709 名前:貧血 投稿日:2006/03/28(火) 02:58:50 [ Sjn.8Nto ] 「た、たすけてください!おねがいします!!」 …やれやれ、また患者か。 難儀な商売だぜ、ったく。 「はいはい、なんの御用で?」 俺の前に現れたのは、いかにもクレバーではなさそうなガキ。 親同伴じゃない。 …つまらねぇな、最近人妻食ってねぇし。 ……この歳で親がついてきてないってことは、もう親が死んでるか、このガキがいらない子かのどっちかだ。 金がなさそうなので本来は嫌なんだけど、俺はハイパー優しいので診察してやることにした。 「たすけて! たすけて!!」 「まぁ、まず座ろうね。 ガk…じゃなかった。 お坊ちゃん」 とりあえず、なだめて椅子に座らせる。 まず、初めは観さ……検診と行こう。 …お世辞には頭がいいとは言えそうにない顔。 さっきも思ったけど。 つーかアホ面だ、殴りてぇ。 右腕がぶらぶらしてる。 …あれか、キャラ作りのために、怪我もして無いのに腕に包帯巻いて、突然腕を押さえて 「っぐわ!・・・くそ!・・・また暴れだしやがった・・・」とか言いながら息をを荒げて「奴等がまた近づいて来たみたいだな・・・」なんて言うような感じか。 ――――――やべぇ、超関わりたくねぇ。 キチガイの相手すると、してるヤツまで病んでくるって話だしな。 引きこもりの弟もってるお姉ちゃんとかなんかはアレだ、注意するこったね。 …実際、知らず知らずのうちにノイローゼ、ってのはよくある。 つーかなりたくてなるヤツいねぇけど。 図太いヤツなら大丈夫でも、俺の心は強化ガラスのように脆いから、すげぇ心配。 「うでが、いたくて、うごかないんです!! ぼく、どうなってるんですか!?」 「ああ、折れてるんじゃね? たぶんアブドゥルさんみたいに粉みじん」 …あれ、粉みじんはヴの方だっけ? 最近ド忘れ多いな、俺。 「じゃあ、ぼくは、どうすればいいんですか!!?」 なんか息の区切り方が変だ。 一回の区切りで上げ調子にするとこがうぜぇ。 「お前の今感じてる感情は一種の肉体的疾患だ。 しかし治し方は俺が知っている。 俺に任せろ」 ……いやぁ、それにしても誰彼はひどかったなぁ、うん。 そういや超先生、今何してんのかなぁ。 ま、それはいいとして、手術の準備に入ろう。 俺は平成のブラックジャックと呼ばれた男。 医療免許は持ってないし取る金も莫大だ。 「……と、とれなかったわけじゃないんだからねっ! ほ、ほんとだもんっ!」 呟いてみる。 …今はやりのツンデレってやつだ。 その意味は推して知るべし。 710 名前:貧血 2/2 投稿日:2006/03/28(火) 03:01:05 [ Sjn.8Nto ] 「俺は天才だ俺に不可能はない!」 とりあえず北斗の拳を参考に、秘孔を突いてみようか。 「いたッ!!」 「んー間違ったかなぁ?」 …まずい、これは教科書を読み直さなければ。 とりあえず、なんとなしに選んだDVD、その72話を見てみる。 絵的に『泣いてる子をほっといて北斗の拳見てるダメ人間』に見えるな。 まぁいいけどさ。 ―――――――これだ。 この子の腕を再び元に戻すには、これしかない。 トキ兄さんが強くなれたんだ。 よし、これしかないぜ。 「とりゃあッ!!」 両股の内側を三本の指で突く。 バキバキいって、オーラがでてて。 …いつの間にかDCS並になっちまった。 「す、すごいや、力がみなぎってくる!!」 「はっはっは、そうだろうそうだろう」 流石にここまでは想定の範囲外だったぜ…… ま、いいけどさ。 「ありがとう、先生!!」 「はっはっは、どういたしまして」 ガキがドアに手をかけた、まさに、その瞬間――――――― 「ちにゃッ!!」 ―――――おもいっきり、爆散してしまった。 目の前ではじける脳髄と、辺りに飛び散る血。 まるで噴水みたいだな、といつも思う。 一つだけ違うのは、その水が赤く濁ってたり、ぐっちゃぐちゃで、どろどろだったりしてるとこぐらいか。 ま、糞尿だとかも飛び散ってる分、キレイっつうより臭い、の方が強ぇんだけどさ。 「……ッ」 人間の血ってのは割と多い。 だけど、その内の数10%失っただけで死んじまうんだな。 あーあ、まだ噴き出してるよ。 スプリンクラーみたいで見てると面白いから、見ていようかな。 掃除とかがすげぇ鬱だけど。 ……見てたら、血が目に入った。 なかなか取れないんだよなぁ、これ。 ま、後で洗えばいいか。 辺りにこびりついてる脳漿とかの始末の方が、よっぽど大変だぜ。 …あーあ、白い壁とはミスマッチだ。 ……うーん、もうちょっと持つと思ったんだがなぁ。 やはり、ガキは耐えられる時間が短いらしい。 これで三回目だっけ、中での爆散は。 …ったく、クソガキどもめ。 もうちょっと持ってくれよな。 これじゃいっそのこと、壁紙を赤くしちまうのもいいかも。 ……いや、ダメだダメだ。 患者さんが暴れないとも限んない。 ………ま、この診療所のド真ん前で弾けられても困るしな。 その点では、ラッキーだぜ。 神様ありがと愛してるよ。 クリスチャンになってもいいってくらい愛してる。 だからこんどは俺の手を煩わせないでほしい。 表にある看板をクローズにして、っと。 ――――――――掃除に、壁の塗装、か。 あーあ、めんどくせぇな。