ゲームコーナー

Last-modified: 2015-06-14 (日) 13:00:46
438 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/07/15(火) 17:08 [ .CMcZLBk ]
とあるデパートのゲームコーナーに、一匹のベビしぃがいた。
ベビしぃは母しぃの買い物についてきたのだが、つまらなくなった為にゲームしながら待つことにしたのだった。
そこへ、一人のモララーが近寄ってきた。
「やぁ、ベビちゃんは一人かい?」
「チィ…」
ベビしぃは初対面のモララーに、一瞬警戒したようだ。しかし、
「おいで。お兄ちゃんがダッコしてあげるよ」
モララーのこの一言で、ベビしぃの警戒心は吹き飛んだ。
「ナッコ? チィ、ナッコチテ!」
モララーはベビしぃを優しく抱き上げた。
「ベビちゃんは可愛いなぁ」
「ナッコ、ナッコ♪」
ベビしぃはダッコされて嬉しいのか、足をぷらぷらさせて上機嫌だ。
「ベビちゃん、もっと楽しい所に連れて行ってあげようか?」
「チ?」
小首をかしげるベビしぃにモララーが続ける。
「ダッコよりももっと楽しい所だよ」
それを聞いた途端、ベビしぃは目を輝かせた。
ダッコしか頭に無いベビしぃにとって、ダッコよりも楽しい物など想像も出来なかったのだ。
「チィ、イク!」
「うん、それじゃ今から行こうね」
モララーはベビしぃをダッコしたまま、ゲームコーナーを後にした。

モララーとベビしぃは、デパートの近くにある立体駐車場の屋上に来ていた。
辺りの景色が一望できて、確かに場所としては悪くない。
「チィ、ココガタノシイトコ?」
そう尋ねるベビしぃに、モララーが優しく答える。
「違うよ。楽しい所へはこれから行くんだよ」
そう言うと、モララーは屋上の端の方へと歩いていった。
地上12階建ての屋上。
はるか下の方で、人々がまるで蟻の様に見える。
「それじゃベビちゃん、逝っておいで!」
モララーはそう言うと、ベビしぃを放り投げた。
「チィ!?」
一瞬の浮遊感。そして、
「チィィィィィィィィーーーーーーーーーーー…」
ベビしぃの悲鳴が遠ざかってゆく。
最後にグシャッ!っという音が聞こえた。
「よかったねぇ、ベビちゃん!」
モララーは良い事をした後の様な清清しい顔で続ける。
「被虐生物の君たちにとって、この世界は生き地獄だからね。天国で幸せに暮らしてね!」
そういい残し、モララーは去っていった。

数時間後、地面とお友達になって死んでいるベビしぃが発見された。
しかし警察は、アフォなベビしぃが屋上で遊んでいて転落したと決め付け、ろくな捜査もしなかった。
この事件はその後各種メディアで取り上げられたが、その内容は母しぃの管理責任を責めるものばかりだった。
モララーの名前など、どこにも出なかったという。

おわり