センター試験前夜

Last-modified: 2020-04-02 (木) 00:05:09
280 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2005/01/15(土) 23:20 [ VHwT1UWo ]
【センター試験前夜】 1/4


センター試験時間割

1日目
1時間目 被虐AA言語 (しぃ ちびギコ おにーに 昨年よりモララーも加わった)
        被虐側の言葉を理解し、虐殺や虐待を円滑に出来るかを見る。
2時間目 虐殺史・虐殺板 (2ch虐殺史 アブ板虐殺史 被虐AA史 虐殺2ch板 虐殺外部板)
        加虐と被虐の歴史やその地理について理解しているかを見る。
3時間目 虐殺実戦 (しぃ ちびしぃ ベビしぃ)
        被虐AAの生態や生体の特徴をしっかりと把握し実戦出来るかを見る。
4時間目 虐殺実戦 (ちびギコ ちびフサ ベビレコ おにーに)
        被虐AAの生態や生体の特徴をしっかりと把握し実戦出来るかを見る。
5時間目 虐殺実戦 (モララー その他AA)
        被虐AAの生態や生体の特徴をしっかりと把握し実戦出来るかを見る。

2日目
1時間目 加虐言語
        加虐の際の言葉で被虐側にどれだけの影響をもたらせるかを見る。
2時間目 虐殺理論 (しぃ ちびしぃ ベビしぃ ちびギコ ちびフサ)
        被虐AAを何処まで追い詰められるか計画を練り実戦での活かし方も見る。
3時間目 虐待理論 (おにーに ベビレコ モララー その他AA)
        被虐AAを何処まで追い詰められるか計画を練り実戦での活かし方も見る。
4時間目 虐殺原理 (虐殺倫理 加虐法 被虐法)
        加虐・被虐両者の法や心理面について理解しているかを見る。

持ち物について
実戦や理論にはナイフや包丁が必要になります。本数制限はありませんが常識の範囲で持参しましょう。
研ぎ石の持ち込みは禁止されていませんが、飛び出しナイフは今年より禁止になりましたので気をつけて下さい。
銃や火気は使用でなく持ち込みだけで不正とみなされます。耳栓の使用は認められていません。
医療器具は監督許可を得てから持ち込んでください。時計はアラーム機能などのないものにして下さい。
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281 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2005/01/15(土) 23:21 [ VHwT1UWo ]
「今年から飛び出しナイフは禁止になったモナね……」

明日からのセンター試験を前に、つーが少しだけ緊張した面持ちで荷物を確認している。
その横でモナーは、つーが学校でもらってきた要綱の持ち物についてを読み上げてやっていた。

「アア 包丁トカ 普通ノ ナイフトカ ダケデ 仕込ミ系ハ 禁止ナンダトヨ」

確かに要綱には包丁や仕込ではないナイフは何本持ち込もうと、研ぎ石を幾つ持ち込もうと構わないが仕込み物は禁止とある。

「モナが使った思い出の飛び出しナイフをお守りがわりに貸してあげようと思ってたのに、残念モナ」

モナーがしょんぼりと、ポケットにしまっていた飛び出しナイフを取り出した。

「オオー イイ ナイフジャネーカ! 不正ガ 頻発シナキャ コレヲ貸シテ 貰エテタノカ 勿体ネー」

モナーの手に置かれた業物の飛び出しナイフに、つーがキラキラと目を輝かせる。
懸命に砥がれたらしいナイフは、まるで鏡面のように覗き込むつーの姿を映し出していた。 

「そういや、ここ数年。センター試験に飛び出しナイフを装った仕込み銃とか携帯電話の形をしたレーザー銃とか
不正の話が多かったモナ」

モナーが溜息混じりに憂う通り、センター試験の問題内容と回答を載せる紙面の近くで不正についても述べられるのが
最近の常である。

「ソコマデシテ 点取リニ 必死ナッタッテ 仕方ネート 思ウンダケドナ」

つーは使えない飛び出しナイフをモナーにかえし、自分の得物である包丁を入念に研ぎなおし始めた。

「大学に入ってからのが重要なのに、入るのが重要だと思う香具師が多いことのあらわれモナ。
だけど、つーちゃん勉強しなくても大丈夫モナ?」

つーを手伝い、包丁を一緒に研ぎ始めたモナーが苦笑いしながら隣の受験生に尋ねる。

「アヒャ? 別ニ 今更 アガイタッテ 点数ナンテ カワラナイダロ」

刃の具合を光に晒して確かめながら、つーが笑った。

「そうでもないと思うモナ。つーちゃんは昔から諦めが早すぎるモナ。モナはもうちょっとギリギリまで頑張ってたモナ」
「嘘言ッテルンジャネーヨ コノ 白ダヌキガ! モナーノ 諦メハ 早カッタッテ 噂ダゾ
先生ダチガ 筋ハ 良カッタノニ イツモ 適当ナ所デ 気ガ抜ケテ 失敗バカリダッタッテ 言ッテタカラナ」

モナーが偉そうに説教したのを聞いて、つーが手に持っていた包丁をつきつけながら嘘を暴く。

「同じ高校に通ってた香具師だと昔の噂を聞かれて、説教一つするにも嘘がつけないモナね……。だけど明日の試験中だけは
しっかり諦めずに頑張るモナよ?つーちゃんはモナと一緒で最期の確認が甘い所が多いから心配モナ」

モナーはつきつけられた包丁を流すように避けつつ、つーの手からスルリと包丁を奪ってしまった。
大学で虐殺行動学を専門に学んでいるモナーには、つーの行動などお見通しなのだろう。
にっこりと余裕の笑みを見せたモナーは、まるで剣でも捧げるような丁重な仕草で包丁をつーへとかえす。

「アヒャヒャ 心配スンナ! チビギコ モ オニーニ モ シィ モ 他ノ被虐AAダッテ モナー ト 一緒ニ
アンナニ沢山 虐殺シテキタジャネーカ 急所モ 臓器ノ場所モ 方法ダッテ チャント 理解シテルッテ
ペーパー試験ジャナクテ 実戦系テストナラ 向カウトコロ敵ナシダゾ オレハ!」

かえされた包丁をケースにしまいながら、心配性のモナーをつーが笑い飛ばす。

「でも、この間。聞き取り抜き出し問題で腎臓なのに心臓を持ってきたことがあったモナ。
分かってても早とちりしたら意味が無いモナ。それに10回目の切つけで致命傷を負わせろって問題で
ちびギコの言葉に逆上して3回で殺したしのは誰モナ。それから命乞いをさせろって問題なのに
しぃの声はうるさくて嫌いとかって理由で最初に喉を潰したってのもあったモナ」

モナーはつーの今までの失敗をスラスラと口に乗せ、冷や汗まみれになる姿を愉しんでいるようだった。

「…ア、明日ノ試験ハ チャント 見直シクライ ヤルカラ 平気ダ!」

つーがモナーのいつまでも続く失敗談を叫んで遮る。
その時、部屋の扉がトントンと静かにノックされた。

282 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2005/01/15(土) 23:21 [ VHwT1UWo ]
「失礼します。お茶をお持ちしました。準備ははかどっていますか?」

つーの母親が、2人分のケーキと紅茶を持ってしずしずと部屋に入ってくる。

「あ、お母さん、いつも気を使ってもらってスイマセンモナ」
「いえいえ、こちらこそ本当は授業の日じゃないのに、わざわざ様子を見に来てもらって申し訳ないですわ。
こんな手の掛かる子の面倒を見てもらって、いつもありがとうございます。
今回の受験だって先生がいたから、諦めていた志望校の受験もさせてみる気になったんですもの」

目の前に出された気遣いにモナーが恐縮したが、母親の方はニッコリと笑顔を浮かべて深々と頭を下げた。

「そういうお礼は受かったら嬉しく聞かせてもらうモナ。受験はこれからモナ!
だけど、そんなに緊張してなかったみたいで安心したモナ。様子を見に来る必要も無かったかも知れないモナね」

照れ笑いを浮かべながらモナーが、つーの頭をくしゃくしゃと撫でる。
モナーの手につーは少し迷惑そうな顔をしてみせたが、恥ずかしがっているだけで本気で嫌がっているようではなかった。

「いえ、先生が来るまでは右手と右足を一緒に出すくらい緊張してたんですよ。この子ってば口が悪い割に根が小心者だから」
「ウルセェ クソババァ!オレノ恥ヲ晒スナ!」

母親の苦笑まじりの暴露に、つーが怒鳴る。

「コラコラ、お母さんにそんなこと言っちゃ駄目モナよ?」

飛び出しナイフを首筋につきつけ、モナーは細い目をうっすらと開けてつーの瞳を覗き込んだ。
先程まで楽しそうに笑みを浮かべていた口元は開いた目とは逆にキツク結ばれ、
モナーの優しげな雰囲気は一転して恐ろしい虐殺者となる。

「……ゴ、ゴメンナサイ モウ シナイカラ…」

つーは掠れる声を必死に振り絞り、目を逸らすどころか瞬きすら出来ずに涙を浮かべる。

「せ、先生!」

我が子の危機にモナーの腕をつかみ、慈悲をすがるように母親が叫ぶ。

「っと、子供相手に悪かったモナ。お見苦しいところを見せてスイマセンでした。本日はこれでおいとまさせてもらうモナ。
じゃ、つーちゃん、明日の試験。頑張るモナよ!」

母親の声に我に返ったモナーは、ふっと表情をゆるめ飛び出しナイフを懐におさめた。
そして出されたケーキどころか紅茶にも手をつけずに立ち上がる。

「帰ッチマウノカ? 夕飯トカ 今日ハ 食ッテカナイノカ?」

圧力をかけられ息をすることさえ忘れるほどビビッていたというのに、つーはモナーが帰ると聞いて寂しそうに尋ねた。

「また今度、ご馳走になるモナ。今日は他の生徒の様子も見ないといけないモナ」

モナーは困ったように微笑んで、ムスッとした表情のつーの目を見えているのか疑問の残る糸目で優しく見つめる。

「ツマンネーノ」
「仕方ないでしょ。先生はお忙しい方なんだから」

納得しなきゃいけないのが分かりながら、つーが駄々っ子のように発した言葉を母親がいさめた。

「…やっぱり、コレつーちゃんにお守りとして貸しとくモナ。試験中に使えなくても会場まで持ってくだけで
気分が違うかもしれないモナ」

モナーが飛び出しナイフをつーの手に預けると、曇っていた表情が一気に明るくなる。

「なぁ、コレ。試し切りしてもイイのか?」

つーは手に握らせてもらった飛び出しナイフで空を切りながら尋ねた。

「元々試験中に使ってもらうつもりで持ってきたモナ。使って構わないモナ。
だけど試し過ぎて疲れると明日の試験に差し障りが出るから気をつけるモナよ!」

飛び出しナイフの使用許可を貰ったつーは、モナーの注意も右から左な様子で風のような速さで部屋から出て行く。
そして数十秒後、階下で被虐AA達の悲痛な声が次々とあがった。

283 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2005/01/15(土) 23:22 [ VHwT1UWo ]
「スイマセン、先生。あの子ってば本当に子供っぽくて…お帰りになる先生に挨拶しなきゃならないのに虐殺に夢中なんて…
本当に礼儀がなってなくてゴメンナサイね」

モナーを見送るため玄関に立った母親が、頭を下げる。
つーの母親は、尊大な子とは裏腹に謝り癖がついているようだった。

「ハニャ…オナガイ……タスケ…シィィィィィィィ―――ッ!」

つーが殺し損ねて玄関に逃れてきたしぃをモナーが首を捻ってあっさりと絶命させる。

「いえいえ、可愛らしくてイイじゃないですか。それに可愛いのも後、一年くらいかもしれないモナ。
モナと同じ大学に入ったら、立派な虐殺者になってしまって可愛げなんて微塵もなくなると思うモナ。
モナなんか、昔は虐殺が嫌いで逃げ回ってたくらいだから、今から楽しめてるつーちゃんなんて、モナより素質があるモナ」

母親の言葉をフォローしつつ、モナーは次々と玄関へ逃れてくるAA達を殺していった。
淡々と作業のように効率よく虐殺をこなしていたが、モナーの顔には愉しそうな笑みが浮かんでいる。

「オバサン…タスケテ ホチィ デ……」
「またまた、先生ったら。ご冗談ばかりなんですから…。先生みたいな方が虐殺嫌いだったなんて
虐殺好きで心配されたと言われる方が、まだ真実味がありましてよ」

母親はニコニコとモナーの言葉を流しながら、鋭くとがった爪をちびギコに突き立てていた。

「ハハハ、モナに冗談は向かないみたいモナ。それではまた月曜に。イイ結果が出るのを祈ってるモナ」

モナーは扉を開けた時に脇に抜けようとしたオニーニの首を勢いよく扉を閉めることで落としてから外へ出る。
そして、つーの家の者が誰も見ていない場所まで歩みを進めてから、モナーは暗い雲に覆われた夜空を見上げた。

「モナはいつから、虐殺にためらいがなくなったんだっけ?あんなに怖かったのにな…」

モナーの脳裏に浮かぶのはいかにAAを殺めずに暮らすかを考え、勉強という名の虐殺から逃げていた高校時代。
筋が良いと褒められるたび、モナーは血にまみれた手が大事な物を掴めなくなっている様に感じていた。

「雪で試験なんか潰れちゃえばいいモナ」

降りだした雪ごときで虐殺が止まるわけがないのを知りながらモナーが呟く。

「僕にお布施をして欲しいんだからな」

道路脇にて尊大な態度で物乞いをするモララーの前で、モナーの足が止まった。
素早く手を動かしたモナーが、モララーの前に置かれた壷の中にドサリと何かを入れる。

「貰って当たり前だから、お礼なんて言わないん…ガフ…ッ……」

再び歩き始めたモナーの背中に、モララーが掛けていた声が途中で止まった。
真っ白な雪の上に、モララーの吐いた血の染みが広がる。
壷の中にモナーが入れたのは、モララーから抜き取った心臓だった。

「モナはもう、戻れなくなったモナ。つーちゃん、受験失敗しないかな…」

血に染まった手のひらを寄せて、そこに溜まる雪で手を清めながらモナーが一人ごちる。

「一生懸命、モナが教えといて落ちるわけ無いか…」

モナーはかすかな雪ごときでは洗えない、血に濡れた手をハンカチで拭いながら、後ろを振り返った。

「うわ、ゾクッときたモナ。寒いなぁ…早く次の子の様子も見て、自分の家に戻って暖かい物でも食べるモナ」

モナーは寒さにブルリと震えた後、小走りで移動を始める。
モナーの後ろには踏みしめたことで黒く穢れた雪が点々と続いてた。

                                                        【センター試験前夜】 糸冬