379 名前: トモダチ(1/2) 投稿日: 2003/06/18(水) 23:37 [ EmVXs8hM ] 「チイチイ・・・・」 「ベビチャン、ゴメンネ。我慢シテネ」 ここは廃ビルの地下にある闇医者の医院。主に障害児の治療を行っている。 しぃは先天的に両手両足がないべビしぃを膝の上でなだめている。 去年、2ちゃんAA主義モナー労働者党、通称モナチスが政権を握ってから 「遺伝的に劣等なAAは処分する」という方針の下、障害者福祉が全廃された。 その結果、障害者や障害児の親はこのような闇医者に頼るしかなくなったのだ。 「こんにちは、しぃさん、べビちゃん」 「ア、レモナサン」 レモナは一週間ほど前にしぃがこの医院で友達になった母親だ。モナチス政権はしぃ族 も劣等種族として迫害の対象にしており、しぃへの周囲の視線は冷たい。そんな偏見に 捕われずに友達になってくれたレモナにしぃはとても感謝していた。 「レモナサンアリガトウ。オトモダチニナッテクレテ。レモナサンハ差別シナイモンネ」 「やあね当たり前じゃない、同じ母親なんだもの。種族差別する奴なんか最低よ。 大抵自分に自信が無いモテナイ君か引き篭もりみたいなのばっかよ」 「キャハハ、ソウダネ、童貞カヒッキ-バッカダヨネ」 「へー、だれが童貞でヒッキ-だって?」 階段から聞こえた声に待合室にいた者は一斉に振り向いた。そこにはモナチスの軍服を 着て手にはショットガンを構えた兵士達がいた。 380 名前: トモダチ(2/2) 投稿日: 2003/06/18(水) 23:38 [ EmVXs8hM ] 「シイイイイイイ!ヤメテエエエエ!」 しぃは叫んだ。目の前には台車に載せられているべビしぃがいる。そしてその 台車は少しずつ進んでいる--10メートル先で燃え盛っている焚き火へと。 その様子をモナチス党員のモララーがニヤニヤ笑いながら見ている。 「おーおー、手足さえあれば台車から下りられるのにね。可哀想に、しぃってだけでも 悲劇なのにダルマでもあるなんて」 「オナガイヤメテ!シイガベビチャンガナニシタッテイウノ?」 モララーは何も答えずニヤニヤと笑っていた。そして遂に台車が焚き火へと入った。 「ヂイイイイ!ナッコナッゴーーーーー!!!」 「ベビチャーン、イヤアアアアアア!!」 その様子をマジックミラー越しに見ている者達がいた。モナチス党員のモナーと レモナだった。レモナが口を開く。 「あれでいいんですね?」「うん、OKモナ」 2週間前、どうしても子供の障害に効く薬が欲しくてモナチス党に嘆願したレモナに 担当者は言った。実は総統閣下はしぃ族に対する「最終解決」として奴らを絶滅させる ことにされた。しかししぃ族は野良暮らしが多くてなかなか一網打尽にできなくてね。 君知ってるしぃ族はいないか?教えてくれたら薬は何とかしよう。 レモナは少し考えて思い当たった。通ってる病院にいるしぃ親子。レモナは早速その 親子に近づいて病院に来る日を聞き出してモナチスに通報したのだ。もちろん闇医院 は見逃してくれるように頼んだ上で。 「ふん、全く馬鹿猫ね。あたしが小汚いしぃなんかと友達になるわけないじゃない。 身の程を知りなさいよね」 レモナは嘲笑を浮かべて呟いた。マジックミラーの向こうではモララーに焚き火に 放り込まれべビしぃと共に焼けていくしぃの断末魔が響いていた。