パロディ診療所

Last-modified: 2021-09-25 (土) 20:13:06
709 名前:貧血 投稿日:2006/03/28(火) 02:58:50 [ Sjn.8Nto ]

「た、たすけてください!おねがいします!!」
 …やれやれ、また患者か。 難儀な商売だぜ、ったく。

「はいはい、なんの御用で?」
 俺の前に現れたのは、いかにもクレバーではなさそうなガキ。
 親同伴じゃない。 …つまらねぇな、最近人妻食ってねぇし。
 ……この歳で親がついてきてないってことは、もう親が死んでるか、このガキがいらない子かのどっちかだ。
 金がなさそうなので本来は嫌なんだけど、俺はハイパー優しいので診察してやることにした。

「たすけて! たすけて!!」
「まぁ、まず座ろうね。 ガk…じゃなかった。 お坊ちゃん」
 とりあえず、なだめて椅子に座らせる。

 まず、初めは観さ……検診と行こう。
 …お世辞には頭がいいとは言えそうにない顔。 さっきも思ったけど。 つーかアホ面だ、殴りてぇ。
 右腕がぶらぶらしてる。 …あれか、キャラ作りのために、怪我もして無いのに腕に包帯巻いて、突然腕を押さえて
 「っぐわ!・・・くそ!・・・また暴れだしやがった・・・」とか言いながら息をを荒げて「奴等がまた近づいて来たみたいだな・・・」なんて言うような感じか。

 ――――――やべぇ、超関わりたくねぇ。 キチガイの相手すると、してるヤツまで病んでくるって話だしな。
 引きこもりの弟もってるお姉ちゃんとかなんかはアレだ、注意するこったね。
 …実際、知らず知らずのうちにノイローゼ、ってのはよくある。 つーかなりたくてなるヤツいねぇけど。
 図太いヤツなら大丈夫でも、俺の心は強化ガラスのように脆いから、すげぇ心配。

「うでが、いたくて、うごかないんです!! ぼく、どうなってるんですか!?」
「ああ、折れてるんじゃね? たぶんアブドゥルさんみたいに粉みじん」
 …あれ、粉みじんはヴの方だっけ? 最近ド忘れ多いな、俺。

「じゃあ、ぼくは、どうすればいいんですか!!?」
 なんか息の区切り方が変だ。 一回の区切りで上げ調子にするとこがうぜぇ。
「お前の今感じてる感情は一種の肉体的疾患だ。 しかし治し方は俺が知っている。 俺に任せろ」
 ……いやぁ、それにしても誰彼はひどかったなぁ、うん。 そういや超先生、今何してんのかなぁ。
 ま、それはいいとして、手術の準備に入ろう。
 俺は平成のブラックジャックと呼ばれた男。 医療免許は持ってないし取る金も莫大だ。
「……と、とれなかったわけじゃないんだからねっ! ほ、ほんとだもんっ!」
 呟いてみる。 …今はやりのツンデレってやつだ。 その意味は推して知るべし。

710 名前:貧血 2/2 投稿日:2006/03/28(火) 03:01:05 [ Sjn.8Nto ]

「俺は天才だ俺に不可能はない!」
 とりあえず北斗の拳を参考に、秘孔を突いてみようか。
「いたッ!!」
「んー間違ったかなぁ?」
 …まずい、これは教科書を読み直さなければ。
 とりあえず、なんとなしに選んだDVD、その72話を見てみる。
 絵的に『泣いてる子をほっといて北斗の拳見てるダメ人間』に見えるな。 まぁいいけどさ。

 ―――――――これだ。 この子の腕を再び元に戻すには、これしかない。
 トキ兄さんが強くなれたんだ。 よし、これしかないぜ。

「とりゃあッ!!」
 両股の内側を三本の指で突く。
 バキバキいって、オーラがでてて。 …いつの間にかDCS並になっちまった。
「す、すごいや、力がみなぎってくる!!」
「はっはっは、そうだろうそうだろう」
 流石にここまでは想定の範囲外だったぜ…… ま、いいけどさ。

「ありがとう、先生!!」
「はっはっは、どういたしまして」
 ガキがドアに手をかけた、まさに、その瞬間―――――――

「ちにゃッ!!」
 ―――――おもいっきり、爆散してしまった。
 目の前ではじける脳髄と、辺りに飛び散る血。 まるで噴水みたいだな、といつも思う。
 一つだけ違うのは、その水が赤く濁ってたり、ぐっちゃぐちゃで、どろどろだったりしてるとこぐらいか。
 ま、糞尿だとかも飛び散ってる分、キレイっつうより臭い、の方が強ぇんだけどさ。

「……ッ」
 人間の血ってのは割と多い。 だけど、その内の数10%失っただけで死んじまうんだな。
 あーあ、まだ噴き出してるよ。 スプリンクラーみたいで見てると面白いから、見ていようかな。 掃除とかがすげぇ鬱だけど。

 ……見てたら、血が目に入った。 なかなか取れないんだよなぁ、これ。 ま、後で洗えばいいか。
 辺りにこびりついてる脳漿とかの始末の方が、よっぽど大変だぜ。 …あーあ、白い壁とはミスマッチだ。

 ……うーん、もうちょっと持つと思ったんだがなぁ。 やはり、ガキは耐えられる時間が短いらしい。
 これで三回目だっけ、中での爆散は。 …ったく、クソガキどもめ。 もうちょっと持ってくれよな。
 これじゃいっそのこと、壁紙を赤くしちまうのもいいかも。 ……いや、ダメだダメだ。 患者さんが暴れないとも限んない。

 ………ま、この診療所のド真ん前で弾けられても困るしな。
 その点では、ラッキーだぜ。 神様ありがと愛してるよ。
 クリスチャンになってもいいってくらい愛してる。 だからこんどは俺の手を煩わせないでほしい。


 表にある看板をクローズにして、っと。
 ――――――――掃除に、壁の塗装、か。 あーあ、めんどくせぇな。