ガランドウ 入

Last-modified: 2020-04-18 (土) 21:44:19
424 :古爪:2007/10/05(金) 05:49:00 ID:???
お初です。
よろしくお願いします。



            『 ガランドウ 入 』


満月。
普段は大人から子供までいる賑やかな公園は、今は月明かりに照らされ青白く輝きながら、静まり返っている。
その公園のスミ、しぃ、と書かれたダンボールの中で彼女、しぃは月を見上げていた。



・・・世間では虐殺が流行りらしい。
モナーやモララーが、ちびギコや、私と同じしぃを躊躇い無くコロシテイル。
おかげで、綺麗な滑り台の青も今は彼らの血で赤く汚れている。
でも、誰も気にしない。むしろ子供たちはそれを見て、さも嬉しそうに笑う。

・・・・・・

彼女はそれを見ても、特別大きな感情は感じない。
それが、日常だから。
まるで蟻でも踏み潰すような感覚で消えていく命。

425 :古爪:2007/10/05(金) 05:50:12 ID:???
その出来事に
慣れてしまった。順応してしまった。
命という巨大な概念への感覚がナクナッテイク。

そんな自分に気づいて、

そんな自分が怖くなって、

もう手遅れなのに、

そんな自分になりたくない。

と、願い、しぃは自分という世界と、外の世界を切り離した。

結果、彼女は壊れた。
体はガランドウ。
精神は、浮遊霊のように意識としてある。
だが、地縛霊と同じく公園の外に出ることは出来なかった。
もう一度戻ろうと思っても、入れない。
しぃは絶望した。

ここから出られず、
体にも戻れず、惨めにこの地で永遠をイキルのか。

そう、壊れた代償は、永遠と孤独。
そのうち感情の起伏なんてものは無くなっていく。
それにも慣れた。
何も感じない、何も考えない。

それが、50年位前の話。