457 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/02/25(火) 23:36 [ sIEfB2rM ] こんな感じの話しも入れちゃっていいものか… でも、読んでいただけたら幸いです。 【よく煮込まれたシチュー】 もうすぐ出来るよ。 待っててね。 初めて作ったシチュー。 絶対おいしいんだから。 どうしても、しぃ香には勝てない。 顔も、スタイルも、持ち物も、ボーイフレンドの数も、 みんなみんなしぃ香には勝てない。 頭の出来具合も、どうしても勝てないんだ。 大好きなギコくんもいつもしぃ香の事を見てばっかり。 それでも、脈は無いように見えても、私なりに努力してたんだ。 フィットネスクラブに通ってダイエットにも成功したし、 バイトを増やして英会話の学校とか、お茶の教室にも通った。 雑誌で「男の子別モテ大作戦」なんて特集が組まれてたら、一字一句暗記するまで読み通した。 ギコ君の好きな服装や、好きな女の子のタイプに自分をぐんぐん近づけていった。 それでもまだしぃ香の方ばっかり見てるんだね。 少しは私の方も見てくれるって…そう思ってたのに。 夏休み明けて、大学に行ったら、しぃ香が嬉しそうに報告してきたんだよ。 「夏休みからギコ君と付き合うようになったんだ。」って。 しぃ香はわたしの友達だから、「よかったね!」って言ってたけど、 内心凄く傷ついたんだ。 私の前で二人でいっつもイチャイチャしてたよね。 その度に、「なんで私じゃないのかなぁ」って。 「なんでギコ君の隣にいるのは私じゃないのかなぁ」って。 苦しかった。 苦しくて、苦しくて、それがいつか憎らしいっていう感情に変わるのには、 そんなに時間がかからなかった。 しぃ香が憎らしくなって、どうしようもなくなってきて…。 しぃ香がいなくなれば、ギコ君は少しでも私の事を見てくれるんじゃないか… だんだんそんな感情が私の頭の中を支配し始めるようになってきた。 だから私、しぃ香を殺したんだ。 「ケーキ買ってきたよ。ウチにおいで」ってメール送ったら、 10分もしないうちしぃ香はやってきた。 アンタをおびき寄せる事なんてホントーに簡単。 「甘いモノ」って一言だけで飛んでくるんだから。 アンタがこんなに単純な女で正直助かったってこの時感謝したんだ。 しぃ香は嬉しそうにブルーベリーのタルトを頬張ってた。 クリームをホッペタにくっつけてさ、 ギコ君がここにいたら「くっついてるぞ」 って頬のクリーム指で拭き取って舐めたりしたんだろうな。 私は、しぃ香に全てを話した。 しぃ香より先にギコ君を好きになってた事、 ギコ君に好きになってもらうために、ずっと努力し続けてきた事…。 しぃ香は笑った。 大きく口を開けて、爆笑したんだ。 「バカジャナイノ!? アンタガギコクントツキアウナンテ ソンナコト ムリニキマッテルジャナイ! ギコクンニイチバン ツリアッテルノハ コノアタシダヨ?」 そんな言葉をしぃ香は私に向かって投げつけたんだ。 確かに、私はしぃ香と比べれば劣ってるところだらけだったかも知れないけど…。 そんな事言うなんて、酷すぎるよ。 458 名前: よく煮込まれたシチュー 投稿日: 2003/02/25(火) 23:37 [ sIEfB2rM ] 私は手始めに手元にあったフォークでしぃ香の顔を切りつけた。 さっきの言葉が悔しくて悔しくて、とても悲しくて…。 しぃ香はギャァァァッって言いながら、顔を押さえてうずくまった。 指の隙間から血がボタボタ落ちてきてた。 「ナニスルノヨウ!」ってアンタ私の事睨みつけながら怒鳴ったよね。 憎らしいから、アンタが邪魔だからやったんだよ。 しぃ香は慌てて玄関のドアを開けて逃げ出そうとした。 でも、ドアが開かなかったのは、私が万が一の事を考えて、 ドアの上にも補助キーをかけてたからなの。 私は必死になってドアを開けようとしてるしぃ香の後ろに包丁を持って立った。 それに気付いたしぃ香の顔…。 ギコ君だったら、何て言ったかな? それほど凄い顔だったんだよ。 私は、しぃ香の胸元に包丁を突き刺した。 しぃ香は「シィィィィィィッ!?」なんて悲鳴を上げて、ドアを背にしてズルズルと倒れこんだ。 しぃ香の最後の言葉、覚えてるよ。 か細い声で言ってたけど、ちゃんと聞き取れた。 「ギコクン…タスケテ…」 私はバスルームにしぃ香の死体を運んで、胸に突き刺さった包丁を抜いた。 返り血を浴びて、気持ち悪かったけど、早くしぃ香の死体を始末しなくちゃ…。 そう思ったら自然に体が動いてた。 しぃ香の四肢にノコギリを入れてバラバラにして、頭と体を千切り取った。 でも、このままじゃ捨てられないから、暫く悩んだ後、名案を思いついたんだ。 シチューにして、ギコ君に食べさせるの。 だってギコ君、しぃ香の事「食べちゃいたい位かわいい!」ってよく言ってたよね。 だから私、しぃ香の事本当にギコ君に食べさせてあげるんだ。 大量に臭い消しの為に赤ワインを買ってきた。 ツヤツヤのサテンのような毛に包まれたしぃ香の上の皮をきれいにこそげ落として、 たっぷりのお湯でしぃ香の四肢を赤ワインと一緒に煮込む。 そのうちに骨が溶けてドロドロになってきた所で、私のじゃない携帯の音がした。 しぃ香の携帯だった。 ギコ君からのメールだったよ。 「好きだぞ!」だって。 もう、鍋の中で溶けちゃってるアンタに言ってもしょうがないけど。 アンタのフリをしてギコ君にメール返信しといたから。 当分はこれでギコ君の事を騙せそう。 次は体。 食べられそうな内臓を取って、ワインにニンニクと一緒に漬け込んだ。 その後、しぃ香の体は細かく刻んで少しずつミキサーに入れてドロドロにして、トイレに流した。 その日は一日中、しぃ香の事を煮込んでいた。 459 名前: よく煮込まれたシチュー 投稿日: 2003/02/25(火) 23:38 [ sIEfB2rM ] 次の日。 大学でギコ君に会った。 「しぃ香は風邪引いて休みだよ。メール来てたんだ。」って教えたら、 ギコ君、凄くつまらなそうな顔してた。 三日くらい大事を取って休むみたいって言ったら、今度は悲しそうな顔をした。 しぃ香が学校に来なくなって2日目。 私は、ギコ君を食事に誘った。 「最近、ギコ君元気ないから、シチュー作ったんだ。食べて元気でも出してよ」って。 しぃ香のシチューはあともう少し煮こめば完成。 ギコ君は快く、誘いに応じてくれた。 もうすぐ、ギコ君の来る時間だ。 私は、シチュー鍋の中に生クリームを加えて温め直す。 コトコトとあふれないように、弱火でよくかき混ぜながら。 赤ワインと、ソースの匂いが鼻腔をくすぐる。 しぃ香の骨も肉もドロドロに煮込まれた特製のシチュー。 ギコ君、気に入ってくれるかな…。 もうすぐ出来るよ。 待っててね。 初めて作ったシチュー。 絶対おいしいんだから。 「おまたせ!」 ギコ君の前に、白い皿に盛り付けられた食欲をそそるような匂いのするシチューを置く。 ホカホカと湯気を立ててるシチューをおいしそうにギコ君は頬張った。 「おいしい!」 ギコ君はそう言いながら、シチューをあっという間に平らげた。 三杯もお代わりしたね。 ギコ君本当にしぃ香の事食べちゃったね。 幸せそうなギコ君の顔…。 何だか悲しくなってきちゃった。申し訳なくなってきちゃった。 ギコ君。 ギコ君。 ごめんね。 ごめんね。 私、ギコ君が帰ったら警察に出頭するよ。 それが私のギコ君の為に出来る最後の事。 ギコ君が一番好きなのは、「ウソをつかない子」だったもんね。 私、ちゃんと自首するね。 警察に行ってちゃんと素直に全部話すから、 だからギコ君、 私の事少しでも好きになって…。 ね? 終わり。