ヒッキ―の生き残りのための戦い

Last-modified: 2015-06-07 (日) 10:19:56
79 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/02/03(月) 21:32 [ W8dDdaT2 ]
ヒッキーは焦っていた。
友人の借金の保証人になったのが間違いだったのだ。
いや、ずっと前から自分の人生なんて……間違いだらけで。
こんなことを言ってる場合ではない、なんとかしてまとまった金を手に入れなくては。
電気もつけない暗い部屋。唯一の明かりは深夜番組を映すTV画面。
もっとも、今は気晴らしにTVを見ても、鬱な気分が深まるばかりだった。
「鬱だ。死のう……」
丈夫な麻ヒモを結んでいる時だった。
玄関のベルが鳴った。借金取りだろうか。
「おーい。居るんだろ、モララーだ。開けてくれ」
モララーはヒッキーの数少ない友人の一人だった。
もちろん部屋に入れる。
「困ってるらしいな。イイ話を待ってきたからな」
モララーの話だと、誰が一番多くちびギコやしぃ等を殺せるかを競う大会があるらしい。
一攫千金を狙うなら、これが一番だそうだ。
「でも、僕は腕力もないし……。逆にちびギコやしぃにからかわれるだけだよ」
「そうかも知れない。でも、何もしないでいるよりマシだろ」
モララーは賭けのことが詳しく書かれた紙を置いて去って行った。
ヒッキーは長い間、膝を抱えて座っていた。
頭の中を様々な思いが駆けめぐる。
やがて、ヒッキーはゆっくり立ち上がると、部屋の電気をつけた。
スイッチの音と共に、明るい光が部屋とヒッキーの心を照らした。
「可哀想だけど……やるしかないんだ」

大会当日。
紙に書かれている場所に行ってみた。
郊外の広い草原。広い円形の柵があった。
参加者は意外に少なく、ヒッキーを含めて三人だけのようだ。
そのかわり、観客は多く来ていた。
大会のルールは簡単。より多く虐殺した者の勝ち。武器や道具は自前の物で構わない。
そして、血生臭い宴が始まった。

80 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/02/03(月) 21:33 [ W8dDdaT2 ]
一番手はモララーだった。かなり虐殺なれしているらしく、余裕の表情。
武器は持たず、身軽な状態で多く殺していく作戦だろう。
柵の中に、べびギコやちびギコ、しぃ、ぃょぅなどが放された。
制限時間は一時間。それまでちびギコ達は係りに補充され続ける。
さっそく、足下に無警戒なべび達が寄ってくる。
ダッコをねだるしぃも向かってきた。
体を捻るようにして、脚をふる。しぃ達は腹部の痛みを感じる間もなく、空を舞い地面に落ちた。
足下にいるベビ達などは、ジャンプして踏みつぶすだけで充分だ。
ゴキリという音をたてて、ベビ達は短すぎた生涯を鮮やかな赤と共に終えた。
モララーの素足にニュルリとした、血がたっぷりとついた肉の感触が伝わった。
あぁ、イイ。たまらないよ、この感触。でも今は楽しんでる時間はないや。と、モララーは口の中でつぶやいた。
恐怖に怯えるぃょぅはモララーから逃げまどう。
モララーはぃょぅに向かって助走し、スライディングした。
ぃょぅの顔が地面と擦れ頬や口の皮膚がずりむけている。
血が滲む傷口に草や土がつき、さらに引きちぎれたバッタの体の一部もついている。
「ヒィィィ、た、助けてょぅ!! ぃょぅはミンナと仲良くぃょぅしたぃだけだょぅ!!」
腰を抜かし、顔面から血を滲ませているその生き物の言葉に、モララーは聞く耳は持たなかった。
ぃょぅの足を掴み、離れたところに固まっているちびギコの方に投げた。
「ぃょ!? 誰か受け止めてょぅ!!」
ちびギコ達はさっと場所を空けた。飛んできたぃょぅにぶつかるのは嫌だから。
ぃょぅの顔は柵にぶつかり、ちょうど真ん中から縦に裂けた。
出血の量が多いので、じきに息絶えるだろう。
心臓のポンプに合わせて、吹き出していた血はやがて止まった。
残った三匹のちびギコはすぐ殺されたが、ちび三人は仲がよかったらしいので、
気を利かせたモララーは彼らの内臓やら肉やらをこれでもかと言うほど混ぜ合わせた。
お互いの臓器の色合いの美しさ鮮やかさを競い合うように、草原に内臓を散りばめた。
そして、新しい獲物の補給。
一時間後、モララーは体中に返り血を浴び、肉片を足の裏にこびりつけていた。
虐殺した数は三十匹。二分に一匹殺していたのだ。
「今回は急ぎだったから、雑になっちゃたよ。
 本当は、べびやぃょぅなんかの柔らかい肉の上でじっくり居座るのが好きなんだけどね」
ヒッキーは、吐き気を必死に押さえていた。
自分の知らない外の世界では、こんな事が行われていたのだ。
でも、やらなければならない。一匹でも多く、虐殺しなければならない。
自分自身が、生きるために。