ベビ虐7-前

Last-modified: 2015-06-13 (土) 21:30:44
393 名前: ベビ虐7-前① 投稿日: 2003/06/25(水) 00:41 [ eDcSQbM. ]

ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ…。
自分の懐にコロンと潜り込んで乳を吸うベビしぃの数を、
母しぃは何度も何度も数え直している。
(計算違いだったわ…)
母しぃは溜め息をついて、必死に乳を吸うベビしぃを見詰めた。
つい3時間ほど前に生まれたばかりのベビしぃ達は、
目も開いていない状態でツィツィ泣きながら、必死で母しぃの乳房に吸い付いている。
(私の計算では一匹のベビちゃんを大事にマターリと育てる予定だったのに…)
出産前に憧れた、一人っ子のベビしぃを育てる夢。
お金が効く限りいい洋服を着せ、習い事をさせ、名門の学校に我が子を通わせる夢。
物心ついた頃から何となく漠然と考えてきた夢が、ふっと砕け散ってしまったのだ。
「デモ… ベビチャンハ チャント ソダテナキャ…」
母しぃはどうにか気を持ち直して、
自分の乳に吸いついているベビしぃ達の姿を見た。

ベビしぃ達が生まれる前にストックしておいた
オムツやミルクの缶は、日に日に底をついてきた。
「しぃ族だから」という理由から、マトモな職種にも着く事が出来ず、
子供に関しての福祉からも全く相手にされていない母しぃは、
昔貯めていた幾ばくかの貯金を切り崩し、
どうにか6匹ものベビしぃを育てていた。
しかし、その貯金ももうすぐ底を突く。
母しぃは残金がゼロに近づいていく貯金通帳と、
日に日に大きくなっていくベビ達を交互に見ながら、言い知れぬ不安を感じるのだった。

そんなある日、母しぃを尋ねて一人の客人がやって来た。
こざっぱりとしたスーツを着こなし、眼鏡を知的にかけているモララーだった。
国からの依頼で、しぃ族が抱える育児に関しての悩みをリサーチしているのだと言う。
「何か不安はありませんか。」
優しげな微笑みを湛えたモララーは、
ダンボールの中で泣いているベビしぃ達を、いとおしげに見詰めている。
「モウ ベビチャンヲ ソダテルダケノ オカネガ アリマセン」
うん、それから?と促され、母しぃは話しを続ける。
「ソレニ… ベビチャンガ コンナニ ウマレルナンテ カンガエテモ ミマセンデシタカラ… 」
母しぃはそこまで言うと、ふっと黙ってしまった。
「どうなさったのですか?奥さん?」
モララーはうつむいている母しぃの顔を覗きこんだ。
「…コンナコトヲ イウト シカラレソウナノデ イウカ イウマイカ マヨッテイタンデスガ…」
「なんですか?私で良ければ仰って下さい。」
モララーの優しい言葉に、母しぃは顔を上げた。
「ベビチャンヲ ドウニカシテ ヘラセナイカト オモッテ…」
モララーは暫くポカンとして母しぃの表情を見た。
彼女は冗談を言っているのではなく、本気なのだとモララーは感じた。
母しぃのせっぱ詰まった目、さっきから乳を求めてチィチィと泣いている6匹のベビ。
「モウスグ オムツモ ミルクモ ソコヲツクンデス…
ソレニ モシ ベビチャンガ オネツヲダシテモ ビョウインニモ ツレテイケマセン…」
母しぃはさっきから泣きっぱなしのベビ達を構うことなく話しを続けた。
「ダレカ シンセツナ ヒトガ シィノ ベビチャンヲ モラッテイッテ クレナイカト オモッテ…」
「ベビちゃんを…ですか?」
「シィィ… スコシハ ラクニナリタインデス… コノママダト ナニカ アッテモ タイオウ デキルカ ドウカ…」
モララーは今夜辺り電話しますと言い残し、帰って行った。

394 名前: ベビ虐7-前② 投稿日: 2003/06/25(水) 00:42 [ eDcSQbM. ]
夜のミルクを与え終え、すっかりベビ達がスヤスヤと眠り出した午後八時頃、
母しぃの携帯が鳴り出した。
昼間家に来たモララーからだった。
「あの、昼間の話の続きなんですが…私にベビちゃんを譲って頂けませんか。」
モララーの突然の言葉に、母しぃは暫く黙り込んだ。
「2ヶ月に一匹づつ、全部で5匹を頂きたいんです。」
「アノ…?」
「あぁ、少しではありますが、お金も出させていただきます。
少しでも、生活が楽になるようにと思いまして。」
モララーが提示した金額は、以下の通りだった。

・ベビしぃへの手付け金として母しぃに一万円。
・最初に貰うベビの代金として千円。
・以下、二千、三千、四千、五千とスライド式に代金を増やしていく。
・上の代金とは別に、毎月一万円の補助金を出す。

電話口で暫く黙っていた母しぃは、戸惑っていた。
お金と引き換えにベビしぃ達を譲る。
それじゃあまるで人身売買だ。
しかし、母しぃはせっぱ詰まっていた。
増えていく負担、ゼロに近づきつつある預金残高、毎日少しづつ成長しているベビ達…。
マトモな補助も受ける事が出来ず、苦しんでいた母しぃは決断した。
「ハイ オナガイシマス」
5匹のベビ達を手放す決心を、母しぃは下したのだ。

何日かして母しぃ宛てで、現金書留の袋に入れられた一万円が届けられた。
ベビしぃへの手付け金だった。
もうすぐ、モララーがベビしぃを連れて行く。
(どの子を譲るか決めておいてください。)
封筒の中に同封されていた紙には、モララーの字でそう書かれていた。
母しぃはダンボールの中で寝息を立てているベビ達をじっと見た。
ーーーーーーごめんね、生活が苦しいの。-------
小さな頭を、優しく撫でる。
ベビしぃはアニャァンなどと言いながら、心地よさそうに寝返りを打った。

395 名前: ベビ虐7-前③ 投稿日: 2003/06/25(水) 00:44 [ eDcSQbM. ]

次の日。
母しぃは一匹のベビしぃを抱いて、指定された公園へとやって来た。
母しぃの胸に抱かれたベビは、母を占領できるのがよっぽど嬉しいのか、
ママ、ママ、ナッコ、ナッコ。と、甘えている。
「お待たせしました。」
母しぃの後ろからモララーが声をかけた。
「今回譲っていただけるベビちゃんは、その子ですか?」
母しぃは黙って頷いた。
「シィィ… オナガイシマス」
「それでは、ベビちゃんを受け取らせてもらいます。」
「ベビチャン シアワセデ クラスノヨ…」
モララーの胸に、ベビしぃがダッコされる。
ベビしぃは初めて他者にダッコされたのがよっぽど嬉しかったのか、
ご満悦の表情を浮かべている。
「それじゃ、移動しましょうか。」
モララーはベビしぃを胸に抱いたまま、スタスタと歩きはじめた。
「アノ チョット ドコニ イクンデスカ?」
いきなり歩き出したモララーに戸惑いながら、母しぃはモララーの後をついて行った。
モララーは暫く歩いて、あるビルの一室に入っていった。
そこは何にも無い、ガランとしたただの空間だった。
モララーは母しぃにイスを勧め、座るように促した。

396 名前: ベビ虐7-前④ 投稿日: 2003/06/25(水) 00:45 [ eDcSQbM. ]
母しぃの目の前に、ベビしぃをダッコしたモララーが立っている。
(お別れをさせてもらえるのだろう)と母しぃは考えていた。
もう一度、しっかりベビちゃんをダッコしてあげよう、それからお別れをしよう。
母しぃはそう考えていた。
「見ててくださいね。ちゃんと。」
モララーはそう言うと、ベビしぃの体をヒョイと前の方へ出した。
そして、ギュっとベビしぃの頭を握りつぶした。
「アァァァァァッ!?」
メキイだかバキイという、今までに聞いた事の無いような音がした。
柔らかいベビしぃの頭は、いとも簡単に砕け散ってしまった。
床の上や窓枠に、ベビしぃの血と肉片が飛び散っている。
「あぁ、スッキリした。それじゃ、ベビちゃんのお金と、今月分のお金です。」
モララーは持参してきたウエットティッシュで手についた返り血を拭き取ると、
分厚く膨らんだサイフの中から二枚の札を取り出した。
「チョッ チョットマッテクダサイ! ベビチャンノコトヲ ソダテテクレルハズジャ…」
母しぃは部屋を出て行こうとしているモララーに掴みかかった。
「誰が育てるなんて言ったんですか?私はただ、譲って欲しいと言ったのですよ?」
「ハニャッ!?」
「私はお宅のベビちゃんを譲ってほしいと言っただけです。
引きとって育てるなんて一言も言っていませんよ?」
「ソレナラ モウ ケッコウデス! コンナニカワイイ ベビチャンヲ コロスナンテ…!」
母しぃは凄い剣幕でモララーをまくし立てた。
「しかし、奥さん。あなたはもう手付け金を受け取ったのですよ?」
「ハニャァ…」
母しぃはモララーから目をそらし、
床の上で小さな顔を粉々にして死んでいるベビしぃを見た。
小さな体をダラリと横たえ、ダッコをねだるようなポーズのまま床に倒れている。
「それに、酷いんでしょ?生活。しぃ族だから仕事につく事だって難しいし、
医療費だって教育費だってなんだって全て自己負担…。」
モララーは母しぃの心の奥底を見ぬいたように、淡々と語った。
「いつ、何が起こっても誰も助けてくれない…違いますか。
それにね、僕のストレス解消にもなる。奥さんはお金が貰える。」
モララーの言う通りだった。
母しぃは反論できないまま、モララーの後ろ姿を見送った。

母しぃは、バケモノのような姿で床に倒れている、
ベビしぃの死体をゆっくりと抱き上げると、
ボロボロと涙を流しながら、ベビしぃをギュッと抱きしめた。
「ゴメンネェェ ベビチャン… ゴメンネェ…」
涙でつっかえてそれ以上言葉にならなかった。
幾ばくかの現金を手に入れ、それと引き換えに失った命。
母しぃが想像していたのは、モララーの家で幸せに暮らすベビの姿だった。
だが、ついさっきまで無邪気にダッコをねだっていたベビは、
モララーの手によって、もう遠い空の向こうに行ってしまった。

397 名前: ベビ虐7-前⑤ 投稿日: 2003/06/25(水) 00:46 [ eDcSQbM. ]
2ヶ月後ーー。次のベビを渡す日がやって来た。
5匹になったベビしぃ達は、大分上手にアンヨやおしゃべりができるようになっていた。
「ママ チィ ナコシテ!」
「チィノガ サキ デスヨゥ!」
母しぃが外に出ようとすると、マッテェ、マッテェと言いながら、
母しぃの後ろをチョコチョコとついていこうとする。
腹を痛めて産み、愛情を掛け育てて来た我が子達が愛しくない筈は無かった。
それでも、母しぃはモララーに約束してしまった。
(2ヶ月に一匹づつ、我が子を譲る事。)
今月もまた、貯蓄残高がゼロになろうとしていた。
母しぃは、一匹のベビしぃに可愛いリボンをつけ、出かける準備をしている。
「ア! チィモ ホチィ!」
リボンをしてもらえなかったベビしぃの一匹が、
リボンをつけているベビしぃのシッポをグイグイと引っ張った。
「イチャーヨゥ! ダメェ! ダメェ!」
リボンをつけたベビしぃは、
自分の尻尾を無遠慮に引っ張る姉妹の顔をポカポカと殴っている。
「ホラ オヤメナサイ」
母しぃは、ケンカする2匹を優しく諭すと、リボンをつけたベビしぃを抱き上げた。
「イマカラ オイシャサンデ オチュウシャ シテモラウノヨ ミンナハ イイコデ オルスバン シテテネ!」
母しぃは箱の中で憮然としているベビしぃに、
お土産買ってくるからね!と言い残し、出かけていった。

2ヶ月前と同じ公園で、モララーは待っていた。
「早かったですね。今日はそのベビちゃんですか?」
光沢のあるサテンのピンク色のリボンを首に巻いたベビしぃは、
不安気にモララーの顔を見ている。
「ソレジャ ワタシハ モウ…」
母しぃはベビしぃの事をモララーに手渡すと、クルリと後ろを向いて帰ろうとしている。
自分の子が無残に殺される姿なんて、見たくなかった。
「マ… ママァ?」
「奥さん、まだお金貰ってないでしょう。」
母しぃの足が、ピタリと止まる。
「あとね、これも援助の条件に入れておいてくださいよ。
【子供の最後の姿をちゃんと見る】…ってね。」

398 名前: ベビ虐7-前⑥ 投稿日: 2003/06/25(水) 00:48 [ eDcSQbM. ]

母とは違う抱かれ心地が気持ちいいのか、
リボンをつけたベビしぃはうっとりと目を閉じて、モララーの胸に抱かれている。
母しぃはこの前と同じように、ビルの一室でイスに座っていた。
「それじゃ…今日はどうしようかな…。」
「…ウゥン?」
モララーは、寝ぼけ眼のベビしぃを床の上にそっと寝かせ、
首に巻かれていたピンクのリボンで両手を縛りつけた。
「ナァニー? ナァニヨウ!」
ベビしぃは自分の手を縛っているリボンを振りほどこうと、
手を合わせたままブンブンと振っている。
「コエ ナニヨウ! ヤメテヨウ!」
腕を縛られて不快なのか、ベビしぃは今にも泣き出しそうな顔でイスに座る母と、
モララーの姿を交互に見詰めている。
「それじゃ、時間も無い事だし…。」
モララーはそう言うと、床の上で手を上下に振っているベビしぃの耳にハサミを入れた。
ジャキンと小気味良い音が部屋中に響いた。
耳の付け根から瀧のような血を流しているベビしぃの姿があった。
「チィィィィィィィィーーーーッ! チィノ オミミィィィィィッ!?」
「ハニャァ… ベビチャン!!」
ベビしぃは床の上をゴロゴロと転がって悶絶を打っている。
腕を縛りつけられているせいで、耳の付け根を擦る事も出来なかった。
「次は、ここね。」
モララーは暴れるベビしぃの体を押さえつけると、片足を掴んだ。
珊瑚のような色の肉球が、母しぃの方に向いている。
「ア アギャジィィィィッ!?」
モララーはカッターナイフを小刻みに動かしながら、
ベビしぃの肉球を削り取った。
「アジィィィィッ! ジィィィッ!」
ベビしぃは声にならない声で泣き叫びながら、必死で母に助けを求めている。
縛られた両手をグイと突き出し、コッチに来て、助けてと言いたそうに。
だが、母しぃは、手を出す事を禁止されていた。
助けたくても、手を出す事は許されない。
目をつぶってこの現実から逃避する事も出来なかった。
ただ黙って、我が子が殺されていく様子を見る事しか出来ないのだ。

399 名前: ベビ虐7-前⑦ 投稿日: 2003/06/25(水) 00:49 [ eDcSQbM. ]
「アアン、うるさいなぁ。」
モララーはそう言って、ベビしぃの体に飛び乗った。
「グエェェェェッ!?」
葡萄酒を造るように、小刻みに足を動かしながら、
モララーはベビしぃの体を踏みつけた。
「ヴヴヴッ! グエェェェェッ!!」
ベビしぃは、口から血を吐き出しながら、ボロボロと涙を零して母しぃを見詰めた。
(ママ、どうして助けてくれないの?しぃ、痛いよ。)
ベビしぃの目が、イスに座ったまま硬直している母しぃの顔を見ている。
「それじゃ、オシボリいっきまーす!」
モララーはベビしぃの体から飛び降りると、両腕を縛っていたリボンを外し、
ベビしぃをお座りの態勢にした。
散々踏みつけられたベビしぃの体は、内臓に傷でもついたのか、
お腹全体に大きな青痰が広がっている。
「オシボリ一本目~っ!」
「チィィィィィィ…チィィィィィーーーッ!」
ベビしぃの片腕を、思い切りひねりあげる。
バキバキバキッと言う骨の折れる音が、部屋全体に響き渡った。
「2本目、いっきまーすっ!」
「アァァァァァァッ!? ヴァァァァァァッ!!」
ベビしぃの両腕は、あらぬ方向にダラリと垂れ下がっていた。
「ママァ! ママァ! ナコ ナッコォォォォォッ!」
ベビしぃは母しぃの元へ行こうと、立ちあがろうとするが、
足の肉球を抉り取られてバランス感覚を失い、
何度もヨタヨタと倒れこんだ。
「ゴメ…ベビチャ… ゴメンナサイ…」
「まだ元気なのか…一気にやっちゃおうかな…。」
モララーはそう呟くと、
母しぃの元へ行こうとしているベビしぃの体を引きずって、元の態勢に戻した。
「ヤーヨゥ! イヤァーヨゥ!」
ベビしぃは涙を目に溜めながら、首を左右に振っている。
床の上のひんやりとした感覚が、ベビしぃの背中全体にあった。
「ナコ スルカラァ! ナコ スルカラ ヤメテェェェッ!!」
「黙ってろよ、糞虫ぃがっ!」
モララーの手にしていたナイフが、ベビしぃの腹を引き裂いた。

「それじゃ、今月分の一万円と、ベビしぃの代金の二千円ね。」
モララーは椅子に座ったまま呆然としている母しぃの手に、
2枚の千円札と、一万円札を1枚握らせた。
「今回も助かったよ。おかげでストレスの解消になった。」
モララーは母しぃの耳元で呟いた。
「あ、そうそう。どうして僕が料金をスライド式にしたか…教えてあげようか?
……育てた時間の分だけ、その子の事が愛しくなるからだよ。
だから、一匹ずつ増えていく料金は、その子の思い出の精算代金でもあるんだよ。」
それじゃぁ、また2ヶ月後ね。と言い残し、
モララーはビルを後にした。
床の上にはベビしぃが無残に内臓をぶちまけられた状態で死んでいる。
思 い 出 の 精 算 代 金 ・・・。
母しぃの頭の中には、さっきモララーに耳元で呟かれた言葉が、
浮かんでは消えていっていた。


後編へ続く。