モララーの森

Last-modified: 2015-06-25 (木) 22:51:17
607 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/04/09(日) 22:30:01 [ NaLg3lgQ ]
モララーの森




ある天気のいい日、若い2人組が森にやってきた
この2人、なにを隠そうこの森にハンティングに来たのだ
得た獲物は現金と引き換えに専門の業者に引き取られる
もちろんしとめた獲物の価値でもらえる金額は違ってくる

キキー と音を立て1台のステーションワゴンが森の前で止まった
「なるべく少ない弾数でし止めろよ」
ギコは車から降りるなりそう言った
「まかせなさい 私の銃の腕は・・・・」と、助手席から降りたしぃが言いかけた言葉をギコが遮った
「わかった、わかった、さっさと行くぞ」
ギコはそう言うとさっさと森の中に入っていった
「まったく・・・せっかちな人だこと」
しぃはそう呟きギコの後を追った
森の中は驚くほど静寂していた
鳥の鳴き声すら聞こえない
「なんだか変ね・・・・」
しぃが小さな声で言う
「こいつはまさか・・・アレかも知れんぞ・・・・」
ギコの言っているアレとはモララーの大群の事だ
数年に1回この森にやってきてはあらゆる動物や草木を食べつくし汚物を撒き散らす
こいつらが去った後の森といえばまるで地獄だ
なんせそこらじゅうに動物達の死骸やモララーのした糞が散らばっているのだから
モララーの大群のことはもちろん町や国も知っているのだがあまりの数の多さゆえ中途半端な軍隊では負けてしまうし、だからと言って森を焼き払う訳にも行かない
どうしようもない状態なのだった
そしてこの町では古くから森がやたらと静かな時はやつらが来る前触れだと言い伝えられてきたのだ
2人の間にしばしの沈黙が続いた
「帰るか 否か」
2人ともこの事を考えていた
「行きましょう」
しぃが沈黙を破った
「ああ!ゴミ虫なんかにいつまでもやられてるなんて尺だからな」
ギコは強めの口調で言った
2人は一旦車に戻りありったけの装備をして再び森の中に入っていった

608 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/04/09(日) 22:31:49 [ NaLg3lgQ ]
2人はどんどん森の奥に入ってゆく
あいかわらず静寂は続いてる
それから20分位歩いたころ、ゴミのようなにおいがしぃのハナ先をかすめた
「なんか・・・変な臭いしない?」
しぃが言ったがギコからの返事はない
「ねぇってばぁ・・・」
なおも呼びかける
「あ・・・・アレを見ろ・・・」
ギコは前方を指差しながら言った
「ええ?アレって・・・?」
しぃは双眼鏡を手にしてギコの指の方向を見る
「!!!」
しぃは思わず言葉を失った
なんとギコの指の先には何千という数のモララーが行進してくるのだ 子供も結構いる
「これが・・・モララーの大群・・・」
政府が手をだせなかったのもなっとくできる
ギコはしばしの間固まっていたがとたんに我に返ったようで、ポケットから携帯電話を取り出しダイアルした
ピルルルル・・・・・ピルルルル・・・・・という電子音がしぃにも聞こえてくる
カチャ、と電話にでる音がした
ギコはすぐさま
「モナーか?今どこにいる?助けてくれ!」と叫んだ
モナーとは兵器工場の社長でこの2人とは同級生だったためか仲もいい
「そんなにあわててどうしたモナ?」モナーはのんきそうに言った
ギコは速攻で理由を説明する
しぃはギコとモナーのやり取りを聞いていたが思いついたように電話をとりだしダイアルした
ピルル・・・カチャ、相手はすぐに出た
「アヒャくん?しぃだけど・・・・・・・・・」
しぃはアヒャに向かって一方的に言葉をかける
アヒャとはこれも同級生で2人と仲がいいナイフ職人だ
2人はほぼ同時に電話を切りOKのサインを出した

大群と2人の距離は500m弱だ
2人はまきびしや地雷などを地面に落としながら後退していく
「あの2人が来るまでもつか・・・・」
しぃが言った
あの2人とはもちろんモナーとアヒャの事である
「ちっもうトラップが無くなりやがった」
ギコが言う
モララー達の動きは以外に早く2人との距離を序序につめていった
と、突然
「もらぁぁぁぁぁ!痛いよぉぉ 漏れの足に何かが刺さったぁぁ!」
という声が聞こえた
どうやら2人のまいたまきびしが1人のモララーに刺さったようだ
2人はハッと後ろを振り返る もう、モララーとの距離は肉眼ではっきり見えるほど縮まっていた
しかし他のモララー達はそのモララーの事を手当てをするわけでもなくただ
「この役立たずがっ氏ね!!!」
と言いはなって3人がかりで怪我をしたモララーの腹を蹴っ飛ばした
そのモララーは悲鳴をあげて吹っ飛んでいった
どうやらこいつら、怪我をした者などは徹底的に無視する作戦らしい
いや、モララー程度の生物に「作戦」なんて物を立てる知能があるのか?今のだって単なる気まぐれでやったのかも・・・
2人がそんな事を考えていると1人のモララーが
「あそこにしぃとギコがいるーーー!!!捕まえろー」
と大声で叫んだ
大群がすごい勢いで突撃してくる
ギコとしぃは血の気がサーっとひいた
こんな数で突撃されたらひとたまりもない
「うおーー捕まえるもらーーーーーー」 「もらっとぉぉぉぉぉぉぉ」 「もらもらもらーーーーーーあ!!!」
という良く分からない雄叫びと同時に「ドーン!」という爆発音が聞こえてきた
地雷を1つ残らず踏んでいるらしい
が、モララー達の勢いは衰えない まっすぐこちらに向かってくる
ギコが後退しながらピストルを撃つ
「バキューン バキューン バキューン」弾はモララー達にたしかにあたっている 
しかしそれは山盛りのご飯を箸で一粒ずつ食べているのと同じ事だった
もう2人との距離は10数mだ
「もう駄目だ・・・・ゴルァァ!」
ギコがそう言った時
「http://レーザー!」
しぃがそう叫び鮮やかな青色のレーザーを手から発射しムチのように振るった
最前列にいたモララー達はレーザーがふれた所の肉が完全に焼け焦げ、一瞬で死んでいった
「すげえぜ!」
ギコが言った
しかしモララー達は死んでいった仲間の上を踏みつけながらこちらにやってくる 勢いは衰えない
「くっもう限界か・・・・」
2人がそう思った時ビューーーン・・・・・・・と戦闘機の音が聞こえてきた

609 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/04/09(日) 22:32:18 [ NaLg3lgQ ]
そして
「アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
と言う笑い声も
声が聞こえた瞬間大量の血が津波のように飛び散った
「アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!マタセタナ」
2人の前にはアヒャが立っていた
血で赤く染まった自分の体長の3倍はある包丁を持っている
2人は一気に安堵してその場に座り込んだ
これにはモララー達も動揺している
「伏せるモナー」
スピーカーで拡大された声が空から聞こえた
しぃ、ギコ、アヒャは地面に伏せた
「も、もら?」 「なんなのぉ?」 「漏れのベビィィィィィ」 「怖いよオ・・・・・!」
モララー達は混乱している様子だ どうやら目標を失ったのが原因らしい
「ババババババババババ゙バババババ」
戦闘機からマシンガンが連射されている
その狙いは驚くほど正確でモララー軍団を血祭りにしていく
「痛いよぉぉぉぉぉ!!」 「モラァァァァァァァァ!!!!」
やつらの叫び声がコダマする
大群の数は一気に減少した
「逃げろオーーーーーー!!!!!」
1人のモララーが言った
大群は一気に後ろへ駆け出した
「追うぞ!!」
ギコが言った
「さっきまで逃げてたのにねぇ」
しぃがニコニコしながら言う
「アーヒャヒャヒャヒャ!!!ネダヤシニシテヤルゼ!!!」
大群はさっきまでと違い全然まとまっていなかった
3人はすぐに大群に追いついた
「おらぁ!!」
ギコが手榴弾をなげる
爆発した衝撃でモララー達があちこちに吹き飛ぶ
「このべビあげるからゆるしてぇ・・・・」 「もらぁぁぁ!他のモララーは好きにしていいから漏れだけは助けてぇ!!」
こんな醜い命乞いをするモララーも多かった
そいつらを思い切り蹴飛ばしたり切り刻んだりするのは快感そのものだった
30分位立っただろうか 大群はあと少しで全滅だ
地上の3人はもう‘‘虐殺,,にも飽き、着ている服もモララーの血でべっとり赤く染まっていた
「あーあ・・・この服けっこう高かったのにゴミ虫の血がこんなに・・・・」
しぃはそんなことを言いながら片手でレーザーを発射しモララーを3匹焼き殺した
「なーに また買えばいいだけさ」
ギコが軽い口調でいいべビモラをぶちゅっと踏みつけた
「モウソロソロアキテキタナ モナー ヤッチマッテイイゾ」
アヒャが無線のようなものを取り出し言った
今までのんきに空の上に浮いていたモナーの戦闘機がゆっくり着陸してきた
「みんな乗るモナ」
モナーがスピーカーをとうして言った
3人はモナーの戦闘機に乗り込んだ 
「一時はどうなるかと思ったぜ」
ギコがため息まじりに言った
「どうするモナ?」
モナーが戦闘機を離陸させながら言った
「モチロントドメヲサシテヤロウゼ アヒャ!」
アヒャが嬉しそうに言う
「OKモナ」
モナーは返事をしながらドクロマークのスイッチを押した
戦闘機の下の部分がパカっと開き紫色の煙がもくもく地上に流れ込む
しぃはニタニタしながら双眼鏡で地上を見た
苦しむモララー達の姿が一望できる
「この煙苦しいよぉぉーー」 「他のモララーはどうでもいいから漏れものせてぇーーー!」 「も・・・らぁぁぁ・・・・」
地上ではモララー達が騒いでいたがしぃ達に聞こえるよしも無かった

こうしてモララーの大群は全滅し、ギコ達は町から栄誉賞を貰った

しかしモララーの辞書に全滅という言葉はない
今もどこかで大量繁殖をくりかえしているに違いない

そしてまたいつかあの森に・・・・モララーの森に現れるだろう

その時をアヒャは密かに楽しみにしていたのだった




完