
それぞれ、自分の生活に戻って行く者達。
彼らがいなくなっても、破れたゴミ袋と、
そのそばですすり泣くちびしぃの姿は消えなかった。

夕日の射し込む庭付き一軒家。
この家の主、モナーは長い昼寝から目覚めると、かわいいペットがいないことに気づいた。
「た、大変だモナ。ちびしぃちゃんから貰ったおにーになのに……。
 ……まぁ、イイか。おにーになんて代わりはいっぱいいるモナ」
モナーは、次の日新たなおにーにを連れてきた。
「それにしても、お腹ペコペコデチ」
モナーは素早く図鑑をめくった。
おにーには首を傾げた。何故、食事に図鑑が必要なのか、と。
もとっも、その謎はすぐに解けることになるが。

 完