マターリの神へ

Last-modified: 2015-06-23 (火) 00:27:55
212 名前: 性事家 (ljhgl5wM) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:15 [ VJ/enW8g ]
地下室で体を密着させる男女が一組。

「では、遠慮なく」
義故内がしぃ子を立たせ、彼女の背中に手を回す。

次の瞬間、彼女は脇腹に違和感を感じた。
いつもと違う感覚・・・・・・。

ふと目をやると、そこには鋭利な刃物が突き刺さっていた。

彼女は目の前の光景を理解できなかった。
だが、思考が現実を受け入れる前に突き刺さった刃は垂直に動かされ、それに合わせ激痛が襲ってくる。
「シイィィィィィィィ!」

彼が刃を抜いた後には細長い“穴”が出来上がっていた。
その傷口からは、止め処無く鮮血が溢れる。

彼女はその場に倒れこむ。

「ビョ、ビョウインニ・・・ビョウインニ・・・。」
自分をこんな目にあわせた男を罵る事もせずに、ひたすらに“病院”という単語を繰り返す・・・・・・。
先程までの高飛車な女がそこには無い事に、彼は少し落胆した様子で問いかける。
「あれ? 怒らないんですか? かわいいしぃちゃんをこんな目にあわせたのに・・・虐殺厨とかって罵らないんですか?」

その言葉は彼女の耳には届いていない様で、ただ、
「・・・・・・ビョウイン・・・シンジャ・・・。」
と、力無く呟くだけであった。

少し残念そうな表情を浮かべていたが、彼の男性自身は大きく隆起していた。
「まあ、いいでしょう・・・。私の方は大分興奮して来ましたよ・・・。」
彼女の傷口に手をあてると、彼に笑みがこぼれる。
「おやおや・・・貴女の方も大分濡れてきましたね。 互いに・・・準備は良いようですね。」

そう言うと彼は、大きく膨張したモノを彼女の傷口にあてがい、そして挿入し始めた。

彼女は、悲鳴を上げない。
ただ、小刻みに体を揺らすだけ。

「おや・・・・・・? 痙攣ですね・・・声も出ませんか?」
彼は、腰を前後に動かす運動を繰り返す。
「出来れば、喘ぎ声の一つでも出しては頂けませんか? 相手の女性が無言ですと寂しいのですよ。男として。」

「・・・・・・ナンデ・・・?」

「おや? 感覚に慣れてきましたか・・・。 さぁ・・・美しい声を・・・聞かせて下さい!」
言い終わると共に、彼の腰つきは激しさを増した。

彼女の絶叫がこだまする。

そして・・・静かになった。

「おや・・・限界の様ですね。」

213 名前: 性事家 (12AQRsvY) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:16 [ VJ/enW8g ]
キョウモ オトコヲ マツノ。

シィコハ コウビデ オカネ モラウノ。

シィコハ トッテモ カワイイカラ オカネモ タクサン モラウノ。
 
デモ ヨノナカニハ ビンボウニンガ オオイカラ ナカナカ オキャクガ イナイノ。

ビンボウニンハ ヒガンデ コウイウノ。

「お前なんぞにこんな金が払えるか! 鏡を見ろ!」

イヤネ ビンボウニンハ。

アラ? チョット コノミノ オトコガ・・・。

コエ カケヨウ!

「ネエ コウビ シヨウヨ!」

・・・・・・アレ?  ハンノウ ヘンネ。

「カワイイ シィチャンガ サソッテ アゲテルノヨ? ソレニ オウジナイノハ ギャクサツチュウト ホモヤロウ ダケヨ!」

214 名前: 性事家 (y7P56WJ2) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:16 [ VJ/enW8g ]
最近はやけに“あの”衝動に駆られる。
だが、あまり派手にやると足が付く可能性もある。
如何する・・・どうする・・・ドウスル・・・。

ン? 何だ・・・しぃか・・・。
コウビ・・・だと?

チャンスだ・・・だが、こんな者でも命ある者。
ここは自制・・・ナニィ? 虐殺厨? ホモ野郎?

それに自らをかわいいなどと・・・。
何と傲慢な女・・・いや、メスだろう。
このメスなら・・・良いか。

我が欲求不満・・・解消させて頂く!

215 名前: 性事家 (Y3.PrGQw) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:16 [ VJ/enW8g ]
さて、この後に彼女は様々な事を知る事になる。

自分が誘った相手の名は義故内だということ。

彼はその若さには不釣合な程の大金持ちで、大きな屋敷に住んでいること。

そこには一人で住んでいること。

通いの使用人がいること。

だが彼女が目を輝かせたこれ等の情報、実はさして重要でない事に彼女が気付くはずもなく、自らの運命を左右する話は半分聞き流し、肯定を意味する生返事を返すだけであった。
その質問とは、

彼は基本的に地下室でのプレイを好むこと。

彼には変わった性癖があり、それに応じてくれるなら謝礼ははずむということ。

そしてその結果は・・・最初に行き着くという訳だ。

さて、過去を顧みるだけでは面白くない。
ここで少々時間をとばしてみよう。

216 名前: 性事家 (mkg8RcNg) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:17 [ VJ/enW8g ]

「気が付いた?」

「・・・! オナカノ キズ!」

「大丈夫。ちゃんと治療されてるみたいよ。」

「ココハ ドコ?」

「地下牢。」

「アナタハ ダレ?」

「しぃ奈。 ここに居る理由は多分貴女と一緒よ。」

「ナンデ カワイイ シィコチャンガ コンナメニ アウノヨ!?」

「さぁ・・・? それは直接あいつに聞いてちょうだい。」

「アンナヤツ ギャクサツチュウニ・・・アラ? アナタノ オナカ・・・ニンプサン?」

「そうよ。」

「マサカ チチオヤハ・・・。」

「あいつの子じゃないわ。 レイプされたのよ。あいつの目の前でね。」

「エ・・・。」

「三人の男に・・・・・・何度もね。輪姦ってやつよ。 当然、父親は分からないわ。」

217 名前: 性事家 (gTmdtuFc) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:17 [ VJ/enW8g ]
突然、扉が開いた。
そこには義故内が立っていた。

「コノ ギャクサ・・・ッツ!」
猛然と襲い掛からんとするしぃ子は傷口を押さえ倒れ込む。

「ああ、縫合したばかりだから激しい動きは体に良くありませんよ。 安静にしていて下さい。まだ死なれては困りますから。」
義故内は余裕の笑みを浮かべながらしぃ子に語りかけた。

その直後しぃ奈に視線を向ける。
「御腹のお子さん、随分成長しましたね。 これぐらいならもう十分でしょう。」
そう言ってしぃ奈の腕を掴み、牢の外へと引っ張り出してゆく。

「私をどうするつもりなの?」
それまで黙って義故内を睨み付けていたしぃ奈が口を開く。

「なに、そう警戒しないで下さい。 最後のお勤めです。 終わったら開放して差し上げましょう。」
義故内の意外な言葉にも、しぃ奈は警戒を解こうとはしない。
「そんな言葉・・・信用出来ないわ。」

「だが、貴女に拒否権はありませんよ?」

有無を言わさずにしぃ奈を牢から連れ出し、扉を閉める。

険しい表情を和らげ、しぃ奈は語りかける。
「貴方は何故こんな馬鹿なことをするの?」
義故内の口元が軽く動いた感じがした後、彼は尋ねた。
「馬鹿・・・? 失礼だが君の最終学歴は?」

今更馬鹿か否かを学歴で判断する男にうんざりしつつ、表情一つ変えずに答える。
「・・・大卒よ。 残念だったわね。高卒や中卒じゃなくて。」
やや驚いたといった表情で、義故内は更に質問を続ける。
「ほう・・・他のしぃ族とどこか違うと思っていたが・・・で、どちらの? ちなみに私はゾヌボンヌ大です。」
一瞬、躊躇いの表情を浮べた後、
「・・・しぃ総合大学。」
と力なく答える。

その言葉を聞いた瞬間、こらえ切れぬばかりに表情を緩める。
「・・・ふふふ、学生達の低偏差値ワンダーランド。学び舎か遊び場か区別がつかない所から、ついた通称がシーソー台(大)・・・。」
「・・・仕方ないでしょ。 しぃ族が奨学金を貰えるのあそこだけなんですから。」
あくまで静かに抗議する。

「なるほど、そんな大学を出ても就職口などあるわけが無く、こうして娼婦に身をやつしたと・・・。」
義故内は、愉快で仕方ないといった表情で言葉を続けた。
「・・・・・・。」
しぃ奈は黙したままで彼を睨み付ける。
そんな詩しぃ奈を気に入ったのか、義故内は饒舌だ。
「貴女は中々面白い。 何か私に聞きたい事はありますか?」

しぃ奈は少し考えてから尋ねた。
「貴方、何故こんな事をするの?」
「快楽です。」
義故内の即答。

暫くあっけに取られた後、しぃ奈は搾り出すように言葉を発する。
「私たちは苦しいのよ?」
「それこそ快楽です。」
にやけながらの回答。

ついにしぃ奈の顔が険しくなる。
「・・・サディスト。」
「見くびらないで頂きたい・・・・・・そんな生易しいものじゃありません。」
義故内は余裕の表情のままである。

しぃ奈は遂に、落胆の表情を浮べる。
「私たちのことなんて全く考えていないのね。」
「そんなことはありませんよ。 私は貴女方で・・・失礼、貴女方と楽しむ時は常に貴女方を意識しています。」

しぃ奈は不思議そうな顔で尋ねる。
「・・・何故そんな嘘をつくの?」
「嘘じゃないですよ。 そうだ、私が大好きな詩を紹介しましょう。 私は貴女方と楽しむ時は常にこの詩を意識しているのです。」

218 名前: 性事家 (FpJIkmBA) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:18 [ VJ/enW8g ]
『歴史』  モナ島 モナ夫

気も狂わんばかりの母の痛みと共に

君はこの世に生を受けました

生まれたばかりの君は

自らの力では何一つ成せる事無く

父と母によって君の生命(いのち)は少しずつ育まれていきました

やがて少しずつ

そう

少しずつ

自分といふものの輪郭を

君は知っていきました

やがて君は表に出て

親の世界とは別の世界

自分自身の世界を作るようになりました

時には反抗しました

時には涙しました

少しずつ

少しずつ

君は成長していきました

その時間の重み

さまざまな出会い

さまざまな別れ

その積み重ねが

君が君であるために

目に見えないところで折り重なって存在する

歴史

219 名前: 性事家 (H5xNsZpc) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:18 [ VJ/enW8g ]
「その話を意識してるの?」
うんざりした様子でしぃ奈は口を開く。

「ええ。良い詩でしょう? モナ島モナ夫が嫁ぐ孫娘に贈った詩です。」
義故内は満足げだ。

「そんな詩を意識しながらよく殺せるわね。」
「やはり、理解なさって頂けていない様ですね。」
「してもらえると思ったのかしら?」

やれやれといった表情で義故内が語りだす。
「いいですか? 個人の歴史は決して金では買えない重いものです。」
一息ついて、背筋が寒くなる様な笑いを浮かべながら義故内が言葉を放つ。

「その全てが私のせいで・・・。」
徐々に口調が興奮をおびてくる。
「目の前で一瞬にして消滅するなんて・・・。」
目を細め、恍惚とした表情を浮べる。

次の瞬間、一気に目を見開き
「思わず精がこぼれそうになります!」

しぃ奈の顔に最早表情は無く、ただ一言
「本物の変態ね。」
と発するに留まった。

「さて、お話はこの辺にしておきましょう。 覚悟は出来ていますか?」
そう言うなり義故内は全ての着衣を脱ぐ。
彼のモノは、既に興奮状態に入っていた・。

しぃ奈は
「馬鹿にしないでよね。 覚悟くらいとっくにしてるわ。」
と強がりつつも体は後ずさりをする。

「実は、貴女は何もしなくていいのです。 楽に・・・していて下さい!」

言い始めると同時に腕を振り上げ、言い終わると同時にその腕は振り下ろされた。

しぃ奈の腹部に美しい線が現れ、そこから綺麗な赤い液体が溢れてくる。

「え・・・・・・?」

振り下ろされた義故内の手には短刀が握られていた。

しぃ奈の体から力が抜け、膝をつく。
それを義故内が優しく支える。

「失礼しますよ・・・せいっの!」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」
義故内はしぃ奈の傷口に手を突っ込み、『べびしぃ』とすら呼べない成長途中の胎児の頭を掴み、傷口付近まで引っ張り出す。
そして、充分に興奮した男性自身を胎児の小さい小さい口へと挿入する。

「うぅぅぅ・・・締まるなぁ・・・。」
天を仰ぎ、恍惚とした表情で息を吐きながら義故内は呟く

義故内の腰つきは最初はゆっくりであったが、徐々に激しさを増してゆく。

欲望のはけ口となった胎児は、生きているか死んでいるかさえわからない。

しかし、血液とともに命が体外へと流れ出ていくしぃ奈にとって、それは最早どうでもいいことであった。

「覚悟は出来てる。」
それは強がりに過ぎなかった。
こうして命が確実に終わりを告げようとする中で、彼女の生へ執着は強まっていく。

220 名前: 性事家 (2Yq50MW6) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:19 [ VJ/enW8g ]
イキタイ?

いきたい・・・。

生きたい!

私が、こんなところで終わるはずが無い・・・。

私は、他のしぃ達と違って努力をしてきた・・・。

しぃ族に生まれたハンデを跳ね返してやりたかった・・・。

中学・高校と成績はトップだった・・・。

モナーやモララーといった多種族は私を生意気だと虐めた・・・。

同じ仲間であるはずのしぃ族からは嫉妬を受けて仲間外れにされた・・・。

それでも私は耐えてきた!

努力を怠った日は無かった!

まともな大学に行けば、きっと、まともな生活ができると信じていた。

でも、大学受験を目前に母が死んだ・・・。

今、私を苦しめているような奴に殺された・・・。

私は・・・シーソー台に行くしかなかった・・・。

・・・・・・。

でも、諦め切れなった・・・。

まともな大学へ行く為の学費を稼ぐ為に始めたこの仕事。

その最中にこんな事になるなんて・・・。

ああ・・・マターリの神さ・・・いや・・・止めよう。

私は、神なんかに祈った事は無い。

そんな暇があれば努力をした。

今更・・・現に、私の命は今終わろうとしているじゃないか。

マターリの神なんていない・・・。

居たとしても・・・・・・役立たずよ。

221 名前: 性事家 (ljhgl5wM) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:20 [ VJ/enW8g ]
義故内の吐息がどんどん荒くなる。
「キツイ・・・穴に・・・羊水の・・・ローション・・・タマリマセン・・・。」

既に胎児の口は裂け始めていた。
胎児の頭を掴む両手にも力が入る。

「ああ・・・で、出ますよ・・・はうっ!」
射精の瞬間、手にこれまでに無いほどの力が加わり、胎児の頭は砕け散った。

母子の血液、未完成のべびしぃの物、骨・脳・皮膚・目玉・舌・・・かつて頭部を構成していた部品たちがぐしゃぐしゃに潰れたもの、そして・・・精液。
それら全てが混ざり合った物が床に落ちる。

膝立ち状態で壁にもたれるしぃ奈は辛うじて生きている様である。
疲れて、壁に寄りかかり休んでいるように見えなくも無い。
血まみれで、腹部に穴が開き、そこから頭の潰れた胎児がへその緒によって吊られていなければの話であるが・・・。

一種の“返り血”で血まみれの義故内は、非常に穏やかな表情でしぃ奈に語りかける。
「長い間ご苦労様でした。貴女はもう、自由です。 どこへなりとご自由に・・・今から病院に向かえば助かるかも知れません。」

しぃ奈の中に微かな希望の光が生まれた瞬間であった。

「では、これでお別れです。 もうお会いすることもないでしょう。」
そう言うと義故内は地下室から出て行った。

222 名前: 性事家 (ljhgl5wM) 投稿日: 2003/12/27(土) 03:20 [ VJ/enW8g ]
神は居た。

私は助かった。

もう自由だ。

そうだとも。

いつも必死に努力してきた私がこんな所で死ぬはずないんだ。

・・・・・・え?

お別れって・・・助けてよ!

私を病院まで連れて行ってよ!

ああ・・・。

待って・・・。

行かないで!

行かないで!!

行かないでぇぇぇぇぇ・・・・・・。

・・・・・・。

・・・・・・。

・・・・・・やっぱり、神は居なかった・・・。


第一部 完