285 名前: ちびとベビ 投稿日: 2003/02/16(日) 12:24 [ Jn/YsXBU ] 俺はちびギコを二匹飼っている。 正確にはちびギコとベビギコだ。 ベビの方はベビフサなんだが、ちびギコに世話をさせている。 ベビはもろくて、俺たちが扱うとすぐに死んでしまうから、ちびギコにさせるのが丁度いいんだ。 今、このちびギコがベビギコだった頃のアルバムを一緒に見ている。 「キャッ! これが僕デチか! やっぱり僕はベビタンの頃からかわいいデチね!」 「ははは、自分で言っちゃ駄目だよ」 「ミューミュー!」 「ほら、ベビも『言い過ぎ』だってさw」 「でも、本当にかわいいデチよ!!」 この光景はかなり珍しいだろう… 普通、ちびやベビは虐殺の対象だ… それを飼っているのだから… 「所でオジチャン…」 「ん?」 考え事をしていた俺を、ちびギコの声が引き戻した。 「僕のベビタンの頃の写真に写ってるこのちびギコは誰デチか?」 ベビの頃の彼の傍に、常に一緒に写っているちびギコがいる… 「ああ、彼は君がベビの頃に世話をしてくれていたちびギコだよ」 「育ての親デチね! で、今はどこにいるんデチか?」 この質問の後、少し間を置いて答えた… 「残念だけど、死んでしまったんだ…」 落ち込んだ、暗い雰囲気になってしまったしばらく後、一番最初に口を開いたのはちびギコだった 「僕… このオニイチャンにお礼言いたかったデチ。お世話してくれてありがとうって」 「じゃあ、その気持ちをベビフサのお世話でお返しすればいいんだよ。ほら、寝てしまってるよ…」 「ミュー…」 「あ、本当デチね。じゃあ揺りかごに寝かせてくるデチ!」 「頼んだよ」 ベビフサを運ぶちびギコの後ろ姿を眺めながら、また考え事に戻っていった… 286 名前: ちびとベビ 投稿日: 2003/02/16(日) 12:25 [ Jn/YsXBU ] 「オジチャーン! オジチャーン!」 それから数週間後の事。 ちびギコがしきりに俺を大声で呼ぶ。 「どうした! 何かあったのか!!」 ただ事では無いと思い駆けつけると… 「イッテヨチ!」 ベビフサが言葉を発していた。 「ほらほら、ベビタンが喋ったデチよ! 感激デチ!」 「イテーヨチ!」 そうか、もうそんな時期だったか… ベビフサは、ベビと言う感じではなくなってきていた。 四肢も首もしっかりしてきて、俺が抱いてもちぎれない位にはなった。 そして言葉も喋りだした。 ただ、意味は分かって無いだろう。 周りの音を真似している、オウム状態だ。 「ほほう。いよいよ言葉を覚えていく段階だね。でも、最初の言葉が『逝って良し!』ってのは教育に良く無いんじゃないかな? あんまりベビの傍で汚い言葉使っちゃ駄目だよ?」 「ア… 違うんデチ。僕は使って無いデチよ。多分、テレビの音デチ……」 明らかに目が泳いでいて、嘘だとバレバレだ… 「そうかい。気をつけてくれよ」 しかし、俺は深く追求する事は無かった… 287 名前: ちびとベビ 投稿日: 2003/02/16(日) 12:27 [ Jn/YsXBU ] 「じゃあ、ちょっと行って来るから、留守番しっかり頼むね」 「このチビ様にどーんと任せるデチ! 行ってらっしゃいデチ!」 「イテラチャ」 それから数日後、二日ほどの出張だと言って、俺はチビたちに留守を任せて家を出た。 …そしてすぐに、チビたちの知らない入口から家に戻り、チビたちの部屋の隣の部屋に入った。 当然、チビたちはこの部屋の存在を知らない。 「ふぅやれやれ、煩いのがいなくなって羽が伸ばせるデチ」 「アチョンデ」 「うるさいデチ! せっかくの休日なんだから手間かけさせるんで無いデチ!」 ポカ! 「ビエー!!」 「ええい、それ以上無くともっと強く叩くデチよ!!!」 部屋に仕掛けた盗聴器が、隣の部屋の音を克明に伝えてくれる。 ちびギコの裏表のある性格はわかりきっているし、もうずっと盗聴器でこういう現場は確認している。 ベビがどんどん汚い言葉を覚えていっているのも実は知っているんだ。 虐待が俺にはばれていないと、本気で思っているようだが、もし盗聴器が無くてもベビのあざや、何故か抜けている毛を見れば一目瞭然だ。 出張と嘘をついた二日… じっくり観察させてもらおう… 288 名前: ちびとベビ 投稿日: 2003/02/16(日) 12:28 [ Jn/YsXBU ] ちびギコの行為は凄まじいものだった。 俺が遠くにいて二日は帰ってこないと思い込んでいるので、いつにもまして暴れている。 「ベビのくせに美味しそうなご飯を用意してもらってますね… これはチビ様が頂くデチ!」 「ゴハン…」 「貴様はこの僕様の食べ残しで充分デチ! 食べ終わるまで待つデチ!」 「ゴハン…」 ゲシィ! 「待てと言うのがわからんのデチか!? カスが!」 「キャッキャッ! アーッ!」 がちゃん! 「テレビが壊れちゃたーデチ。まあいいデチ。ベビのせいにすれば良いデチ。 ベビは赤ちゃんだから仕方無いデチよね!」 「暇だから毛づくろいしてあげるデチよー」 「ミュー♪」 「えい!」 ぶちっ! 「ミギューーー!! イタイデチ…」 「毛が無くなれば毛づくろいもいらないデチよ? チビ様頭いいー! でも、やりすぎるとばれるからこれくらいにしておくデチ」 さらには、二日分の食料を半日で全部たいらげてしまったようだった… あと一日半、どうするつもりなんだろうか、楽しみだ… 289 名前: ちびとベビ 投稿日: 2003/02/16(日) 12:29 [ Jn/YsXBU ] 「おなかすいたデチ…」 「ミュー…」 次の日の晩、予想通りちびギコたちは空腹で死にそうになっている。 「お前が食べ過ぎるからいけないんデチ」 「ミュ? ミュー!? …」 「全く、用意した以外に食い物が無いなんて、あの糞ジジイ最悪デチ! 冷蔵庫に鍵なんかかけやがって、全くふざけてるデチ! チビ様を信用しないで、誰を信用するんデチか…! 逝って良しデチ!!」 居ないと思ったら、好き勝手な事をいいやがる。 どれ、そろそろ帰ってやるかな… 「ただいま」 「ウワァアアー!!!???」 「ミューーー!!?」 俺は隠し部屋の隠し扉を開き、いきなりチビたちの前に現れた。 「オ、オ、オジチャン! どうしてそんな所から?」 「ああ、実はここ、秘密の出入り口なんだよ。今まで知らなかっただろう?」 「ミューミュー」 秘密の部屋を公開してやる。 「そ、そんな事よりオジチャン、僕たち、お腹ぺこぺこなんデチ! 何か食べ物が欲しいデチ…」 「おや? 帰ってくるのは明日の予定だったから、明日の朝の分まで用意していったはずなんだけど…」 「エーと… ベビタンが食べ盛りデチから! たくさん食べると気持ちよくて、つい食べ過ぎさせちゃったデチ! テヘ!」 この状況でも、まだバレていないと思えるのは、一種の才能だろうか。 290 名前: ちびとベビ 投稿日: 2003/02/16(日) 12:29 [ Jn/YsXBU ] 「そうかそうかよーし。お利口に留守番してくれた二人にはお土産があるよ。こっちの部屋においで」 「わーいデチ、ベビタン、行くデチよー」 「ワーイ、ミュー」 何故、こんな部屋があるのか? そんな疑問も一切もたずに二匹は入ってくる。 「じゃ、ちびのお土産はこれね」 俺はそう言うと、部屋の床にちびギコを仰向けに大の字で寝かせ、革手錠で四肢を縛り、身動きの取れない状態にした。 「キャッ! これはなんの遊びデチか? でも僕、今は遊ぶよりゴハンが欲しいデチ…」 「で、ベビフサへのお土産はこれだよ…」 ちびの言葉は無視し、ベビフサにあるものを手渡す… 切れ味の良い、出刃包丁だ。 「ミュー??」 「オジチャン! ベビタンに危ないものを持たせたら駄目デチよ!」 ちびが叫ぶが気にしない。 俺はベビに語りかける。 「ご飯な、無いんだよ」 「ミュー??」 「欲しかったら、自分の力で取るって言うのがこの世界の掟なんだよ」 「オキテ…?」 「そう、弱肉強食って言ってね、弱い奴はいじめられて、食べられるんだ…」 「イジメテ… タベル…」 「オジチャン… 何を教えてるデチか? 教育は僕に任すデチギャブウ!!!」 「うるさい、黙ってろ」 チビの口元に肘を入れ、黙らせる。 「あのちびギコ、お前のこといじめてたろ? 殴ったり、食べ物を取ったりさ…」 「ミュウ」 「ご、誤解デヂ! 証拠はあづんデヂギャ!?」 口が切れて喋りにくそうなちびギコは、今度は鉄拳制裁を加えるまでも無く、自分で舌を噛んでしまったらしい。 「このままじゃ… 食べられてしまうよ。。」 「ミミュー イヤデチ!」 「嫌だよなあ、そうだよなあ… じゃ、食べられる前に食べちゃおうか! 盗られた餌を取り返そう…」 「…トリカエス」 ベビフサは一言、こう呟くと、渡した出刃包丁を持ってちびギコに近づいていった。 291 名前: ちびとベビ 投稿日: 2003/02/16(日) 12:31 [ Jn/YsXBU ] 「ガア! 来るなデヂ! 後で酷い目に! いだい目をみるデヂよ!」 ちびギコの声は、震えている ベビフサは構わずに近づいていく。 そして仰向けのちびの上に乗って、さらに顔の方まで進んでいく。 「ひぃ…!」 手足を縛られて無力なちびギコは、いまやこのベビフサにすら勝てない事を悟り、今度は一転して命乞いを始めた。 「や、やめて欲しいデチ。今まで一生懸命お世話した恩を忘れたんデチか? ちょっとスパルタだったけど、強い子になって欲しいって言う親心デチ! 親は食べちゃ駄目デチよ… うわあ。。 ギャ━━━━━━━━━━━!!!」 ベビフサは聞く耳を持たず ちびギコの胸から腹にかけて 包丁を入れた よく切れる包丁だが、さすがにベビの力では一気に切れず 何度も何度も傷口にそって包丁を這わす。 その度にちびギコが絶叫をあげる。 血が、あふれて 床を、ベビを、そしてちびギコ自身を 赤く 染め上げる 絶叫の音量が半分くらいになったとき たくさんの切れ目の一つが臓器に達する。 ベビは 頭を傷口の中にいれる また、絶叫 ただ、かなり弱々しくなっている 腸らしきものをくわえて、 ベビは戻ってきた。 ちびギコは、自分の目の前で 自分の腸を 自分より立場が弱いはずのベビに喰われているのを目の当たりにした… 292 名前: ちびとベビ 投稿日: 2003/02/16(日) 12:32 [ Jn/YsXBU ] 「こんな事って、無いデチ…」 涙目になり、つぶやくちびギコ… そんな彼に俺は言ってやった。 「何を言ってるんだい。君も通った道じゃないか。育ての親は、美味しかったかい?」 その時、ちびギコの顔色が変わった どうやら思い出したらしい。 自分が、ベビから、成長する過程 ちょうど、目の前で自分の臓物を喰らっているベビと同じくらいの時に この部屋に来た事があると 写真に写っていたちびギコを 喰った覚えが…。 あることを… 「ア… ア…」 しかし、最後にそれだけ喉からもらすと、こときれた。 ベビフサは… いや、もうチビフサか… 彼は一心不乱に臓物にかぶりついている。 食事はまだまだ終わりそうに無い… 次のベビは何にしようか レコがいいかな、ミケがいいかな… 旺盛な食欲を眺めながら 俺は次のサイクルの事を考えていた… 終
この作品のAA版:ちびとベビ