しぃのマーチ

Last-modified: 2015-06-07 (日) 10:24:09
34 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/01/28(火) 01:38 [ /IVzs9UY ]
大きな箱を抱えたモララーが、モナーの家へと遊びに行った。

「ようモナー! 遊びに来てやったからな!」
「急に来られても困るモナよ… まあ、いつもの事だけど」

いつもと同じ始まりの会話。
そして、他愛ない日常の話になっていく。

「おっと所で…」

モララーは持って来ていた大きな箱をモナーの前に置いた。

「おかしを買って来たからな! 一緒に食おうぜ」
「気が利くモナ。さっそく開けるモナ」

箱には「ロッチ しぃのマーチ」とプリントされている。
この文章をごらんの方は、コアラ関係の商品を思い浮かべていただければ分かりやすいでしょう。
それの物凄く大きい箱なのです…
「そーれっ!」と掛け声を上げ、モララーが外箱と中の銀紙を破った。
中から出てきたのは… 本物の、生きたしぃだった。
ロッチの工場で仮死状態で詰め込まれ出荷され、開封と同時に目を覚ますようになっているしぃだ。
モナーとモララーは一体ずつ取り出した。

35 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/01/28(火) 01:38 [ /IVzs9UY ]
「ハニャー ヤット デラレタヨ」
「ダッコ! ア、ソノマエニ オナカガスイタネ ゴハン!」
「ソウダネ! ゴチソウジャナイト タベテアゲナインダカラ!」

覚醒したしぃ二匹は、自分の欲望に正直に騒ぎ出した。

「こいつら自分の立場がわかってないな」
「すぐに嫌と言うほど思い知るモナ」

「ナニヲ グズグズシテルノ! ハヤク! ゴハンモッテキナサイ!」
「ソーダヨ! ハヤクシナイト シィチャンタチ コンナボロヤ デテッテヤルカラネ!」
にこやかにしぃの戯言を聞いていた二人だったが、突然モナーが切れた。

「おい、ボロヤってなんだコラ…」
「ボロヤハ ボロヤダヨ! コンナトコロイタクナインダケド ショウガナイカラ カワセテアゲルワヨ」
「ソウソウ ダカラハヤク コウキュウナゴハンヲ… グフォッ!」
そのしぃがそれ以上喋る事は無かった…

「そのボロヤの家賃を払うために、毎月辛い想いして働いてるんだボケェ!
人様に恵んでもらうしか脳の無い害獣風情がぐちゃぐちゃ言うな糞ガア!!」
モナーの鉄拳が、しぃの頭だった部分に振り下ろされていた。
しぃの頭は完全に吹き飛んでいた。

「シ、シ、シィィィィィ! ナニヲスルノヨ コノ ギャクサツチュウ!!!」
「おいおい、いきなりやっちゃうなよ。せっかちだな」
「なあに、まだまだ一杯あるから大丈夫モナよ」
「シィチャンタチヲ オコラセルト コワインダカラネ! ハヤク アヤマリナサイヨ!!」

恐慌をきたし騒ぎまくるもう一体のしぃを無視し、モナーとモララーは湧き上がる爽快感に身を任せて和やかに会話をしていた。
しかし、すぐに騒音の元が気になってしまう。

「おい」
「シィィィ!!??」
モララーがしぃの腕をつかんで引き寄せる
その拍子に腕が抜けてしまった。
「シィィノ オテテェエエエー!!」
「うっせえボケ!」
しぃの口元に蹴りを入れる。
口の中がぐちゃぐちゃになり、唸り声しか出なくなる。
「お前らはロッチの工場の人になんて言われたかしらねーけどな
俺たちゃお前らを飼う為に買ったんじゃねーンダよ…
   …楽しむために買ったのさ!」
モララーはそう言うとしぃの頭を踏み潰した。

「モララーだってあっという間で勿体無いモナよ」
「まあそう言うな。まだまだ在庫はたっぷりあるよ…
 なあ、箱の中で震えてる皆さん?」

36 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/01/28(火) 01:39 [ /IVzs9UY ]
…
「シィィィ! ヤベテエエェェェ!!!」
「ダコー ダッコスルカラーアアァァ」
「ギィィィイッィイィ!!!」

二人がしばらく楽しんでいると、珍しいものを発見した
「おいモナー! 見てみろよ!!」
「おお、ラッキー! まゆげしぃが入ってたモナ!」

まゆげしぃとは、この商品にごくたまに入っている珍しい、まゆげがあるしぃの事である。
「こいつは珍しいなあ」
「貴重な一品モナね!」

会話を聞いていたまゆげしぃは、助かる為の一縷の光を見たような気がした。
「ソ、ソウナノヨ! ワタシハマユゲシィ トッテモメズラシイヨ! ダイジニシナイトダメ ナンダヨ!!」
「そうだな、大事にしないとな(ニヤニヤ」
「よーし、じゃあ二人で抱っこするモナ。モララーはそっち持って(ニヤニヤ」
「ソウソウ、 ミンナダッコデ マターリ ハニャニャ… ニャーー!???」
二人はまゆげしぃの四肢をつかんで綱引きのように引っ張り合った

「イタイイタイ ヤメテー チギレチャウーーーーー」
その台詞と同時にまゆげしぃの体から四肢が同時に抜けた
「あーあ、失敗モナ」
「まゆげしぃを両側から引っ張って胴体から真っ二つにちぎれたら大吉って…
 誰が言い出したんだろうな?」
「多分、ロッチのジサクジエンモナよ」
「そうだな。大体普通のしぃにマジックでまゆげ書いただけじゃねーか。馬鹿らしい…」
うめくまゆげしぃを踏みにじりながら二人は(また上手くちぎれなかったなあ…)と落ち込んでいた。

37 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/01/28(火) 01:40 [ /IVzs9UY ]
しばらく楽しむと、箱の中のしぃは全滅してしまった。
「すっきりしたモナー。じゃ、箱はこっちで捨てておくモナ」
箱を折りたたもうとしたモナー。
それをモララーは慌てて止めた。
「ま、ま、待てよ、待てって! もういらないんだったら最後のクズを一気させてくれよ!」
「ああ、そういやモララーはそれが楽しみだったね。モナは充分楽しんだからいいモナよ」
「ひゃっほーう!」
モナーの返事をもらうが早いか、モララーはすでにしぃのいなくなり、軽くなった箱を持ち上げた。
おもむろにひっくり返すと中から十数体のベビギコが流れ出てきた。
「ミューミュー」「チィチィ」「ナッコー」

「よっしゃーーーー!!!」
モララーは高くジャンプし、山となったベビギコめがけダイブをかける
「ギュギギュゥゥウー」「ヂィヂィ!」「ナ”ゴーーーー!!」
モララーに飛び乗られたベビたちはなす術も無く潰れていく。
その断末魔にさらに気分を良くしたモララーは、バタフライだかクロールだか平泳ぎだか分からないが
手足をばたつかせ、ベビたちをさらに踏みにじっていく。
「ギュウ… ウ…」「ミュ…」

「あはははははは!」モララーは楽しそうに笑っている。
「チィチィ!」
あまりに爽快感に浸りすぎ、奇跡的に無傷だったベビギコが山から逃げた事に気がついていない。
「ミュ? チィーチィー!」
脱出したベビはもなーを見つけ、擦り寄っていく。
おそらく助けてくれると思っているのだろうが…
「モララー、そろそろ片付けるモナよーっと!」
走ってきたベビにタイミングを合わせ、蹴りの一撃で最後のベビを始末した。


「モララーの土産はいつも楽しいけど、後片付けがしんどいモナね…」
「まあそう言うな、すっきりしただろ?」
「まあね!」

二人はさわやかな笑顔をかわし、散らかしたお菓子をいっしょに片付けた。
最近の休日はいつも二人でお菓子を食べ、語らって過ごしている…