778 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/31(月) 00:19:37 [ RxXOTAUo ] もっと熱いぜ俺達は 1/2 あのことか、そう、話せば2レス分モナ・・・ ちょっと前の話モナ。 知っているモナ?列島国、航空防衛軍の初任空曹の班長は3つに分けられる。 中隊長以上の権力を持つ奴、適切な指導で手本になる奴、班員より下手に出てしまう奴 この3つモナ、あいつは・・・ 「おいお前、ちょっと来い」 「は、はい・・・」 教練の訓練中、1等空曹のネーノに呼ばれた3等空曹のモララーは、うつむき加減でグランドの隅に連れて行かれる。 グランドと言っても、足下は土ではない。あくまでグランドと呼ばれているだけの、駐車場の様なアスファルトの地面だ。 空からはさいたま太陽が照らしており、陽炎が立っている。真夏の盆地らしい炎天下、気温は体温すらも超えていた。 (昨日の携帯のこと、やっぱりチクったのかYO!) 昨日の消灯後、トイレで携帯電話を使っていたのを中隊当直に発見されたのだ。 中隊当直とは言っても自分と同じ初任空曹、まさか班長には言わないだろう、そう思っていたが甘かった。 「理由は言われなくても分かってるんじゃネーノ? その場に伏せぇ!」 「その場に伏せぇ!!!」 ネーノに言われたモララーは、観念して手を地面に付け、腕立て伏せの姿勢をとった。 異常なまでに熱くなったアスファルトに、手を焦がす感覚に襲われる。 「それ1!」 「イチ!」 「2!」 「ニィ!」 「3!」 ――― 仁王立ちのネーノが数えると、それに合わせてモララーが力一杯叫び、腕立てをする。 「8!」 「ハチ!」 「声がちぃせぇんじゃネーノ? それ1!」 難癖を付けられ、また最初から数え始められる。連帯責任と言われなかったのが幸いだった、モララーはそう思っていた。 「9! オラ!声が出てネーノ! 1!」 「(いい加減に、終わらせてくれYO!)イチィ!!」 もう何十回と腕立てをし、既に灰色の作業服は汗でびしょ濡れになっている。 顎からもダラダラと汗が垂れていたが、何故か地面は濡れていなかった。それも当然で、汗は地面に触れると同時に蒸発していた。 おびただしい量の汗のだったが、跡も残っていない。 「最後だ!下で止めてろ!10!!」 「ジュゥウ!」 息も絶え絶えにそれでも叫びながら、モララーは腕を曲げる。しかし上げることは許されず、腕を曲げたままの姿勢で待たされた。 うでがプルプルと震え、顎がの先が地面に付くと、本当に焦がされた気がした。いや気のせいではなかった、 「あっじぃぃぃYOooooo!!!」 モララーはそう叫ぶと、堪らず腕を伸ばした。勝手に腕を伸ばしたモララーに、ネーノの檄が飛ぶ。 「ふざけてんじゃネーノ!! 最初からやりたいのか!!!」 「あ、顎が焼けたYO!」 「顎?」 ネーノがモララーの顔を覗き込むと、毛先が少し焦げ、地肌に水泡が出来ているのが分かった。 779 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/31(月) 00:21:55 [ RxXOTAUo ] 2/2 「分かった終わりだ、立て」 そう言われたモララーは、膝を突いて立とうとしたが、今度は作業服越しに膝を焦がされる。 「熱っ! 班長、立ち上がれません」 「手間がかかるな、、、手ぇ貸せ、手!」 ネーヨはそう言って手を差し伸べたが、モララーは動こうとしなかった。 「どうしたんだ! サボりなんてはえぇんじゃネーノ?」 「いや班長、手が持ち上がりません」 やれやれといった様子でモララーの右腕を掴んだネーノは、大根でも抜くかの様に真上に引っ張った。 ”ビチビチ ビリビリィ” かすかに聞こえる、今まで聞いたことの無い音。 ふと地面を見ると、モララーの右手があった場所に、変な物が張り付いている。 「なんだこれ? ・・・!!!!!」 地面に張り付いた物の正体を知ったネーノは、驚愕し言葉を失った。それはモララーの右手の皮だったのだ。 それを見たモララーも途端に叫ぶ。 「UGYAaaaaaaaa!!! 漏れの、漏れの手がぁぁぁ!!!」 さすがに泣くことは無かったが、手の皮を見たショックで喚き始める。するとそれを聞いた他の班長も駆けつけた。 「どうしましたモナ」 「あるぇ~、これって一体なんですKA?ってGE!」 数人の班長が近付き、張り付いた物が手の皮であると分かると、持ち上げられた右手も確認した。 表皮がベロリと剥がれ、赤い組織が見える。汗以外の何らかの体液が漏出しているのも見えた。 「漏れの漏れの手ぇ・・・」 モララーの全身に暑さで流れていた汗は、いつしか粘り気のある汗に変わっていた。ネーノも冷や汗をかいている。 そして、慌てたネーヨは左手も持ち上げて”しまった”。 ”ビチィ ビ、、、ビ、、、ビリビリビリ” 先ほどよりも明瞭に音は聞こえた。無論、手の皮が剥がれた音だ。 「いひゃぁぁぁぁ!!! 手がぁあぁ・・・」 「アンビ呼ぶモナ、アンビ」 「俺が行きまSU!」 モナーはモララーの肩を抱いて、すぐそばの体育館まで歩き、ぼるじょあは中隊事務室に走って行った。 グランドでは騒ぎに関係なく訓練が続けられ、その隅にポツンとネーノは立ちつくしていた。その足下の手形を見ながら。 「同じ様な事故事例は、10年前にもあったからな!」 「はい・・・」 中隊長のモララーが言う。ネーノにいつもないがしろにされており、またとない機会とばかりに叱責を浴びせた。 「たく、、、そんなんでよく何十年も班長が勤まってたもんだYO!」 「はぁ」 「とりあえず、これは事故として扱うけれど、あの学生の訓練はこれからどうするんだYO!」 「はぁ・・・」 何を言われても、ネーノはただ頷くしかなかった。 話を聞き終えたアサピーは、首を傾げながら目の前のモナーに言う。 「だが桁が2つぐらい違うと聞きましたが?」 「だが、それは誇張のしすぎモナ」 「だがこれは障害事件だと思いますが?」 「だが、これは訓練中の 事 故 モナ」 「だがもみ消しだと思いますが?」 「だ が 心 配 の し す ぎ で は な い か モナ!! いい加減帰るモナ!」 【終わり】