ベビ虐7-後

Last-modified: 2015-06-13 (土) 21:34:19
404 名前: ベビ虐7-中① 投稿日: 2003/06/26(木) 23:04 [ eU/fQ6fg ]
【最初に】

(あまりにも長くなってしまうので、
前、後編ではなく、前、中、後編に分ける事にしました。
ご了承下さい。)

もう、イヤだ。

我が子の内臓が床の上にデロリと転がって血の海に投げ出されていた光景が、
何度も何度も甦った。
舌足らずな言葉で、必死に自分に助けを求めていた我が子。
血まみれになって、それでも自分の方に歩いてこようと、
ダッコしてもらおうと夢中だった我が子。
親子の生活費でもあり、思い出の精算代金でもある一万二千円には、
あの子の返り血がベットリとついている。
生活の為に、自分は我が子を売った。
あれから何度も、モララーのところへ行って「もうやめて欲しい」と言おうとした。

だけど、

だけど、言えなかった。
そんな事をしたら、まだ充分手のかかる残されたベビ達を抱えて、
路頭に迷う事は目に見えていたから。

底をついたミルクと、オムツ。
腹が空いて泣き叫ぶ我が子の姿と、オロオロとうろたえる自分の姿が脳裏をよぎる。

どうすればいいのだろう?
「万が一」にならない為に、すべき事。…それは…。
母しぃはとても無力だった。


残った4匹のベビしぃ達は、もうとっくにベビと呼べる時間は過ぎ、
体も大分大きくなって、チビしぃに成長していた。
オムツもミルクも卒業して、母しぃは大分楽になった。
それでもまだ幼いチビ達は、急に熱を出したり、風邪を引いたり、
転んで怪我をしたり。まだまだ手のかかる存在だった。
「ホラ アサゴハンデスヨ」
抜けるような陽射しが眩しい初夏の朝。
母しぃ達親子は、砂糖菓子を牛乳でふやかした朝食を取っていた。
「シィ コレ ダイスキダヨ!」
母の隣に座っているチビしぃが、ニコニコ顔で皿の中身を頬張っている。
「オカアサンモ ダイスキダヨ」
母しぃは、そんな我が子のニコニコ顔に目を細め、ウンウンと頷いた。
「ホラホラァ コボレテマスヨ!」
皿の中身を夢中で食べているチビしぃの洋服に、スプーンから零れたミルクがついている。
白い襟がついていて、胸元に大きなヒマワリのアップリケがついている、
ピンクのジャンバースカート。
母しぃは、胸元に零れたミルクを甲斐甲斐しく拭き取ってやり、
水分でベタベタの口元を拭ってやるのだった。

405 名前: ベビ虐7-中② 投稿日: 2003/06/26(木) 23:05 [ eU/fQ6fg ]
「書留でーす。」
その日の午前11時頃、郵便局のバイクが母しぃ宛ての書留封筒を持ってきた。
母しぃの体が、ビクリとする。
受け取った封筒の差出人欄を見る。
達筆な字で書かれたモララーの名前。
同封されている一筆箋を見て、母しぃはうつむいた。
3匹目の我が子をモララーに差し出す約束の月。
手紙にはこう書かれていた。

「残りの子を全部連れてきてください。」と。

約束された日時に、母しぃは四匹のチビしぃ達を連れて、
いつもの公園にやって来た。
おそろいの水玉模様のサマーワンピースに身を包んだチビしぃ達は、
母しぃとの外出が嬉しいのか、目を輝かせキャッキャとはしゃいでいる。
一方の母しぃの顔は、何をされるのだろうという不安で、
書留を受け取った日から曇っていた。
「ママァ キョウハ ナニヲ チュルノ?」
まだ舌足らずな言葉が抜け切っていない一番したのチビが、
母の洋服の裾を引っ張りながら、キョトンとした表情で尋ねている。
「キョウ…? キョウハ…ネ…」
「いやぁ、お待たせしました…。」
我が子にどう説明したらいいか解からないまま戸惑っている母しぃの背中に、
モララーが声をかけた。

406 名前: ベビ虐7-中③ 投稿日: 2003/06/26(木) 23:07 [ eU/fQ6fg ]
「ア…」
一気に母しぃの表情が強張る。
「会議が長引いてしまいましてね。遅くなりました。」
約束の時間を大分過ぎてから訪れたモララーの額には、汗が滲んでいる。
「ア アノ…」
「ママァ コノ オニィタン ダエ?」
「僕かい?僕はね、君達のお母さんのお友達だよ。」
なんて説明したら良いのだろう。戸惑っている母しぃをよそに
モララーは、チビ達と目線を合わせるようにしゃがみこむと、ニッコリと微笑む。
「オカアサン シィタチ モウ オナカ ペコペコ ダヨゥ」
「ソウダヨウ モウ オヒルダヨウ」
チビしぃ達は、グウグウなるお腹を擦りながら、その場にペタリと座りこんだ。
「ダメヨ ソンナトコロニ スワッタリシチャ…」
母しぃは、すっかり地べたに座りこんだチビ達を立たせると、
お尻についた土埃をほろった。
「お腹減ったの?それじゃ、僕がご馳走してあげるよ!」
「ヤッタァ!」
チビしぃ達は嬉しそうにピョンピョンと飛び跳ねると、
モララーの手を握ってどんどん歩いていった。

「オイシィ!」
チビしぃ達は、モララーがご馳走してくれた(しぃちゃんランチ)を、
おいしそうに頬張っている。
スパゲッティのケチャップで口の周りを真っ赤にして、ご満悦だ。
「よかった!チビちゃんたち、かわいいねぇ。」
モララーは、上手にランチを頬張るチビ達の姿に目を細めた。
一方の母しぃは、コーヒーを啜りながら俯いたまま、
我が子とモララーの会話を黙って聞いている。
自分達がこれからどうなるのか全く分かっていないチビしぃ達は、
ベッタリとモララーに甘えていた。

たっぷりお腹を満たしたチビしぃ達は、
モララーに連れられてビルの一室に入っていった。
「チビちゃん達、お手伝いできるかな!?」
少し膨らんだ麻袋を抱えたモララーが、部屋の中に入って来た。
「ハァーイ!」
チビしぃ達は、モララーの質問に我先にと手を挙げた。
母しぃは麻袋を見ないように目をそらす。
麻袋の中には、レストランを出る時に母しぃが選んだ、
今回の生け贄とも言うべきチビしぃが、
手足を縛られ、口をガムテープでふさがれて放りこまれていた。
「それじゃ、この袋を僕が(いいよ)って言うまで踏んでくれるかな?」
モララーからのお願いに、早速袋の上にチビしぃ達が飛び乗った。
「フゥミ フミ~♪」
「タノシイ ダッコデ マターリ ハニャニャン♪」
「ダッコハ エガオニ ナリマスネ♪」
チビしぃ達は、自分の姉妹が放りこまれている麻袋を歌を歌いながら踏みつけている。
母しぃは強張ったままの表情で、麻袋を踏みつけるチビしぃ達の足元を見詰めていた。
「みんな上手だね!ホラホラ、頑張って!」
モララーは手を叩きながら、チビしぃ達にピッチを早めるように促した。
チビしぃ達の足は、無遠慮に麻袋の中の姉妹を踏みつけている。
モララーは、虐殺の手助けをさせる為に一家全員を呼び出したのだった。

407 名前: ベビ虐7-中④ 投稿日: 2003/06/26(木) 23:08 [ eU/fQ6fg ]
20分程過ぎた頃、モララーはチビしぃ達の頭を撫で、
もういいよ、頑張ったねと言って3匹を退室させた。
母しぃの目の前には、うっすらと血の滲んだ麻袋が転がっている。
「どうなってるかな。開けてみましょうか。」
モララーはニヤニヤしながら母しぃの目を見た。
母しぃは伏し目がちで、我が子の入っている袋から目をそらしている。
「ねえ、ちゃんと見てるって約束でしょ?」
「ハニャァ…」
袋の中から小さな体がズルリと落ちてきた。
顔は真っ青になって、散々踏みつけられたお腹は、
血が滲んで新品のワンピースを汚していた。
「まだ息がありますよ。アレだけ痛めつけられといて…本当に糞虫だな…。」
口をふさいでいたガムテープを外されたチビしぃは、
息も絶え絶えに母しぃの姿を見詰めている。
「このままにしとくのも可哀想ですね。」
そう言ってモララーが手にしたのは、2キロほどのレンガだった。
「アァァッ! イヤァァァァッ!」
母しぃは思わず目をそむけた。
モララーは、倒れこんでいるチビしぃの頭部を目掛け、何度もレンガを振り下ろした。

「今回も楽しませてもらいましたよ。約束の一万と三千円です。」
モララーは足をガクガクと震わせたまま床にへたりこんでいる母しぃの前に、
一万三千円をそっと置いた。
そして、ゆっくりとドアを閉め、部屋から出て行った。
ドアの向こうからは、楽しそうにはしゃぐチビしぃ達の声が聞こえてくる。
母しぃの目の前には、脳天を割られ、血みどろになったチビしぃが
目からうっすらと涙を零して転がっている。
床の上に広がる血液には、飛び散った脳味噌。
母しぃは震える手でチビしぃのかけらをすくうと、詫びるように涙を零した。


中篇終了。後編へ続く。


408 名前: ベビ虐7-後① 投稿日: 2003/06/27(金) 01:45 [ hxnpGTfM ]
まだ物心がついていないチビしぃ達に、
母しぃは感謝していた。
最初、姉妹の一匹がいない事を訝しがっていたチビしぃ達だったが、
何時の間にか一匹の姉妹のことをすっかり忘れ、
3匹で何事も無かったように仲良く遊んでいた。
母しぃは何度も殺された3匹の我が子の事を夢に見た。
たすけてぇ、たすけてぇと泣きながら、自分に手を伸ばしてくる夢だった。
その度にどっさりと汗をかいて目が醒める。
そして、スヤスヤと寝息を立てている3匹のチビ達を見て、
申し訳無いような気分でいっぱいになるのだった。
(ごめんね、もう少しお金さえあればこんな事にはならなかったのに…)
母しぃは詫びるような、言い訳をするような気分でチビ達に呟いた。

もう、これ以上我が子を失いたくないーーーーーーーーー
母しぃはあれから何度も思った。
もう、モララーに我が子を譲るのは辞めにしよう。
だがそれは、同時に自分が野垂れ死ぬ事を表していた。
母しぃは怖かった。
自分が死ぬのが、自分が消えてしまうのが。
だから来月の約束日には、3匹のうちの1匹をモララーに差し出すだろう。
そして、約束の代金と引き換えに、自分が生き延びる生活を手に入れるのだろう。

409 名前: ベビ虐7-後② 投稿日: 2003/06/27(金) 01:46 [ hxnpGTfM ]
あの日から既に2ヶ月が過ぎ、
また、約束の日がやって来た。
母しぃは、この前と同じように、チビしぃ達におそろいの洋服を着せて。
久しぶりのお出かけに浮かれているのか、
チビしぃ達は楽しそうに歌を歌っている。
今回も、モララーはチビしぃ達を全員連れて来いと言って来た。
3匹の我が子が今日着ている洋服は、ついこの間買ってあげた、
デニム地にフリンジのついたジャンバースカートだ。
ビロード生地で出来た赤色のリボンが胸元で揺れている。
スカートを翻しながら、チビしぃ達はクルクル回ってみたり、
バレリーナのようにポーズを取って見せた。
「カワイイネ! チビシィチャン タチハ シィノ タカラモノ ダヨ!」
母しぃは、上擦った声でチビしぃ達に語りかけた。
母に誉められて嬉しいチビしぃ達は、キャッキャとはしゃいでいる。
「こんにちは!」
後ろからかけられた挨拶に母しぃは体をびくつかせた。
「アッ! オニイチャンダ!」
チビしぃ達はチョコチョコとモララーの方に寄って行った。
モララーは優しくチビしぃ達の事を抱き上げると、
元気にしてた?可愛いお洋服だね。ママが買ってくれたの?などと話し掛けている。
チビしぃ達はすっかりモララーに懐いていた。
母しぃはそんな我が子達の姿を見て目を背けていた。

410 名前: ベビ虐7-後③ 投稿日: 2003/06/27(金) 01:46 [ hxnpGTfM ]
この間と同じように、モララーと母子は食事を済ませ、
あのビルに入っていった。
ただ、今回はいつもの何も無い部屋ではなく、
ラジオ局のスタジオのように真ん中からガラスで仕切られた小さな部屋だった。
「チビちゃんたちは、コッチのお部屋ね。ママと僕はこっち。」
モララーはチビしぃを自分たちの部屋と反対側の部屋に入れると、
用意していた簡易イスに母しぃを座るように促す。
母しぃとモララーが入った方の部屋には、
ラジオ局で使うようなマイクカフが備え付けられていた。
チビしぃ達は、自分と母しぃを隔てるガラスの壁をドンドンと叩きながら、
不思議そうな表情で母しぃ達を見ている。
モララーは、手元にあったマイクカフを上げた。
「チビちゃん達、聞こえてるかな?」
自分たちの上から聞こえるモララーの声に、チビしぃ達は戸惑っている。
「今日は、チビちゃん達に殺し合いをしてもらいます。」
「チョ チョット ドウイウコトデスカ!?」
母しぃはさっとイスから立ちあがり、モララーの腕を掴んだ。
「最後まで生き残ったチビちゃんを、ダッコしてあげます。」
モララーは、母しぃを無視するように続ける。
「ダッコ!?」
「シィ ダッコシテホシィ!」
「ダッコハ シィノ モノダヨ!」
ダッコと言う言葉に反応したのか、チビしぃ達は目を輝かせた。
チビしぃ達は、殺し合いがどんな物であるのか分かっていないようだ。
「みんなの前に、勇者のナイフがあります。自分以外はモンスターなんだよ。
そのナイフで悪いモンスターをやっつけるんだよ。」
モララーはすがりつく母しぃを無視し、チビしぃ達に語りかける。
「僕が(はじめ!)って言ったら、戦いの始まりだからね。
それじゃ、ちょっと待っててね。」
モララーはマイクカフを一旦offにすると、
自分の腕にすがりついている母しぃの手を振りほどいた。
「コロシアイナンテ…! コロシアワセルナンテ…! ヒドスギマス! ヤメテクダサイ!」
母しぃは涙で声にならない声で叫ぶ。
「みんな、準備はいいかな?それじゃ、いい?」
モララーは、そこで一旦大きく息をした。
ガラス越しに見えるチビしぃ達は、勇者に成り切ってナイフを構えていた。



「はじめ!」

411 名前: ベビ虐7-後④ 投稿日: 2003/06/27(金) 01:47 [ hxnpGTfM ]

「エェーイ! モンスターメ! シィガ セイバイシマスヨ!」
「ソッチコソ!」
ガラス越しで我が子達が殺し合いをしようとしている。
ナイフをブンブンと振りかざし、オモチャだとでもおもっているのだろう、
刃物を自分の姉妹に向けている。
モララーはその様子を満足げに眺めていた。
「アアァ…シィノ チビチャン… ドウシテェ ドウシテェ…?」
母しぃはイスから崩れ落ちるように床に座りこみ、頭をフルフルと動かした。
「僕、やってみたかったんですよねぇ。こういうの。」
涙でグチャグチャになった顔を母しぃは上げた。
「バトルモナイヤルでしたっけ…?ほら、みんなで殺し合いするヤツ。
友達だとか、仲間とか言ってた奴らが武器を持って殺し合うんですよ。」
「ソンナ…ソンナ… ヒドイヨゥ ヒドイヨゥ…」
母しぃは顔を被って泣きはじめた。
「僕ねぇ、飽きちゃったんですよ。イチイチ2ヶ月ごとに糞虫達を殺すのがね。
それにね、酷いのはそっちも同じじゃないですか?
あなたは生活の為に我が子を僕に差し出した。」
ガラスの向こうでは、1匹のチビしぃが躓いて転び、
他の姉妹からの総攻撃を受けていた。
1匹が転んで泣いているチビしぃの体に馬乗りになって、
背中を何度もナイフで突いている。
自分の手についた返り血も勇者の証しだと言わんばかりに気にしていない。
もう1匹のチビは転んでいるチビしぃのアンヨを踏みつけている。
「イダァァァァーーー! ヤメテェェェェーーーー!」
「モンスターハ ヤッツケルノ! ダッコハ シィノ モノダヨ!」
ガラスの向こうから聞こえてくる生々しい音と叫び声に、
母しぃは耳をふさぐ。
「あなたは我が子の事をダイジナ タカラモノ だと言いましたね?
ほら、見て御覧なさいよ。あなたの大事な宝物が殺し合いをしてますよ!?」
モララーは耳をふさいで蹲る母しぃを嘲笑うような声で話しかける。
「ヤメテェ ヤメテェ ヤメテェーーーーッ!!」
母しぃはモララーの言葉を払拭するように、頭を左右に激しく振った。

412 名前: ベビ虐7-後⑤ 投稿日: 2003/06/27(金) 01:49 [ hxnpGTfM ]
もう息をしていない自分達の姉妹が床に倒れている。
それを無視するように、チビしぃ達はナイフを振りかざしている。
「モンスターハ ヤッツケナイト イケナイノ!」
「セイギノ ミカタハ ツヨイノ!」
死の概念など無いのだろう。
殺し合いとはどういうことなのか、
自分の姉妹が血だらけで倒れていて、もう動かないという事はどういう事なのか。
2匹のチビしぃ達は、お互い必死になってナイフを振りかざし続けていた。
「ほら、ダッコはどっちのものかな?頑張れ、頑張れ!」
マイクカフを上げたモララーが、2匹の殺し合いをせかすように声をかける。
「ダッコハ シィノダヨ!」
「チガウヨ! シィノダモン!」
2匹は言い合いながら、血の付いたナイフを振りかざす。
母しぃはイスに突っ伏して泣いていた。
「自分の利益の為なら、自分の姉妹でも平気で殺すんですね。しぃ族って。」
冷ややかな声でモララーが言った。
「怖いなぁ…。」
「コンナコトヲ サセテルノハ ソッチデス!」
母しぃは声を振り絞ってモララーに反論する。
「よく言いますよ。自分の子を売ったお金で生活してたクセに。
どうせいずれは子供は1匹だけにする予定だったんでしょ?」
モララーはフフンと鼻で笑って母しぃを見た。

「シィィィィィィィィィィィィッ!?」
胸を一突きされたチビしぃが、絶叫して床に倒れこんだ。
ナイフを手にしたチビしぃが、肩で息をしながらその様子を見ている。
ナイフには、ベットリと血がついて滴り落ちている。
「ヤッタヨウ! ワルイ モンスターヲ ヤッツケタヨ!」
ガラスの向こうにいる母とモララーに血の付いたナイフを見せながら、
(この戦いに勝利した)チビしぃが嬉しそうに叫んでいる。
「おめでとう!さすがに勇者は強いなぁ!」
「ハヤク ダッコシテ! ダッコ ダッコ!」
チビしぃは2匹分の返り血を浴びながら、嬉しそうに飛び跳ねた。
「今からそっちに行くからね!」
モララーは母しぃを引きずるように、部屋を出て、
チビしぃが待つ方の部屋へと入っていった。

「ヤッタヨ! シィ ヤッタヨ!」
チビしぃは嬉しそうにモララーに飛びついた。
母しぃは転げるように部屋に入り、
床に倒れている2匹のチビしぃを抱きかかえて、わんわんと泣いた。
「チビちゃんは本当の勇者だね!悪いモンスターをやっつけたね!」
モララーに誉められたのが嬉しいのか、チビしぃはご機嫌だ。
床の上では、母しぃが涙を零しながら、血だらけの姉妹を抱きしめている。
「ネェ ドウシテ ママ ナイテルノ?」
「さぁねぇ…どうしてだと思う?」
モララーはチビしぃの頭を撫でながら、優しく問いかけた。
「ワカンナァイ… ポンポン イタイ イタイッテ ナイテルノカナ?」
「違うよ。チビちゃん達がもう目を覚まさないから…だよ。」
モララーはニヤっと笑いながら、チビしぃに話しかける。
「ドウシテー? オネンネジャナイノ?」
「違うよ。チビちゃん達は死んじゃったんだよ。
もう、みんなで一緒に遊べないんだよ?ほら、血がイパーイ出てるだろ?」
モララーは床に溢れている2匹の血を指差した。
「ホントダァ…」
「どうしてこうなったか、知ってる?」
「ワカンナァイ」
「それじゃ、教えてあげようか?知りたい?」
モララーはヒソヒソ話をするように、そっとチビしぃの耳元に口を近づける。
「オシエテ! オシエテ!」
モララーは、せかすようにアンヨをパタパタしているチビしぃに呟いた。


「チビちゃんが、殺したからだよ。」

413 名前: ベビ虐7-後⑥ 投稿日: 2003/06/27(金) 01:53 [ hxnpGTfM ]
数ヶ月後、母しぃは望み通りの一人っ子のチビしぃとの生活を手に入れた。
だがそれは、大事な5匹の我が子を失って手に入れた生活だった。
そして、予想もしなかった困難も手にしてしまった生活だった。
姉妹同士の殺し合いで生き残ったチビしぃは、
あの日からもう、何も語ろうとしない。
近所にある言語障害の訓練所に、チビしぃは通っている。
あの時モララーに言われた言葉や光景がフラッシュバックするのだろう、
チビしぃは毎晩に泣き叫んだ。
その度に母しぃは悔やんだ。
あの時、無理にでも3匹を止めていたら…。
自分の身惜しさに、何もしなかった自分。
どうしても楽な暮らしがしたくて、
殺されていく我が子達を見殺しにしてきた自分。
いくら後悔しても、もう戻らない我が子達。
あの日からすっかり表情も無くしたチビしぃは、
カウンセラーの先生の問いかけにも反応しない。

母しぃが望んだ生活の果てに待っていたのは、
もぬけの殻になった我が子との暮らしだった。
こんな結果になろうとは、母しぃは想像出来なかっただろう。
想像していたのは、きっと、優雅で楽しい母子2匹での生活。
だが現実は、想像していたのとは全くかけ離れた地獄のような日々だった。

だけど、きっと。
モララーは知っていたのだ。
この親子の結末を。
我が子を失ってまで手に入れる生活が、どんなものかを。
だから、モララーは母しぃに誘いかけたのだ。
しぃ親子の生活を破滅に導くために…。


「子供を、譲って欲しい」と…。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー完ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー