438 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/07/15(火) 17:08 [ .CMcZLBk ] とあるデパートのゲームコーナーに、一匹のベビしぃがいた。 ベビしぃは母しぃの買い物についてきたのだが、つまらなくなった為にゲームしながら待つことにしたのだった。 そこへ、一人のモララーが近寄ってきた。 「やぁ、ベビちゃんは一人かい?」 「チィ…」 ベビしぃは初対面のモララーに、一瞬警戒したようだ。しかし、 「おいで。お兄ちゃんがダッコしてあげるよ」 モララーのこの一言で、ベビしぃの警戒心は吹き飛んだ。 「ナッコ? チィ、ナッコチテ!」 モララーはベビしぃを優しく抱き上げた。 「ベビちゃんは可愛いなぁ」 「ナッコ、ナッコ♪」 ベビしぃはダッコされて嬉しいのか、足をぷらぷらさせて上機嫌だ。 「ベビちゃん、もっと楽しい所に連れて行ってあげようか?」 「チ?」 小首をかしげるベビしぃにモララーが続ける。 「ダッコよりももっと楽しい所だよ」 それを聞いた途端、ベビしぃは目を輝かせた。 ダッコしか頭に無いベビしぃにとって、ダッコよりも楽しい物など想像も出来なかったのだ。 「チィ、イク!」 「うん、それじゃ今から行こうね」 モララーはベビしぃをダッコしたまま、ゲームコーナーを後にした。 モララーとベビしぃは、デパートの近くにある立体駐車場の屋上に来ていた。 辺りの景色が一望できて、確かに場所としては悪くない。 「チィ、ココガタノシイトコ?」 そう尋ねるベビしぃに、モララーが優しく答える。 「違うよ。楽しい所へはこれから行くんだよ」 そう言うと、モララーは屋上の端の方へと歩いていった。 地上12階建ての屋上。 はるか下の方で、人々がまるで蟻の様に見える。 「それじゃベビちゃん、逝っておいで!」 モララーはそう言うと、ベビしぃを放り投げた。 「チィ!?」 一瞬の浮遊感。そして、 「チィィィィィィィィーーーーーーーーーーー…」 ベビしぃの悲鳴が遠ざかってゆく。 最後にグシャッ!っという音が聞こえた。 「よかったねぇ、ベビちゃん!」 モララーは良い事をした後の様な清清しい顔で続ける。 「被虐生物の君たちにとって、この世界は生き地獄だからね。天国で幸せに暮らしてね!」 そういい残し、モララーは去っていった。 数時間後、地面とお友達になって死んでいるベビしぃが発見された。 しかし警察は、アフォなベビしぃが屋上で遊んでいて転落したと決め付け、ろくな捜査もしなかった。 この事件はその後各種メディアで取り上げられたが、その内容は母しぃの管理責任を責めるものばかりだった。 モララーの名前など、どこにも出なかったという。 おわり