611 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:21:40 [ UiyDh7EA ] ごっつアブいかんじ 「くらえや!」 ニダーの渾身のソバットがモナーの後頭部にクリーンヒットし、顔から地面に落ちた。 「・・っ・・ぐっ!!」 ここはアブ板町2丁目にあるオニーニ橋の真下にある川原。 上を通っていく人達からは死角になっており、また、アブ板町のほぼ中央に位置し、 アブ板町にあるどの学校からもバイクで三十分以内で事から不良学生達の絶好の 喧嘩スポットになっていた。 そして今日も二人の男が赤く燃える夕焼けをバックに殴り合っていた。 アブ板工業高校3年のモナーと先月大阪から転校してきた1年のニダーである。 アブ板工業高校に転校してきたニダーはその初日からこの学校を占める事を宣言し、 校内の腕っぷし自慢達を次々に倒してきた。そして今日ついに番を張っていたモナーと タイマンをする事になったのである。 「先輩、もう降参したほうがええんちゃいますか?」 優勢に立っているニダーが肩で息をしながらもその余裕から降伏を勧める。 「・・うう・・・・しかし・・まだ・・」 だがモナーは楽になろうとしない。ゆっくりと立ち上がりファイティングポーズをとる。 アブ板高の番長としてのプライドとこれまでニダーに倒されてきた友人達の無念が 彼の後押しをしていたのだ。 「俺は、負けられない。負けたくないんだ」 612 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:22:23 [ UiyDh7EA ] 既に二人の体力差は明らかである。この差は根性とかで簡単に埋められる物ではない。 モナーが降参せずに立ち上がって自分に向かってくるのは馬鹿だからでありこの後自身 に降りかかるさらなるダメージ―骨折、脱臼、そして脳への障害といったものがどれ程 苦しいものか分かってないからだとニダーは思っていた。 モナーが突然後ろに下がり一回深呼吸した後謎の歌を歌いだすまでは。 『モナー対田中はバトルの元祖 ボケもシリアスも器用にこなし 初代から始まり丸耳を経て 君臨するは三代目』 時間にして15秒程、テレビCM一回分の長さの歌が終わると空気は急変していった。 モナーの頭から出血は既に引いており、顔の内出血も消えている。そして上半身の 筋肉は学ランを吹き飛ばしそうな勢いで膨張している。 「あ、あんた何をしたんやっ!」 モナーの突然のパワーアップにうろたえるニダー。 「これこそ我がモナー族に伝わるモナー族の歴史を称える歌。この歌を窮地で歌う 事で番長魂に火を付けてパゥワーアップしたのだ!!」 「そんなアホな!」 ニダーはがっくりと膝をついた。こうしてアブ板工業高校の番長対転校生の戦いは ニダーの心が折れる事で終わろうとしていた。しかしモナーはこれで終わる事を 良しとしなかった。 「ニダー、これを使え」 モナーの学ランのポケットの中からマイクが取り出されニダーにほうり投げられる。 それをおそるおそる手にするニダー。何をやるべきかはもう分かっている。 ニダーは覚悟を決め、すっくと立ち上がりモナーがやったのと同じ様にニダー族 の歴史を称える歌を歌いだした。 613 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:22:56 [ UiyDh7EA ] 『生まれは2ちゃんのハングル板 嫌われ者から名キャラに サッカーと野球で大活躍 だけど大阪人もおりまっせ』 歌い終わった途端にさっきまでの喧嘩でヘロヘロになっていたニダーの体に活気が 戻ってきた。そしてモナーと同様にマッスルになっていく。 「うおおおおおー!すげー!一族の歌の力すげー!番長パゥワーすげー!」 「ニダーこれで仕切りなおせるな」 「おうよ、今度こそやったるでー!」 二人は再び喧嘩を始めようとしたその時、 「フッ、汗臭い野蛮人共がやけにうるさいはにゃーん」 橋の上の方から謎の声が聞こえてきた。 「誰だ!」 「誰や!」 首を上に向けて声の正体を確かめようとするモナーとニダー。 「フッ、今そちらへ向かうはにゃーん。とうっ!」 謎の声の主は橋の上から川原へと飛び降り、 「みぎゃっ」 足をひねって横に倒れた。 沈黙。 沈黙。 沈黙。 沈黙。 614 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:23:43 [ UiyDh7EA ] 沈黙に耐え切れなくなったニダーはモナーに聞いてみる事にした。 「なあモナー先輩、あいつ誰かしっとりますか?」 あいつとはもちろん二人の目の前でダウンしている男?の事である。 ちなみに外見はハクランを着ていて長髪の美形だが右足が裏向きになっているせいで 台無しになっている。 「しらん。同じ町にある私立しぃしぃ高校の3年生で生徒会長をやっていて名前は アフォしぃ。実は女で俺の自称ライバルでありストーカーでもあるなんて奴はしらん」 モナーはそれだけを実に嫌そうに答えた。 白けた空気。 白けた空気。 白けた空気。 やがて今度はモナーの方が口を開いた。 「帰る?」 「はい」 二人は上半身がマッチョになった事を母親にどう説明しようかとか新しい服を 買わないといけない事とかを考えながらそれぞれの家に向かった。 二人が帰ってしまってから2時間がすぎてようやくアフォしぃは目が覚めた。 既に夕日が沈んでふくろうがホーホー鳴き、冷たい風がアフォしぃを打ち付けている。 「右足が痛いはにゃーん」 骨折して180度回転しているから当然である。 「胸も痛いはにゃーん、ひょっとしてこれが恋?」 そんなわけはない。肋骨が4本折れて肺の片方にささっているからである。 「頭も痛いはにゃーん、九九が思い出せないはにゃーん」 この場合痛いではなく悪いが正しい。 615 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:24:33 [ UiyDh7EA ] 「とりあえずこの怪我を治すはにゃーん。そうしたらモナー君を追いかけよう」 ハクランの下へ手を入れて血まみれのマイクを取り出す。そして後ろを向いている 右足を両手でつかみ一気に引きちぎる。 「立ち上がるのに邪魔だからこんなのいらないはにゃーん!」 さらにアフォしぃは左足も引きちぎった。 「バランスが悪いからこっちもすてるはにゃーん!どうせ歌い終わったら生えてくる から無問題(モウマンタイ)!」 アフォしぃは太ももの切断面で両足に立ち右手にマイクを持ちポーズをとった。 「かわいいアフォしぃ族を称える歌スタート!」 『ララララララララ ラララララ ララララララララ 星きれい』 ビキィ! 歌い終わった途端5本目の肋骨が折れてアフォしぃのまだ正常だった方の肺に刺さった。 「はにゃーん!!歌ったのに治るどころか悪くなってる!!」 予想外の事態にあせるアフォしぃ。嘘や関係ない事を歌うと番長パゥワーは逆方向に 働くのである。 「こうなったらもう一度歌うはにゃーん!」 アフォしぃは太ももの切断面で両足に立ち右手にマイクを持ちポーズをとった。 「かわいいアフォしぃ族を称える歌スタート!」 『ラララララララ ラララララ ララララララララ 大阪人おりまっせ』 616 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:25:01 [ UiyDh7EA ] ガァァァァン!! 歌い終わったら空から巨大な金ダライが降ってきてアフォしぃの頭に直撃して 両耳を潰した。 「はにゃーん!!歌ったのに治るどころか悪くなってる!!」 予想外の事態にあせるアフォしぃ。嘘や関係ない事を歌うと番長パゥワーは逆方向に 働くのである。 「はにゃーん!!歌ったのに治るどころか悪くなってる!!」 予想外の事態にあせるアフォしぃ。嘘や関係ない事を歌うと番長パゥワーは逆方向に 働くのである。 「こうなったらもう一度歌うはにゃーん!」 アフォしぃは太ももの切断面で両足に立ち右手にマイクを持ちポーズをとった。 「かわいいアフォしぃ族を称える歌スタート!」アフォしぃは太ももの切断面で両足に立ち右手にマイクを持ちポーズをとった。 「かわいいアフォしぃ族を称える歌スタート!」 『シュワルツネッガーはアフォしぃ族 ちゅどん。 「はにゃーーーーーん!!!」 明らかな嘘だったので今回は歌の途中で爆弾が降ってきて頭の上で爆発した。 「はにゃーん!歌うたびに悪くなってるはにゃーん。ピンチ!」 現在両足喪失・両肺負傷・両耳喪失・肋骨5本骨折。そして頭に大やけど。 たぶん次がラストチャンスである。 「こうなったらもう一度歌うはにゃーん!」 それでもアフォしぃは他の選択肢は思いつかなかった。 「かわいいアフォしぃ族を称える歌スタート!」 617 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:25:28 [ UiyDh7EA ] 沈黙。 沈黙。 沈黙。 沈黙。 「・・・・・いいオチが思いつかなかったはにゃーん。ガク」 ちょっと心配になったニダーが戻って来た時アフォしぃは既に冷たくなっていた。 終わり